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【新連載】雨空を見上げながら、あの人と出会った日のことを思い出す……

「今日からここの店長となる、喜多見 悠くん。
まだ若いがなかなか優秀なので、
みなも彼を盛り立ててほしい」

朝礼でそう紹介されたあの人は、
センター長の話の間ずっとうつむいていたが、
終わるといかにも堅物そうに90度頭を下げ、
よく通る低い声で言った。
「どうぞ、よろしくお願いいたします」

そうしてあの人が頭を上げたとき、
女性従業員全員の気配がたしかに動いた。
切れ長で大きな目に、
きれいなラインの細いあご。
凛々しい顔つきなのに、
少し厚めの唇が親しみも持てる感じ。

全員で「よろしくお願いします」と言った後、
レジに立ったパートの中杉さんと溝口さんは
「今度の店長、かっこいいよね」と、
あからさまな会話をして頬を染めていた。

たしかに、わたしもステキだと思った。
でもそんなわたしの背後から、
いきなりきびしい声が飛んできた。
「副店長、倉庫が散らかりすぎだ」

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