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自己開示の意味や効果とは? ビジネスでも使える自己開示の方法

大塚統子(心理カウンセラー)

「自己開示」とは、自分のことをありのままに伝えること。人と信頼関係を築く上で大事なことですが、「自己開示が苦手」という人もいるでしょう。そこで今回は心理カウンセラーの大塚統子さんに、自己開示の効果や方法について解説してもらいます。

「自己開示」とは、自分のことをありのままに伝えることです。

人と信頼関係を築く上で大事なことですが、「自己開示が苦手」という人もいるでしょう。

今回は自己開示をする意味やメリット、実際に自己開示する際のポイントなどを解説します。

自己開示とは? 自己開示をする意味

自己開示とは、自分のプライベートな情報・考えていること・感じていることなどをありのまま言葉にして伝えること。

自己開示の特徴は、「相手からどう思われるか?」「良い印象を持たせたい」などを意図することなく、自分の肯定的な面も否定的な面もオープンに伝えていくところです。

自己開示をすると、相手に自分がどんな人かを知ってもらえますし、相手はあなたの性格や考えを知ることで警戒心を解きやすくなります。

さらには、お互いに共感や応援をする関係になることも。適切な自己開示は、信頼関係を築くための大切なコミュニケーションなのです。

自己開示の効果・メリット

自己開示には、どのような効果やメリットがあるのでしょうか。主なものを3つ紹介します。

(1)短期間で相手と打ち解けられる

相手がどんな人か分からないと、人は緊張します。

自己開示を交えたコミュニケーションは、相手の不安や警戒感を減らしたり、相手が安心感・親近感を持つきっかけを作ったりします。

自己開示をすれば、短期間で相手と打ち解けやすくなるでしょう。

(2)踏み込んだ話がしやすくなる

内容にもよりますが、「私にそこまで話してくれるんだ」と、相手からの自分への信頼を感じたらうれしく思うでしょう。

自分に心を開いて自己開示してくれた相手には、自分も心を開いて自分の話をしやすくなるという心理(自己開示の返報性)が働きます。

自己開示を重ねると、より踏み込んだ内容を話す関係が作りやすくなるでしょう。

(3)「自分は自分のままで良い」と思える

自己開示して、相手から「そうなんですね」「私もです」「それ良いですね」と肯定的に受け止めてもらえると、「自分は自分のままで良い」と感じやすくなります。

勇気を持って自己開示をすれば、自信が持ちやすくなるでしょう。

自己開示の方法5つ

実際に自己開示をする場合、具体的にはどのようなタイミングで、どんなことを心掛けると良いのでしょうか。5つのポイントを紹介していきます。

(1)自己紹介に盛り込む

あらかじめ、自己紹介の中に出身地や趣味などの情報を盛り込んだ、定型あいさつを準備しておくのも1つの方法です。

時事ネタと絡めて、最近はまっているものなどを話しても良いでしょう。

(2)雑談に気持ち・本音を交える

雑談の話題に関連づけて自己開示をはさむ方法もあります。

例えば、仕事のプレゼンの前に「ちゃんと企画が通るかハラハラします」とか。帰宅後の話題で「今夜放送のドラマが楽しみ」とか。

「ハラハラする」「楽しみ」など、気持ちや本音を交えて自己開示します。

(3)成功談より失敗談

人が親近感を持つのは、成功談よりも失敗談です。

人に話せる失敗談なら、自己開示して一緒に笑うと心の距離がグッと近くなります。

なお、聞いた人が重く感じないような内容、あるいはビジネス関係者との会話なら相手が「この人に任せて大丈夫かな」と不安にならないような内容の失敗談を選ぶと良いでしょう。

