「益々のご発展をお祈り申し上げます」は、ビジネス上の手紙やメールで使われるフレーズです。
日常生活ではあまり使わないからこそ、どんな相手に対して使うのが適切なのか、正しい表現ができているのかと不安になってしまいますよね。
この記事では、「益々のご発展をお祈り申し上げます」について、意味と正しい使い方、言い換え表現を解説します。ぜひ参考にしてください。
■「益々のご発展をお祈り申し上げます」の意味
「益々(ますます)のご発展をお祈り申し上げます」は、^相手の会社や活動について今後の繫栄や活躍をお祈りするという思いを込めた言葉^です。
「発展」の言葉の意味も確認していきましょう。
はっ‐てん【発展】
読み方:はってん
[名](スル)
1 物事の勢いなどが伸び広がって盛んになること。物事が、より進んだ段階に移っていくこと。「経済が—する」「大事件に—する」
2 色事や遊蕩(ゆうとう
出典:(『デジタル大辞泉』小学館)
「発展」とは物事に勢いがついて、さまざまな方向に発展していくという意味の言葉です。そのため、^相手の事業や私生活において、良い方向へどんどん進んでいってほしいというポジティブな気持ちを込めた表現^なのです。
手紙やメールなどの結びの言葉で使うことが多く、「それではまた」という締めのあいさつの代わりに今後の発展を祈る意味を持ちます。
主に企業に対して使うことが多いですが、個人に対しても、状況によっては「ご発展」を使っても問題はありません。
参考記事はこちら▼
語彙解説が得意なライターの律さんが、「お祈り申し上げます」の意味と使い方、言い換え表現を解説します。
■「益々のご発展をお祈り申し上げます」の使い方と例文
「益々のご発展をお祈り申し上げます」は、相手の仕事や生活、そして会社の発展を祈る言葉です。^ビジネスシーンでは、主にメールやあいさつ状などの書き言葉で使用されるケースが多い^でしょう。
結びの文章として使う定番の言い回しなので、例文を参考に使い方を覚えておきたいところです。
◇例文
*
・「貴社の益々のご発展をお祈り申し上げます」
・「貴社の益々のご発展をお祈り申し上げるとともに、今度ともお引き立てのほど宜しくお願い申し上げます」
*
「貴社(きしゃ)」は文章で相手の企業を表す表現で、話し言葉の「御社(おんしゃ)」と同じ意味を持っています。
何らかのあいさつ状を送る時などに、結びの文章として「全体の発展を願う」という意味を込めて書きましょう。
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「貴社」「御社」「弊社」という単語が持つそれぞれの意味をおさらいし、適切に使い分けるコツを紹介します。
▶次のページでは「益々のご発展をお祈り申し上げます」の注意点を紹介します。
■「益々のご発展をお祈り申し上げます」の注意点
「益々のご発展をお祈り申し上げます」の言い回しは、ビジネスシーンなどかしこまった場面で使います。そのため相手に対して失礼にあたらないよう、使う場面や状況に合わせて言い方を変えたり、他の言葉を結びの言葉にしたりしましょう。
ここでは「益々のご発展をお祈り申し上げます」を使う時に覚えておきたい、3つの注意点を説明します。
◇(1)個人には「ご活躍」を使う
会社全体ではなく^個人に対して今後の発展を応援したい時は、「ご活躍」に言い換えることをおすすめします。^転職する人に対して「新天地でのご活躍をお祈り申し上げます」と言うイメージですね。
ただし、結婚式などでは夫婦2人組に「ご発展」を使うこともあります。そのためビジネスでも個人に使って間違いではありませんが、より適しているのは「ご活躍」だと言えるでしょう。
参考記事はこちら▼
「新天地でのご活躍を」の意味や使い方、例文を紹介します。
◇(2)「ご発展ください」という表現はNG
「ご発展ください」は命令形として捉えられてしまう場合もあるので、^「ご活躍をお祈り申し上げます」と丁寧な言い回しをする方が無難^です。結びのあいさつで使う時は、必ず文末を「お祈り申し上げます」にしましょう。
「ご発展ください」「ご活躍ください」といった表現は、相手に対して威圧的な印象を与えかねません。
◇(3)対面では「益々のご発展をお祈りしています」とする
対面で「申し上げます」と表現すると堅苦しい印象を与えてしまう可能性があります。そのため相手が目の前にいる時は^「益々のご発展をお祈りしています」^といった、少し簡潔な表現で気持ちを伝えても問題ありません。
「いたします」を使っているため、目上の人に対しても十分に丁寧な表現。シーンに応じて使い分けてみましょう。
▶次のページでは「益々のご発展をお祈り申し上げます」の言い換え表現を紹介します。
■「益々のご発展をお祈り申し上げます」の言い換え表現
「益々のご発展をお祈り申し上げます」は、その時の状況や相手に適した言い換え表現を使った方が、さらに気持ちを伝えやすくなります。
ここでは、「益々のご発展をお祈り申し上げます」の言い換え表現を3つご紹介します。
◇(1)「益々のご発展を祈念しています」
「益々のご発展を祈念しています」は、他者の成功を祈るという意味を持つ言葉です。「祈念」は平和を祈念するなど、何かの物事や人に対しての願いを念じる言葉であり、ビジネスシーンでも使える言葉です。
^「お祈り申し上げます」だと長々しい場合は「祈念しています」「記念しております」などの表現に変える^と、すっきりとした言い回しになります。
◇(2)「さらなるご発展をお祈り申し上げます」
「益々の」と同じ意味として「さらなる」があります。「益々の~」を多用している場合は、^「さらなる」と言い換えても同じ意味で伝わるでしょう。^
「益々のご発展をお祈り申し上げます」と同様に、今も既に発展しているけれど、さらに発展することをお祈りするニュアンスを表現できます。
◇(3)「皆様のご健勝をお祈り申し上げます」
相手の健康を気遣う表現である「ご健勝」も、「ご発展」と同じように、今後の幸せなどを祈る言葉です。
^個人に対してよく使われる言い回しなので、メールや手紙の締めに使ってみましょう。^上司にも部下にも使いやすい表現で、「ご健勝」と「ご活躍」を組み合わせることも多いです。
参考記事はこちら▼
国際おもてなし協会代表理事・直井みずほさんに、「ご健勝」の意味や使い方、言い換え表現などを紹介してもらいました。
■「益々のご発展をお祈り申し上げます」を正しく使おう
「益々のご発展をお祈り申し上げます」は、企業や団体に対して何らかのお知らせをするときや、あいさつ状などで使う結びの言葉です。
相手の今後の活躍を祈ると同時に、企業全体の活性化を願うといったポジティブな思いを伝えられる表現となります。
ビジネスシーンで活用できるフレーズなので、ぜひ使い方を覚えて活用できるようにしていきましょう。
(にほんご倶楽部)
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