「ラクダのポーズ」の効果とは? やり方やコツ、できない時の対処法【ヨガの基本】
猫背解消や胃腸の働きを活発にする効果があるとされるラクダのポーズ。そのやり方をヨガインストラクターの村上華子さんが解説。うまくできない初心者向けに、ポーズの練習方法を紹介します。
全身を後ろに反らせて胸や肩周りをほぐす「ラクダのポーズ」は、膝立ちの姿勢で行うため、重力も加わり、深い後屈が体験できます。
とはいえ、首や腰に対して負荷がかかるので、決して無理はせず、心地の良い範囲でポーズを行いたいもの。
体の個性に合わせたバリエーションから、安全なプロセスを経ていきましょう。
今回はラクダのポーズの効果とやり方、うまくできないときの対処法をお伝えします。
ラクダのポーズとは?
体を後ろに反らせ、胸を天井に突き出した上半身のシルエットが、ラクダのこぶに見えることから「ラクダのポーズ(ウシュトラ・アーサナ)」と呼ばれるようになったポーズです。
胸や肩まわりが開き、ダイナミックな爽快感が得られるのが醍醐味。そのため大切になるのが、上半身を支える安定した土台の感覚。骨盤の角度や鼠蹊部、太ももの前側など、体の前面の使い方を意識するのがコツになります。
実は、完成ポーズで足のつま先(足の甲)を床につける、つけないという選択によっても、体感が大きく変わるため、繊細な調整感覚を求められるポーズです。
ポーズの効果
ポーズの効果は以下の通り。
(1)猫背、反り腰解消
猫背、反り腰解消の目的や、美しい姿勢作りに最適です。
(2)やる気スイッチのオン
足先から喉元まで、体の前面を大きく引き伸ばすストレッチ効果によって、消化の経絡(エネルギーの通り道)を刺激され、胃腸の働きが活発に。全身のリフレッシュにもおすすめです。
ここ一番、やる気スイッチをオンにしたいときに、心地良い呼吸と一緒にぜひ試してみてください。
ラクダのポーズのやり方とコツ
ここでは、ラクダのポーズのやり方についてくわしく解説します。
1.脚の間は腰幅、つま先を立てた膝立ちになる。両手を腰に当てて軽く下腹を引き締め、背筋を伸ばす。
2.膝で床を押しながら、片方ずつかかとに手を置き、軽く顎を引いて首の後ろを伸ばす。恥骨を前に押し出す意識と同時に、左右の肩甲骨を引き寄せるようにして肩周辺や胸をすっきりと開く。腰を急激に反らさず、すらりと体の前面を伸ばした感覚のままキープ。
3.息を吸いながら、視線を天井に向けるよう上体を反らす。首に痛みや腰に違和感がある場合は、2の姿勢のように首を反らさず、正面を見る角度に戻す。3~5呼吸キープして、息を吐きながら1の姿勢に戻る。
ラクダのポーズがうまくできないときの対処法
後屈系のポーズを快適に行うために守りたいルールは、腰から急激に反らないこと。
腰まわりの骨(腰椎)には肋骨がついていないので、胸部に比べて可動域が大きいのですが、その分無理をして痛めやすい部位なのです。ケガを回避する安全な手順を踏みましょう。
体を反らせる姿勢に不安がある場合
後屈で腰が痛む、首がつまる感じがするという人を多く見かけます。
例えば、家を作るときには基礎工事が大切なように、ポーズを作る際もしっかりと土台の感覚、中心感覚(軸の捉え方)を培うことがポイントになってきます。
ラクダのポーズで意識する土台は、膝で床を押し出す動作。それと同時に、後ろに体が倒れすぎないよう、体の前面を床と垂直に立てる感覚です。
上の写真では、土台の感覚が培えないまま、後ろへ倒れすぎている姿勢に。もう一歩、膝で床を踏みしめ、恥骨を前に押し出す意識で体を垂直に整えてみましょう。仕上げに、背中側で肩甲骨を引き寄せる意識を加えると、首を後ろに倒さなくても、十分に体の前面が開き、爽快感を味わうことができます。
いつもの練習で、首の後ろに詰まりを感じる人も、この土台作りと肩周りの意識でポーズが格段に変化していきますよ。
できない人のための練習方法
土台の感覚を作ろうと挑戦しても、体の個性によっては、やはりかかとに手を着く動作が苦しい場合もあります。そういうときは、片方ずつ、かかとに手を置く方法でポーズの練習をしましょう。
ツイストで+αのストレッチ効果
この場合、上で紹介した土台作りの感覚を生かしながら、下げた手の方向に向かって軽くツイストを加える(左手をかかとに置き、右手を上げたら左側に体をねじる)ことで、体の側面まで気持ちよく伸びるストレッチ効果も体験できます。
ブロックを使った練習方法
ブロックを使ったサポート方法もあります。足の左右外側にブロックを置くことで、かかとよりも高いところに手を置けることから、無理なく恥骨が押し出され(鼠蹊部がしっかり伸びる)、精神的な不安を軽減しながら、後屈へのアプローチが行えます。
ここで今一度、膝で床を押しながら、腰をすらりと伸ばす感覚も練習してみましょう。
後屈系ポーズに共通する2つのコツ
ヨガを実践していくと、ある一定のルールのようものを理解していくことができます。
そのひとつに、前回紹介した「弓のポーズ」を思い出して欲しいのですが、後屈系の動きのときは、“腰をつまらせない(腰を反らせすぎない)”ことと、“中心感覚(軸の捉え方)をしっかり磨くこと”が、ポーズの気持ちよさを受け取る秘訣になります。
ぜひ、いろいろな角度から体を探求してみてください!
(文:村上華子、撮影:洞澤佐智子)
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※この記事は2020年01月25日に公開されたものです