(4)コンプレックスや弱み・苦手なことの開示

コンプレックスや弱み・苦手なことの開示には人間味があり、親しくなるきっかけになりやすいものです。

例えば、言える範囲での容姿や話し方、くせなどの相手からも気がつきやすいようなコンプレックスとも取れる特徴や、普段は人に見せないようにしている弱い面など。

「実は私、○○がコンプレックスなんです」と自己開示してみましょう。

(5)相手にも自己開示の機会を

自己開示は自分を知ってもらうチャンスで、自分からの開示が大切です。

だからといって、一方的に自分のことばかりを長々と聞かせすぎないようにも気をつけたいものです。

相手に興味を持って質問する、相手の話も聞くなど、相手が自己開示する機会も作ってコミュニケーションしていきましょう。

自己開示の尺度とおすすめの会話ネタ

自己開示には、関係の深さによって「どこまで深く自己開示できるか」の尺度となる、4つのレベルがあるという心理学の研究があります。

「自己開示といっても、どんなことを話せば良いんだろう?」と迷ったら、このレベルを目安にして、相手との関係性に応じた話題を選ぶと良いでしょう。

ここでは、その4つのレベルと、各レベルでのおすすめの話題をいくつか紹介します。

レベル1:趣味・趣向

趣味・趣向は、よほど社会的な常識から外れるものでない限り批判を受けにくいでしょう。そのため、これらは比較的開示しやすいものです。

話題としては、以下のようなものがあります。

・好きなもの(音楽・映画・服装など)

・休日の過ごし方

・最近、楽しかったできごと

・最近、夢中になっていること

レベル2:容易には克服できない困難な経験

過去のつらい体験談や苦労話と、それをどう乗り越えたかの話です。性格に影響を与えているとも想像される内容です。

話題としては、以下のようなものがあります。

・困難な状況を誰かに助けてもらった経験

・困難な状況を乗り越えるために頑張ってきたこと

・つらい経験をどのように乗り越えてきたか

・つらい経験が現在どのように役立っているのか

レベル3:決定的ではない欠点や弱点

他人からの評価が決定づけられるほど重要ではないような、自分の未熟さや欠点・弱点の話です。自分で自分の人となりを言語化するものです。

話題としては、以下のようなものがあります。

・前から「少しダメだな」と思っているところ

・直したいのに、直らない些細な欠点

・時々落ち込んでしまう些細な欠点

レベル4:否定的な性格や能力

自分の性格や能力の否定的な側面の開示で、人に知られたら親密な関係を失いかねない危険性のある話です。

これらは「相手は受け止めてくれる」と、絶大な信頼がある場合に開示されます。

話題としては、以下のようなものがあります。

・自分の性格のすごく嫌いなところ

・能力に劣等感を抱いているところ

・自分のせいで人をひどく傷つけてしまった経験

自己開示をする際の注意点

自己開示するのに気をつけたい点を3つ紹介します。

(1)信頼できる相手に無理のない範囲で開示する

不信感のある相手への自己開示や、本当は話したくないことを無理して話す自己開示は、後々「話さなければ良かった」と自己嫌悪に陥る場合もあります。

誰にどこまで話すかは、自分の意志で決めるようにしましょう。

(2)自慢話にならないようにする

本人は自己開示のつもりでも、話題の中に承認欲求からくるような要素が含まれていると、相手からは自慢話と思われることがあります。

自己開示のはずが、マウンティングになってしまわないよう気をつけましょう。

(3)相手との関係に応じた話題を選ぶ

例えば、初対面でいきなり親友に語るような深いレベルでの自己開示をされても、相手は困ってしまうでしょう。

自己開示もコミュニケーションです。「相手から好かれよう」とする必要はありませんが、相手との関係に応じた話題を選ぶ思いやりは持っておきましょう。

自己開示を用いたコミュニケーションで心の距離を近づけよう

自己開示には、短期間で打ち解けやすくなる、より踏み込んだ話がしやすくなる、「自分は自分のままで良い」と自信が持てるといったメリットがあります。

そして、ビジネスや恋愛など、あらゆる場面で心の距離を近づけるのに活用できます。

相手より先に自己開示していくのに必要なのは、ちょっとした勇気。まずは、自己開示しやすい相手からチャレンジしてみてくださいね。

(大塚統子)

※画像はイメージです

※この記事は2021年10月22日に公開されたものです

大塚統子(心理カウンセラー) (心理カウンセラー)

カウンセリングサービス所属の心理カウンセラー。ネガティブな感情の癒しから、「ココロを整える」「自信を取り戻す」「幸せな恋愛関係を築く」「才能を見つける」サポートを得意とする自己嫌悪セラピスト。東京・仙台で開催の『体験する心理学講座(心理学ワークショップ)』講師。

HP:http://blog.livedoor.jp/cs_nori/
Twitter:https://twitter.com/cs_nori

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