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【新連載】雨空を見上げながら、あの人と出会った日のことを思い出す……

Story2 ★仕事ができない女

「仮にね、倉庫の整理がひとりできても、
全員の意識が今のままなら、また散らかる。
みんなで取り組まないと意味ないんだ。
どうやって取り組むか、
明日までに、自分なりに考えておいて」

店長は眉をしかめたまま、
少しイライラしたような声で言う。
わたしは「きっと嫌われただろうな」と、
どんよりした気持ちでその場を去り、
バックルームに入った。

そこではパートの中杉さんや溝口さんが
「美形の店長でよかったよね」
「うん、これで仕事にもハリが出そう」
と、キャッキャッとはしゃいでいたが、
わたしの姿を見ると心配して声をかけてくれる。

「どうしたの。高野さん、元気ないじゃない」
「実は、店長に倉庫が散らかってるから、
みんなで整理するような仕組みを考えろ、
って言われて」
すると中杉さんと溝口さんは、
ふたりで顔を見合わせ少し黙り込んだ後
「たしかにあそこは、散らかってるわね」
と、ほぼ声をそろえて言った。

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