ヤマアラシのジレンマとは? 意味や解決法を心理学で解説
ヤマアラシのジレンマとは、恋愛や人間関係で距離が近くなりすぎると逆にお互いを傷つけ合ってしまう現象のこと。カップルや親子など親しい間柄で陥りやすいのが特徴です。今回は、心理カウンセラーの大塚統子さんがそんなジレンマの解決法を解説します。
「ヤマアラシのジレンマ」という言葉を聞いたことはありますか? 映画化もされた人気アニメ『エヴァンゲリオン』で取り上げられたことがきっかけでこの言葉を知った人もいるかもしれません。
ヤマアラシのジレンマとは、相手に近づきたいけれど、近づきすぎるとお互い傷つけ合ってしまう……そんなジレンマのことを言います。
恋愛や人間関係において、どうすれば相手と心地良い距離感を保つことができるのでしょうか? 今回は、ヤマアラシのジレンマについて意味や解決法を心理学的に解説します。
ヤマアラシのジレンマとは?
そもそもジレンマとは、2つの相反する事柄の板挟みになることを指します。
2つの選択肢のうちどちらを選んでも難点があって決断に困ること、意見や方向性の異なるものの間で板挟みになって悩むことをジレンマと言います。
ジレンマの中には、ヤマアラシのジレンマ・囚人のジレンマ・イノベーションのジレンマという代表的な3つの事例があります。
中でも「ヤマアラシのジレンマ」とは、ヤマアラシは寄り添って体を温めたいけれども、お互いの針毛が刺さってしまって近づけないというジレンマのこと。
元は哲学者の寓話(ぐうわ)で、同じように針毛を持つ「ハリネズミのジレンマ」として使われることもあります。
人間関係においても、距離が近くなりすぎるとお互いを傷つけ合うことがあります。そうした葛藤を表す言葉として、心理学でよく用いられます。
ヤマアラシのジレンマの具体例
例えば、好きな人との距離を近づけたいけれど、自分や相手が傷つくのが怖い、今の関係を壊すのが怖いなどと考え、うまく近づけないことがあります。
また、距離が近づいて恋人関係になると、相手への期待や要求が大きくなってけんかが増え、別れたり復縁したりを繰り返す場合もあります。
近づいて失うのが怖くて友達から恋人に発展しにくい、人と一緒にいたいけれど気を使うのに疲れてしまうので1人を選びやすいなど、他人との距離感に対するジレンマのことを言います。