この記事の目次
- スマートメーターとは?
- スマートメーターは、多くの機能を備えるデジタル式の電力メーター
- スマートメーターは、一般送配電事業者が無料で設置する
- 2020年代前半までに普及率100%を目指している
- スマートメーターが優先導入されるタイミング
- 1.電力会社を切り替えるとき
- 2.HEMSなどの電力メーター情報発信サービスを申し込むとき
- 3.新築で家を建てるとき
- 4.使用中の古い電力メーターの期限が切れるとき
- スマートメーター導入のメリット
- 使用電力量が見える化でき、省エネ・節電につながる
- 検針員不要・遠隔地でも使用電力量を計測できる
- 契約アンペア数の変更が簡単にできる
- 高齢者の一人暮らしなど見守りサービスにも活用できる
- スマートメーター導入のデメリット
- データ漏洩などプライバシーの侵害の可能性はゼロではない
- 電磁波の人体への影響の懸念も?
- スマートメーター設置の流れ
- スマートメーターとはデジタル式の電力メーターのこと!
2014年4月に閣議決定された「エネルギー基本計画」にて、スマートメーターの導入目標が掲げられました。2020年代前半までに普及率100%を目指し、一般送配電事業者が無料で設置するスマートメーターですが、そもそもスマートメーターとは何なのでしょうか。
また、具体的にどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。くわしく見ていきましょう。
スマートメーターとは?
まずは、スマートメーターの基礎知識を紹介していきましょう。
スマートメーターは、多くの機能を備えるデジタル式の電力メーター
スマートメーターとは、通信機能やブレーカー機能を備えたデジタル式の電力メーターです。電気使用量を30分毎に計測でき、計測したデータを通信機能によって遠隔地に送信することができます。そのため、検針員による現地での検針をしなくても細かくデータを把握することが可能です。今までとは異なり、室内にブレーカーを設置する必要もなくなります。
後ほどくわしく説明しますが、スマートメーターのさまざまな機能のおかげで「電力使用量の見える化」が可能になり、HEMSのような新たなサービスが誕生しています。
スマートメーターは、一般送配電事業者が無料で設置する
設置することで消費者と電力会社の双方にとって便利になるスマートメーターですが、「設置費用がかかるのでは?」と疑問を持つ方もいるかもしれません。
しかし、スマートメーターは各地域の一般送配電事業者が無料で設置してくれますので心配はいりません。また、スマートメーターの設置対象は「原則すべての需要家」であると「エネルギー基本計画」で定められています。そのため、一般家庭だけでなく店舗や工場、事業所なども設置の対象となっています。
2020年代前半までに普及率100%を目指している
「 エネルギー基本計画」では、スマートメーターの導入目標を「費用対効果等を十分考慮しつつ、2020年代の可能な限り早い時期に」と定めています。スマートメーターの設置完了の時期は、一般送配電事業者によって異なります。
例えば、東京電力パワーグリッドでは2020年まで、中部電力では2023年3月まで、北陸電力では2024年3月までにすべてのお客様にスマートメーターを設置するとしています。
スマートメーターが優先導入されるタイミング
1.電力会社を切り替えるとき
1つ目のタイミングは、電力会社を切り替えるときです。
電力会社を切り替える際は、原則スマートメーターへの交換が必要です。新しく契約を希望する電力会社へ申し込むと、申し込みを受けた電力会社から現在契約中の電力会社へ解約の連絡が入ります。
このとき、スマートメーターへの交換が済んでいない場合は、地域の一般送配電事業者から、スマートメーターへの交換工事予定日が知らされ、その後工事となります。
2.HEMSなどの電力メーター情報発信サービスを申し込むとき
2つ目のタイミングは、HEMSなどの電力メーター情報発信サービスを申し込むときです。
HEMSは「Home Energy Management System(ホーム エネルギー マネジメント システム)」の略で、家庭の使用電力量を「見える化」して消費者自身がエネルギーを管理するためのシステムのことを指します。電気の使い方を把握することで、節電や省エネに役立てることができます。
電力メーター情報発信サービスを活用するには、電気使用電力量のデータを取得するためのスマートメーターが必要になります。そのため、HEMSなどを利用する際にスマートメーターへ交換されることになります。
3.新築で家を建てるとき
3つ目のタイミングは、新築で家を建てるときです。電力自由化以降でも、家を新築する際は一般送配電事業者が電線の引き込み工事などを担当します。その際は原則、特に申し込みをしなくても自動的にスマートメーターが設置されます。
4.使用中の古い電力メーターの期限が切れるとき
