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【新連載】雨空を見上げながら、あの人と出会った日のことを思い出す……

「ふうん。まあ、いい案だな。そうしよう」
店長は口の端を少し上げて微笑む。

「ありがとうございます。昨日帰りに、
パートの中杉さんと溝口さんに相談したら、
あっという間に案を出してくれました」

そう言うと、店長の顔色が急に曇った。
「ダメだろ、そんなパートさん頼み。
いい案だからコレは使うけど。
高野は責任者としての自覚が足りなすぎる」
「はい、すみません」
淡々としながらも、店長の語気は強かった。
そして朝礼が終わり、検品が始まると、
アルバイトの水野くんが、
わたしと店長の立つレジに飛び込んできた。

「たいへんです! 買い切り発注の『永劫』
同タイトルで作者が別の本が2箱も来ました」

店長はまた、思い切り眉をしかめた。
「やってくれたな」
水野くんが持ってきた発注伝票を、
チラリと見た店長は、それをわたしへ渡す。
「ここ、君の判が押してあるよ」
「あ、すみません……」
「どうして、ちゃんと確認しなかった!」

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