「雑談が苦手」を克服したい! コミュニケーション専門家が教えるコツとは

職場コミュニケーションの悩みを解消するヒント。コミュニケーション講師の宇佐美陽子さんがお届けします。

「雑談が苦手」を克服したい! コミュニケーション専門家が教えるコツとは

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「オトナノ」読者のみなさん、こんにちは! コミュニケーション講師の宇佐美陽子です。この連載も6回目です。いつも職場コミュニケーションの1シーン1シーンを思い浮かべながら原稿を書いています。このお仕事ができて、私の目標がひとつ叶ったなという気持ちになると同時に、10年以上おぼろげでも夢を描けず、目標を持てないまま毎日を過ごしていた時期を思い出して、目頭が熱くなります。

目標を見つけられず、夢が描けない。そんな自分が嫌で、10年以上新年の抱負は「今年こそ目標を見つけること」でしたが、見つかりませんでした。しかし、目標を見つけられないでいる自分を責めるのはやめて、たわいのない日常の、ささやかな楽しみや喜びを味わい尽くしていこうと思うようになりました。その瞬間から、不思議と私を引っ張ってくれる目標に出会えた気がします。今日はそんな「たわいもないけど、大事なこと」である「雑談」についてです。

職場を安心できる環境にするための「雑談力」

こんなお悩みが届きました。

会話の冒頭にすみませんと癖で言ってしまう」(41歳/正社員)
嫌なことやできないことがあってもはっきり自分の意見が言えず、笑顔で受けてしまう」(37歳/嘱託・契約社員)
不満に思っていることを言えず、顔に出てしまう」(45歳/正社員)

本当は、嫌だと思っている仕事が降ってきたとき、不満が生まれたとき、そして何かよくわからないけれど自分が悪い気がしてしまうとき。仕事をしていて、こんなことが日常に良く起こっているときは、職場が「安心して発言できる場所」ではなくなっています。

こんなときこそ、「雑談力」が救世主になってくれます。

「雑談力」がもたらす心の健康

今や企業研修のカリキュラムにもなっている「雑談力」ですが、雑談ができる職場かどうかというのは、特に女性にとっては働きやすさに直結しています。とある研究によれば、女性は1日に喋らなければいけない言語数というのがあるそう。その数は6,000語といわれています。この数をこなさないと、ストレスを感じやすくなるそうです。それほど、「何を」話すかよりも「どれくらい」話したかが、女性にとっては心の健康を維持するための重要な要素といえそうです。ちなみに男性は2,000語程度でいいそうです。

なぜこんなにも女性にとっておしゃべりが大事なのでしょう? それは太古の昔、男たちが食料を探しに村を離れているとき、残された女たちはいつ帰るかもわからない男たちを待つ不安を“おしゃべり”によって軽減していたから……。そんな逸話もあるくらいで、話すだけでも不安が少なくなり、笑顔が増えていくのです。さらに、普段からたわいもない「雑談」で場が和んでいれば、「本音が話しづらい状況」は自然と改善されていくものです。雑談は職場の潤滑油。上手に活用したいものです。

愛嬌のある「雑談」を作るワザ

では、職場の潤滑油となるような雑談を作るには、どんな話題が効果的でしょうか? しかも、聞いてもらえない雑談ではなく、「愛嬌のある」雑談を作っていきましょう。

話題はやはり季節ネタが鉄板です。話題も広げやすく、好き嫌いがあまりないことが理由です。しかし、ただ単に「寒いですね~」というだけでは話は続きません。そんなときに使える方程式をご紹介します。

「この季節が自分は好きか苦手かを述べる+〇〇さんは、どうですか?」

と聞いて、好きか苦手かを教えてもらったら、その理由もついでに聞いてみましょう。そして、最後に「教えてくれてありがとうございます。」で終わればそれだけでオッケーです。季節ネタ以外にも「好きな場所・苦手な場所」など、プライベートな内容だけれども、相手が普段見ている「風景」を切り取れるような話題もオススメ。こうした話題は、気軽に話しやすく、思いきり自分目線で話しても嫌味にならないのがグッドポイントです。

雑談力とは、情景描写力とも言えます。ですからNGな話題は、「自分が見たくない景色を想像させる話題」。誰かの悲しむ顔、怒る顔、嫌な顔が想像できそうな内容は避けましょう。

雑談は長くても1~2分程度で良いと思います。そして、話のオチで「あなたと話せたことがうれしい、話してくれてありがとう」という気持ちを伝えましょう。逆に自分ばかり3分以上話していたら、相手にとって楽しい雑談タイムではなくなる可能性があります。ラジオの仕事をしているときによく言われたのが、「3分の法則」。人は3分以上同じ音を聴くと、飽きてしまうそうです。つまり雑談では、必要以上に深く長話をしないことです。

また、短くともお互いを「知る」ための情報収集タイムとして位置づけておくことも大切。さらに、自分が苦手な話題であれば、「苦手である」ことをあやふやにせず、はっきり本当のことを伝えましょう。これが、本音を伝えるためのトレーニングにもなります。「雑談」という経験の積み重ねが、「本音を話す」筋肉になってくれます。

ちなみにもう少し雑談を伸ばして楽しみたいときは、ポイントが2つあります。1つは、自分の話の終わりは必ず質問で終わりにするということを意識して話すこと。もう1つは、相づちの仕方を工夫することです。

イラスト:えなみかなお

昭和の相づち、「へーへーほー」からの脱却

人は相手の話に相づちを打ったり、うなずいたりするときに「へえ~」と言いがちです。語尾が、「e」「え」の母音で終わる相づちは、「へえー」といって興味を持ってうなずいているつもりでも「ええー」という否定語に響きやすいという難点があります。また「o」「お」の母音で終わる相づちは、「おお~!」と驚いているように聞こえますが、「ほお~」というちょっと上から見下ろすような響き方をする場合があります。「へえ~」や「ほお~」という相づちは、実は相手には“興味がないよ、どうでもいいよ”、と聞こえてしまうことがあるので、今日からはやめましょう。

代わりに相づちを打つときは、「ハア~!」のように語尾が「a」「あ」で終わる相づちにすると、相手には共感しているように響きます。文章だとちょっとわかりづらいのですが、実際に声に出して試してみてくださいね。それはちょっと恥ずかしいなあ……と思うならば、相づちのときは、微笑みながら首をいつもより多めに縦に振るだけでも、相手はすごく話しやすくなります。どんな内容の雑談であっても、「話しても良かったんだ」「話して大丈夫だったんだ」という肯定的な気持ちの積み重ねで、本音を言いやすい環境が整ってくると思います。ぜひ、意見が活発に出る職場にするためにも、雑談を活用して、なんでも話してOKな雰囲気づくりをしてみてくださいね。

(文:宇佐美陽子/イラスト:えなみかなお)

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第3回:「上司に振り回されたくない!」を解決する3ステップ
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第7回:「仕事を断るのが下手……」スマートに頼るためのキーワード「KTT」とは?
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第9回:初対面で失敗したくない!! 心の距離をぐっと縮める「3秒ルール」
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この記事のライター

TCS認定コーチ、コミュニケーション講師
大学在学時よりラジオDJとして活動。10年やってラジオDJの仕事を休止し、自分は本当は何がしたいのだろう? と30代から「自分探し」を始める。しかし完全に迷子になり、NLPコーチングを学ぶ。「訳アリ」な状況をチャンスに捉えることで好転してきた自身の体験を元に、現在はコミュニケーション講師としてお仕事展開中。愛読書は漫画キングダム。趣味はNetflixタイム、瓶集め。