4つ目のタイミングは、使用中の古い電力メーターの期限が切れるときです。
実は、電力メーターには有効期限があります。「計量法」によって、「有効期限を過ぎた計器は使用できない」と定められているため、使用中の電力メーターの期限が切れる前に対処をしなければなりません。
その際、何度も工事をすることにならないよう、古い電力メーターの期限切れの場合は優先的にスマートメーターへ交換されるのです。
スマートメーター導入のメリット
使用電力量が見える化でき、省エネ・節電につながる
スマートメーター導入により使用電力量が見える化できるようになると、「今月、電気を使いすぎているから節電しよう」「夜間の電力使用量が多いから電気料金プランを見直そう」などの判断ができるようになり、省エネ・節電につながります。
使用電力量の確認は、スマートメーターとHEMS機器を連動させることで可能になるほか、電力会社によってはマイページなどで日々の使用電力量を確認できるサービスなどもあります。
検針員不要・遠隔地でも使用電力量を計測できる
通信機能を備えているスマートメーターは、30分単位の使用電力量のデータを遠隔地へ送信することができます。そのため、検針員が現地で電力メーターを確認する必要がありません。
検針のために敷地内に他人が入ることがなくなるほか、東京で関西の電力会社と契約するといったことも可能になります。電力会社や電気料金プランの選択肢が広がるため、より自分にあったところを選びやすくなります。
契約アンペア数の変更が簡単にできる
一人暮らしなどで同時に多くの電化製品を使わないにもかかわらず、契約アンペア数が大きい世帯の中には、交換工事が面倒だからとそのまま使用していることもあるでしょう。しかし、スマートメーターなら工事不要でアンペア数を変更できるため、簡単に基本料金を下げて電気代を安くすることができます。
高齢者の一人暮らしなど見守りサービスにも活用できる
使用電力量を細かく把握できるスマートメーターの機能は、高齢者の見守りサービスにも応用できます。
例えば遠隔地で一人暮らしをしている高齢の親が普段電気を使用するはずの時間帯に電気を使っていない場合に通知を受ける、などが可能になります。普段と違う状態を把握できれば万が一の際にも素早い対応ができるようになります。
スマートメーター導入のデメリット
データ漏洩などプライバシーの侵害の可能性はゼロではない
電力使用量をデータで把握できるスマートメーターですが、データが漏洩する可能性はゼロではありません。
万が一、スマートメーターの情報が漏れてしまうと、どの時間帯に電気を使用することが多いのか、どんな電化製品をどれくらい使っているのかなど生活パターンが知られてしまう可能性もあります。そのデータが悪用されれば、プライバシーの侵害だけでなく、空き巣などの実被害がおよぶリスクも考えられます。
この課題について、各一般送配電事業者ではデータの暗号化や高度なセキュリティ技術を採用するなどして対策を講じています。
電磁波の人体への影響の懸念も?
スマートメーターは通信機能を持っています。そのため、電磁波が人体へ何らかの影響を与えるのではないかと懸念する声もあります。影響については科学的に立証されているわけではありませんが、デメリットになり得るでしょう。
スマートメーター設置の流れ
最後に、電力会社切り替えのイメージができるよう、スマートメーター設置の流れを紹介します。
以下は関東エリアで電力会社の切り替えをきっかけにスマートメーターに交換する場合の例です。このとき、スマートメーターへの交換は地域の一般送配電事業者である東京電力パワーグリッドが行います。
- 新しく利用したい電力会社に契約を申し込む
- 一般送配電事業者よりスマートメーター設置の連絡を受ける
- 立ち合い不要で、スマートメーターの設置工事が行われる
消費者側の実際の行動としては、新しく契約する電力会社を決めて申し込むだけです。設置の流れといっても、難しいことは何もありませんので安心してください。
スマートメーターとはデジタル式の電力メーターのこと!
スマートメーターとは、2020年代前半までに無料で全世帯に導入される予定のデジタル式の電力メーターのことです。スマートメーターの導入によって使用電力量が見える化され、省エネや節電に役立てられるなど、多くのメリットがあります。
実際にスマートメーターに交換が済んでいるかどうかは、家の外などに設置されている電力メーターを見るとわかります。機器内部に回転する円盤がある場合はアナログ式のままで未交換、液晶ディスプレイで数値がデジタル表示されている場合はスマートメーターへ交換済みです。
原則、スマートメーターの交換のみを優先的にしてもらうことはできませんが、電力会社の切り替えを行うことで切り替えはスムーズに行われます。早めに交換を済ませておきたい場合は、電力会社の切り替えを検討してみるとよいでしょう。
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