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第47話 スマイル

楽しい時間ほど、あっという間に過ぎてしまう。
翌日の朝には、帰りの車に乗り込んだ。
スキー場からの道も、しだいに雪が少なくなり、
チェーンを取り、トンネルに入って出ると、
そこは日常に続く平坦な道路が待っていた。
「今回も、とっても楽しかった」
「次の冬も、また誘うから行こうね」
「うん」
次の冬は、いよいよ20代最後の冬だな。
ふいに、お腹の底から不安がせり上がる。
いけない。せっかく慎也とふたりきりなのに。

わたしはまたダッシュボードからガムを取り出し、
慎也の口に一粒入れると、自分も食べた。
そして車がわたしの家の前に着くと、
名残惜しい気持ちで泣きそうになったけれど、
笑顔で彼を見送った。

自分の家に帰ると、言いようもなく寂しかった。
先のことばかり考えても仕方ない。
でも慎也が大好きな気持ちと不安とが、
心の中で静かに重く争ってしまう。

ため息をつきながら、旅の荷物を解くと、
スマートフォンに武藤主任からLINEがあった。
「明日帰りに、ごはん一緒にどう?」

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