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専門家 生活

悪化する前に! コミュ障の原因と治し方

笹氣健治(心理カウンセラー)

私ってコミュ障かも? と思ったことがあるのは、実はあなただけではありません。コミュ障は、あるきっかけがあれば誰でもそうなる可能性があるものなのです。コミュ障をなんとか改善したい人、コミュ障にならないためにはどうしたらいいか知りたい人は、これを読んでぜひ参考にしてください。

■知ってるようで知らない! 「コミュ障」とは

歩いたり走ったり、普段何気なくできていることはいっぱいあります。コミュニケーションもそう。ところが、突然のケガで歩けなくなることがあるのと同じように、コミュニケーションが突然取れなくなってしまうことがあります。コミュ障の人は最初からそうだったわけではありません。じゃあ、どうしてコミュ障になるの? ──それを知っておくことは、これから社会で生きていく上できっと役に立つでしょう。

◇これってコミュ障?

コミュ障とは、『コミュニケーション障害』を縮めた言葉です。ただし、「コミュニケーション能力に障害を持つ人やその症状」のことではなく、「他人とのコミュニケーションが苦手な人」を指し示す俗語として用いられています。

なお、他人とコミュニケーションがうまく取れない原因には、大きく分けて身体機能上のものと心理的なものがあります。前者としては、脳機能の発達に偏りがあるために周囲の人とはちがった反応をしてしまって円滑なコミュニケーションが取れないケース(アスペルガー症候群、自閉症などの発達障害やADHD〈注意欠陥多動性障害〉など)や、聴力が弱かったり発音がスムーズにできなかったりするためにコミュニケーションに支障をきたすケースがあります。後者は、過去のコミュニケーションの経験から生じた苦手意識やトラウマによって対人関係に恐怖を感じていたり慎重になりすぎているケースです。世間一般に言われる「コミュ障」は、後者の原因によるものですので、ここから先はそれを前提にして話を進めていきたいと思います。なお、コミュニケーションがうまく取れないと悩む方で、「自分では普通に会話しているつもりでも、まわりから変わった人だとよく言われる」という方は、前者に該当する身体機能の要因を探ることが助けになるかもしれませんので、ネットや本などで詳しい情報を得て、しかるべきサポート機関を活用されるといいと思います。

◇コミュ障の人に共通する特徴とは

コミュ障の人には、ある特徴的な思考パターンが見られます。それは考え方のクセと言っていいものですが、それは具体的にどんなクセなのか、コミュ障の人もしくはコミュ障になりやすい人の典型的な3つの思考パターンを見てみましょう。

☆(1)完ぺき主義

「99点じゃダメ、100点じゃなきゃ意味がない」。そういう考え方をしてしまう人は意外に多いものです。まさかそんなバカなことは普通考えないでしょう、と思ったあなた自身も、知らず知らず完ぺき主義的な考え方をしているときがあるかもしれません。たとえば、面接の場面で、ある質問に対してうまく答えられなくて落ち込んだことはありませんか? 大部分の質問にはうまく答えられたのに、ましてや面接が通ったにも関わらず、たったひとつの質問にうまく答えられなかったことを引きずっているのは、「100点満点以外はダメ」と考えているからです。あるいは、友人と話していてちょっとした失言をしてしまった。なんとかフォローはできたけど、これはマズイことをしたなぁと気まずさが残っている、というのも同じように、「自分は少しのミスもすべきではない」と考えているからかもしれません。
人は誰もがまちがいを犯すものですし、そもそも完ぺきな人間など世界中にひとりもいないにもかかわらず、ひとつの過ちを気にしてしまう。ときにはそのせいで自分に自信をなくし、会話をするのが怖くなってしまい、ついつい他人とのコミュニケーションを避けるようになる。行き過ぎた自分へのダメ出しのせいでコミュ障になってしまう人は案外多いものです。

☆(2)他人の目を気にする

人見知りをする、人前で話すのが苦手、といった人が次第にコミュ障に陥っていくケースもよく見受けられます。他人とうまく会話できなければならないと考えている部分があって、そこには「少しのミスも許されない」という完ぺき主義的な思考パターンも見られるのですが、それ以上に「自分のことを他人から悪く思われたくない」という意識が強く働きすぎている可能性が考えられます。そういう人は、失敗のない完ぺきな会話ができなければ、自分はダメなやつだと思われてしまうのではないか、嫌われてしまうのではないか、相手にされなくなってしまうのではないか、といった恐怖心があります。要するに、他人の目がとても気になっているのです。

