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【新連載】雨空を見上げながら、あの人と出会った日のことを思い出す……

「はい、今、片付けます!」
そう、たしかにこの店の倉庫は、
配本された新刊置き場も、返本置き場も、
かなり乱雑になっている。
でも……倉庫に入ったわたしはため息をつく。
ここをわたし1人で片付けろというのは、
あまりに酷ではないか。

わたしはレジ当番や棚の整理の合間を縫って、
何とか倉庫の整理の時間を作ったが、
とてもその日のうちには終わらなかった。

「すみません。倉庫の整理、
今日中には終わりませんでした」

夕方の売り上げ集計のときに報告すると、
店長はパソコンの画面を注視したままたずねる。
「なんで?」
「作業量が多すぎてとてもわたし1人では……」

すると彼は椅子をくるりと回して、
わたしの方に向き直った。
「当たり前だ。
副店長ひとりで、できるわけない」
店長は眉をしかめていた。
きれいな顔の人が怒ると、こわい。

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