職場にあふれるパワハラ、セクハラから身を守るには?【まとめ】
「パワーハラスメント(パワハラ)」とは、上司が立場や権力を利用して部下に暴言やいじめなどをする行為です。「ハラスメント」という言葉が社会に浸透してきた背景には、それに悩む多くの人たちがいます。性的な嫌がらせをする行為「セクシュアルハラスメント(セクハラ)」、精神的な暴力とも言われる行為「モラルハラスメント(モラハラ)」なども一例です。自分が被害者にも加害者にもなりかねない問題だからこそ、まずは知ることが大切です。
実録!会社・職場でのパワハラエピソード
上司による部下へのパワハラなどが横行している職場もあるようです。本人はもちろん、社内の雰囲気も悪くなり周囲もかなり迷惑をこうむりますよね。実際にあった数々の具体例をご紹介します。
●罵声、仕事の押し付け、無視の嫌がらせ、陰湿すぎな上司たち
ちょっとしたミスに大声で怒鳴られたり、人前で暴言を吐かれるなどのほか、できるはずのない量の仕事を押し付けられたり、反対に全く業務を与えられなかったり。様々なパターンのパワハラが見て取れます。
・「個室に連れていき、本人に対し、どれだけ能力がないか長時間話続ける上司がいる。本人から飲み会のときに聞いたが、まわりの人は引いていた」(29歳/自動車関連/秘書・アシスタント職)
『あなたの職場は大丈夫!? 実在する「パワハラ職場」エピソード3選!「みんなの前で罵声や激怒」』
『【貝社員14回】イヤらしい顔がウザい! パワハラ上司「パウア貝」の習性』
●男性の嫉妬は恐い!? 男社会に潜むハラスメント
男の嫉妬は女性のそれよりも恐いのかもしれません。被害を受けた社会人男性の実体験もありました。
・「同僚やチームリーダーに業務を制限されたり、客の近くで罵声を浴びせられた。結果、体調を悪くし辞めることに。雇用保険をもらうときにハローワークの人にすべてを打ち明けた」(35歳/運輸・倉庫/その他)
●女性の職場での悩みはダントツでセクハラ
行政が企業に是正を指導した案件で最も多かったのがセクハラ、ついで母性健康管理という結果にも、働く女性の悩みが表れています。
・「彼氏とどのくらいのペースで会っているの?と何度も聞いてくる男性上司」(28歳/団体・公益法人・官公庁/事務系専門職)
・もし、同僚や上司にセクハラをされたら直接相手にやめてくださいといえますか?
「はい」……38.4%
「いいえ」……61.6%
『泣き寝入りしている女子は61.6%も! 「セクハラやめて!」といえない女性の実態とは』
・意外と多かったのが「胸を触る」というセクハラ行為。女同士だからという言い訳は通用しません。毅然とした態度でやめてほしいと言うべきでしょう。
・「酔った会社の上司にホテルに行こうとしつこく迫られ、逃げると強引に手をつかまれて引きずられた。引きずられて転んだ拍子に手が離れたので、その隙に逃げた。後日、人事に訴えたら、同じような被害女性がほかにもいたことが発覚。その上司は懲戒解雇になった」(32歳/運輸・倉庫/事務系専門職)
『それ、許せない! 働く女子の4人に1人が体験している「職場のセクハラ」エピソード』
・冗談まじりに彼との付き合いについて聞いてくる。上手くかわせる術をまだ身に付けておらず窮していると「大人の会話も出来なくちゃね」みたいなことを言われます。(情報・IT/事務職/3年目)
『仕事白書「会社でのセクハラってある?」』
●セクハラ以外の無神経な発言が女性を傷つけることも
なかには仕事とは無関係な結婚、出産、年齢などに関連したハラスメントを受けた女性もたくさんいます。
・「部長主催の飲み会に参加しないと出世できない部署にいたことがある。飲み会の出席率表があり、上位の人から出世していた」(30歳/学校・教育関連/専門職)
・「たいしたセクハラではありませんが、上司が社内のパソコンにアダルト画像をため込んでいて困ります」(30歳女性/ソフトウェア/事務系専門職)
・「『女性は昔、25歳くらいまでには寿退社が当たり前だったんだよ』と、未婚の30代女性に言い放つおっさん上司」(29歳/学校・教育関連/秘書・アシスタント職)
『現実にもある! 女性たちが目撃した「エイジハラスメント」5つ』
・モラル・ハラスメント(略してモラハラ)とは、精神的虐待のことです。特に女子は職場で人の指示に従ったり、常に一歩引いて人と接する謙虚さなどが求められたりするため、モラハラ被害に遭いやすい特徴があります。職場でモラハラ被害にあいやすい女子の特徴をまとめてみました。
『要注意! 職場でモラハラ被害にあいやすい女子の特徴「自分が悪いと思いがち」』
退職やうつ病に追い込まれるきっかけに
