【新連載】雨空を見上げながら、あの人と出会った日のことを思い出す……
Story4 ★虹を渡って
思えばわたしはこの発注ミスから、
少しずつ変わっていけたのだと思う。
パートさんより上の目線を持つこと。
それは失礼なんかじゃなくて、
やらなくてはいけないことだったのだ。
中杉さん溝口さんはじめ他の方たちも、
そんなわたしの変化を、
むしろ歓迎してくれているようで、
仕事も逆にやりやすくなっていったし、
自分の任されたジャンルの売り上げも、
少しずつ上がっていった。
店長にはたびたび怒られたけれど、
それもわたしの成長を願ってのこと、
と思ってありがたく怒られた。
そうして店長が着任してから2年、
わたしは今の店の店長として、
転勤することになった。
送別会で泣いたのは、
わたしとパートさんたちだけで、
店長は憎たらしいくらい平然として
「まあ、高野なら大丈夫だと思うよ」
とだけ言ってくれた。