「人間関係に疲れる」そう思ったあなたを救う方法
人間関係をラクに捉えるコツ
コミュニケーションスキルを磨くことで人間関係の改善は図れますが、実際にはそんな簡単なことではなく、腰を据えて何度も根気強く取り組み続ける必要があります。
ですが、そんな余裕はない、とにかく早くラクになりたい、という場合は考え方を変える取り組みが役に立ちます。そのための3つの方法をご紹介しますので、ぜひ試してみてください。
(1)相手に同化してみる
人間関係に疲れているときは、「この人は一体何を考えているか分からない」という感覚になっています。理解不能な人が相手なので、二人の間の溝をどうやって埋めていけばいいか、分からなくて当然です。
そこで、相手のことを理解する取り組みが有効となります。相手のことを理解するためには、相手を外から見ていてはダメです。相手の中に入る、つまり相手そのものになってみるのです。
例えば、その相手が同じ職場で働いている場合、始業前か後で周りに誰もいないときに、その人の席に座ってみます。その人の席からその人が見ている世界を体験してみるのです。
誰もいないあなたの席を見て、そこにあなた自身が座っていると想像してみましょう。そこであなたはどんな顔でこちらを見ているでしょう? あなたがいつものように何かを言ってきたと想像し、それを聞いているとどんな気持ちが湧き上がってきたかを感じてください。
「もうちょっと分かりやすく言ってくれればいいのに……」「もっと優しい口調で言ってくれればいいのに……」といった気持ちが湧いてくるかもしれませんし、「こんな職場は辞めたいな……」といった意外な言葉が浮かんでくるかもしれません。
そうやって相手に同化してみることで、「この人はこんなふうに感じているのかもしれない」と、いろいろな発見があるはずです。
これまでは自分の立場でだけ相手を見ていましたが、こうやって相手の立場を体験することで、もしかしたら自分の疲れた気持ちに少し変化が生じるかもしれません。そして、こういうふうに接したらいいかも、といったアイディアが思いつくかもしれません。
この取り組みにチャレンジしてみて、何か気付くかもしれませんし、何も気付かないかもしれませんが、そこは問題ではありません。とにかくやってみる、そして何でもいいから感じてみる、そのことが重要です。
(2)人生を俯瞰してみる
人間関係に疲れているときは、今のこの状況にしか目が向いていません。つまり、視野が狭くなっているのです。
そこで、視野を拡大して見る取り組みが役に立ちます。次のことを考えてみてください。
その人のことで疲れる状況は、どれくらいの期間続いてきましたか? また、今後どれくらい続きそうでしょうか? 人生80年として、その人と一緒の期間は、人生のどれくらいを占めるでしょうか? 2~3年くらいの短期間でしょうか? それとも数十年にもわたって長期的に続くものでしょうか?
こうやって人生を俯瞰してみると、フッと心に余裕が生まれてくることに気付くかもしれません。「もう少し頑張ってみようかな」とか「しっかり話し合ってみようかな」といったことを思うかもしれません。
その人と一緒の期間をどう過ごすかは、あなた次第です。ひたすら耐えるか、何かしら対処してみるか、この試練を自分の成長の機会として生かそうとしてみるかなど、自分の人生は自分で決めていいのです。
そうやって主体的に生きたとき、今どんな選択をしても、将来振り返ってみたときに「我ながら良い選択をしたな」と、きっと思えるはずです。
(3)自分と相手の「期待」について考えてみる
心理学者フレデリック・S・パールズが作った「ゲシュタルトの祈り」という詩があるのですが、人間関係で悩んだときには、この詩を声に出して読んでみることがおすすめです。
何度も口ずさんでいると、何か大切なことにきっと気付くはずです。その気付いたことを生かして、今後の自分の生き方を見つめ直してみるのもいいでしょう。
『ゲシュタルトの祈り』
私は私。あなたはあなた。
私がこの世に生きているのは、あなたの期待に応えるためではない。
あなたがこの世に生きているのは、私の期待に応えるためではない。
私は私。あなたはあなた。
もし縁があって、私達が互いに出会えるならそれは素晴らしいことだ。
しかし出会えないのであれば、それも仕方のないことだ
フレデリック・S・パールズ
期待を持ちつつ、期待にとらわれないように生きよう
お互いに期待を持っているから、悩みが生じ、ストレスを抱えます。では、期待なんか持たない方がいいのかと言うと、そんなことはありません。期待し合うからこそ、互いに問題点を指摘し合ったり、期待に応えようとして成長の努力をしたりするのです。
大切なのは、期待を持ちつつ、期待にとらわれないこと。そのバランスをうまく取りながら、いろいろな人と素敵な人間関係を築いていけたらいいですね。
(笹氣健治)
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※この記事は2020年04月20日に公開されたものです