パワハラやセクハラがきっかけで、会社での人間関係もうまくいかなくなり退職に追い込まれることも事実としてあるようです。
●間接的なパワハラも
ハラスメントの被害者になると、その企業で働き続けようとはなかなか思えませんよね。また、部下世代の若者たちが経費の自腹をせざるを得ない状況になっていることにも驚きです。
・Q.会社を辞めよう! と思うきっかけになる決定的な出来事を教えてください(複数回答)
1位 上司のパワハラ、セクハラ 34.3%
2位 給料が下がった 24.5%
3位 やりたいことができない 15.7%
4位 昇進の見込みがない 13.1%
5位 みんなの前で上司に叱られた 12.9%
・リサーチ・マーケティング事業を展開する株式会社アイシェアは、全国の20~40代の男女会社員1,000名を対象に、「業務環境に関する意識調査」を実施した。
『経費の自腹は「間接的パワハラ」だと思う? 転職を考える理由の一つにも』
もしかしてあなたもパワハラ・セクハラの加害者に!?
男性、女性にかかわらず、あなたの思わぬ言動が相手を傷つけていることがあるかもしれません。「もしかしたら」なんて心当たりのある人は、自分の言動を振り返ってみましょう。
●モンスター先輩にならないように注意すべきことは?
たとえば部下を叱咤激励することはパワハラとは言いません。部下から尊敬される先輩たちは「頭ごなしにしからないようにする」など部下や女性への接し方に注意をしていることがわかります。
・社会人男性に「『パワハラ先輩』と思われないために気をつけるべきこと」についてのアンケート
●第1位/「頭ごなしに叱らないようにする」……25.0%
○第2位/「うまくできたことは、ちゃんと褒める」……22.1%
●第2位/「よほどでないかぎりプライベートには口出ししない」……22.1%
『社会人男性に聞いた! 「パワハラ先輩」と思われないために気をつけるべきこと10』
『働く女子に聞いた! 「パワハラ先輩」と思われないために気をつけるべきこと10』
・「夜の生活のことなど、プライベートにかかわるセンシティブなことを聞く」(27歳/団体・公益法人・官公庁/事務系専門職)
『20代女子に聞く、「セクハラ」の定義とは? 「結婚や彼氏のことをきかれる」「無意味に体に触れられる」』
・「『だから結婚出来ないんだよ』かな。人間性を否定されてるみたいで嫌」(31歳/不動産/事務系専門職)
『それ、セクハラ発言だから! 女性たちが職場の男性に言われてイラッとすること4選』
・「夜遊びしすぎだから肌が荒れるんだぞ、と言われた。嫌だったが、特になにも言い返せなかった」(32歳/建設・土木/事務系専門職)
『セクハラを自覚して! 女子が不愉快におもう、何気ないひと言6つ』
●香水もハラスメントになる!?香りには要注意
良かれとおもっている香りもハラスメントに。また女子による「セクハラ」もあるようです。
・女性だから許して…?それはジェンダー・ハラスメント!
職場の人間関係、上手な乗り切り方や対処法は?
●職場の悩みはやっぱり人間関係がダントツ
みなさんの経験談のなかには「ダメな人ほど他人を傷つける」なんて言葉もありました。直属の上司なら難しいこともあるかもしれませんが、ハラスメントを働く人にはなるべくかかわりたくありませんよね。上司に相談して部署を変えてもらうのも1つの解決方法です。
・職場の人間関係を悩む人は8割以上
「働いてる時は上司からのパワハラに毎日泣いてました」
「一時期超軽量級のボクサー並みに痩せてしまった事があるのですが、職場での悩みが原因でした」
・明らかに上司の指示誤りで失敗したにもかかわらず、俺のせいではない、という態度で部下に対して責任を押しつけてくるような感じは、正直「え?」と思っています。(生保・損保/専門職/8年目)
『10倍返しにしたい~! 上司の「イヤな行動」を大暴露!?』
・職場に「コワイ」と感じる先輩が「いない」と答えた人が64%、「いる」と回答した人が36%という結果に……
・「プライベートについていろんな人の愚痴を聞かされた。自分にも子どもがいて小さい頃はお世話になったはずなのに、小さい子どもがいる人について、熱出たから休みますなんてありえない!と延々と聞かされた」(28歳/その他/その他)
『みんなどうしてる? 職場のお局様にキツく当たられちゃった経験4つ』
・モチベーションは仕事にとって大事な要素のひとつ。しかしせっかくのやる気をなくさせる上司が世の中にはいるようです……。では、そんな「部下の士気を下げる女性上司の特徴」とはいったいなに? 働く女子にアンケートで聞いてみました!
