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【新連載】雨空を見上げながら、あの人と出会った日のことを思い出す……

わたしは『永劫』を発注し平積みコーナーに急ぐ。
そこには、すべての本が片付けられ、
むき出しになった平台と、
ワイシャツの袖をまくった店長の姿があった。
すごくかっこよかったが、感想はひかえた。
脇の何台もの台車には下げられた本と『永劫』。
それになぜかランタンが1つある。

「もう一方の永劫、いつ来るって?」
「運良く、明日届けてくれるそうです」
「よし。じゃあここからが腕の見せ所だ。
『永劫』フェアやるから、
ともかく、言われた通りに動いてくれ。
まず、永劫を3冊ずつにして、おれに渡して」

店長は平台の左上側に灯したランタンを置き、
そこを中心に点線で八角型を描くように、
本を置いていった。
そして今度は、最初に本同士、
橋をかけるようにまた本を置いていく。
すると見る間に、本のタワーが積み上がる。

店長は無表情だったが、あきらかに楽しそうで、
いつしか額には大粒の汗が浮かんでいた。
「店長、汗が」
「いかん、本に垂れるな」

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