『こんな人とは働きたくない! 女子に聞く「部下の士気を下げる女性上司の特徴10」』
・「辞意を表明した先輩に、上司が無視したりキツイ言葉を浴びせたりしていた。辞めるからってひどすぎると思った」(31歳/医療・福祉/事務系専門職)
●周囲には頼れない!?
パワハラやセクハラを受けて困っている女性社員がいたら助けられるかを聞いたところ、残念なことに半数以上がだんまりになってしまう結果に。
・Q.パワハラやセクハラを受けて困っている女性社員がいたら、あなたは助けられますか?
「はい」42.2%
「いいえ」57.8%
『職場でセクハラやパワハラに遭ったら、何割の男性社員が助けてくれる?』
●どこからどこまで? ハラスメントの範囲は?
「これってセクハラかも?」「これもパワハラになる?」微妙なボーダーラインもありそうです。
・「相手のキャラが大きいと思う。明るくて、オープンな感じの男性ならボディタッチもそれほど嫌ではないと思う。ジメッとしたタイプの男性だと手が触れるだけでも嫌」(25歳/食品・飲料/専門職)
『【働く女子の実態】これってパワハラ!? 上司のいじめをキッチリ線引き!』
●専門機関への相談も視野に
同僚などにも頼れない状況であれば、「なんでも労働相談ダイヤル」などをはじめとした機関に相談するというのも1つの方法です。法的な知識を身につけることが、自分の身を守ることにつながります。
・「知人の紹介で入社し、本社で研修。最終日に社長から食事に誘われ、手を握られ、強引にキスをされる。その後、頻繁に『会いたい』とメール。『これ以上続くなら退職も考える』ときっぱりと断ったら、それ以降、現場に呼ばれなくなるなど、仕事がやりにくくなった。仕事で会う機会も多く、困っている。同僚の男性や、本社の女性には話せない」(30代・正社員・関東)
『社長から強引にキス! セクハラ・マタハラに悩む女子への相談ダイヤル』
・「必要以上にナレナレしい上司に対して、『私の祖父も全く同じこと私に言うんですよ! おじいちゃんみたーい! おじいちゃーん♪』と言ってやったら、ちょっとタジタジしていた気がする」(24歳/販売)
『【働く女子の実態】20代女子が職場のチョイセクに応戦する術とは?』
・第1位は31.9%で「まわりの人に相談して味方をつくる」でした! ひとりで悩むより、相談にのってフォローしてくれる仲間を作ることが、何よりの対抗策のようです。
『あなたならどう戦う? 女子に聞いた「パワハラ上司への対抗策」』
●職場でのいじめによる精神疾患が労災扱いになることも
自分の会社に産業医がいたらまずは相談してみるのもよさそうです。
・「仕事中のケガや事故だけでなく、仕事による<心理的な負担>が原因で精神疾患を発病した場合も、労災と認められることがあります。いじめやセクハラ、長時間労働などによるうつ病、急性ストレス反応などの障害が過去に認定されています」(石井先生)
『セクハラ・いじめは「労災」対象! 増加するメンタルでの労災申請と、知っておきたい実際のあれこれ』
●ひどければ裁判、そして慰謝料を取れる可能性
あまりにもひどいセクハラやパワハラの被害を受けた場合、裁判を起こすこともできます。大切なのはその内容を状況や証拠とともに詳細に記録すること。原因を調査してセクハラが認定されれば慰謝料を取れる可能性もあります。
『職場のおじいちゃんから抱きつかれ……。 仕事上困るので、怒れません。』
『上司からずっと業務を与えられていません。これってパワハラになりませんか?』
※この記事は2016年03月25日に公開されたものです