自分の考えを他人に伝えることがうまくできない、そんな自分をまわりはどう見るだろうか? 自分は容姿が悪い、そんな自分はまわりからどんなふうに見られているだろか? このように他人から自分がどう評価されるかを過度に気にしていると、自由で気楽に他人とコミュニケーションできなくなってしまうので注意が必要です。

☆(3)悲観的な決めつけをする

悲観的な決めつけとは、コミュニケーションがうまくいかなかったときに、「こんな自分はもうコミュニケーションは無理だ」「二度とリカバリー(関係修復、汚名挽回)は無理だ」「他人はこんな私なんか絶対に相手にしない」といったように断定的に考えてしまうことです。本当に無理かどうかは再びやってみなければわかりません。地道な努力を重ねることで、いつかできるようになるかもしれません。他人が自分をどういうふうに評価しているかどうかは、実際に相手に確認してみないことにはわかりません。それなのに、絶対にこうだと、自分が勝手に決めつけてしまっているのです。悲観的な決めつけをしてしまう心理的背景には、防衛本能があります。あらかじめ最悪の状況を想定しておくと、そうならないように行動を回避できるので失敗することはありません。もし万が一そうなってしまっても、心の準備をしているためにダメージが少なくて済みます。このように悲観的な決めつけには、それなりの理由やメリットがありますが、デメリットも大きいことを忘れてはいけません。最悪の状況を考えすぎて身動きが取れなくなってしまうことは、未来の成功の可能性も放棄してしまうことになるのです。

以上の3つの思考パターンは、コミュ障の人はもちろん、コミュ障でない人の中にも往々にして見られることがあり、そういった人はコミュ障予備軍ということになります。もし自分がこれらの思考パターンに陥っていることに気づいたら、その考え方を強制停止するように意識してください。

◇コミュ症になる大きな原因とは

「コミュ障の人は最初からそうだったわけではなく、きっかけがあれば誰でもなる可能性がある」と冒頭で述べましたが、ではいったいどういうことがあるとコミュ障になるのかについて説明しましょう。

☆教育の影響

コミュ障の人に見られる3つの特徴的な思考パターンは、その人本来の性格もさることながら、親の育て方や小中学校の先生の指導によって身につく場合が多いと考えられています。たとえば、テストで90点をとっても、「どうして100点じゃないの?」「こんなところをミスするようじゃダメだ」といったように、100点じゃないと叱るような親に育てられた人は、「100じゃなきゃダメなんだ」というふうに考えるのが当たり前のようになってしまいます。あるいは、いい子にしていると褒められるけれども親の言いつけに背くと叱られる、といった育てられ方をしていると、親の顔色を伺う子どもになる率が高くなります。子どもは大好きな親に嫌われないように、親の機嫌のよし悪しを常に考えるようになるのです。そうやって親の機嫌に敏感になるクセが、そのほかの人すべてにも適用されてしまい、周囲の誰に対しても、自分がどう見られるかを気にするようになっていきます。また、子どもの頃のまわりの大人たちが悲観的な考え方を頻繁にするようだと、それを模倣して自分も同じように悲観的に考えるようになります。ふつうはそう考えるのが当然のことなのだと学習してしまうのです。こうしてコミュ障になる下地がつくられた人が、次に説明するような心が傷つく体験をすると、コミュ障になってしまうことになります。

☆失敗体験によって生じる虚無感

受験に失敗、就職活動で挫折、仕事においては叱られてばかり……こういった失敗体験を繰り返していると、自分が生きている世界が無意味なものに思えてきます。自分はこんなにがんばっているのに、ちっとも報われない。つまらない人生だ。でも、そもそも自分に才能がないからダメなんだ。こうやってまわりにも自分にも価値を見いだせなくなって虚しさが大きくなってくると、生きていくことに希望が持てなくなり、他人と関わろうという気持ちも持てなくなります。いわゆる引きこもり状態です。

そうなると多くの場合、ゲームやアニメやマンガといった自分が傷つくことのない幻想の世界に身を投じるようになり、そこからなかなか抜け出せなくなります。現実社会で生きて傷つくくらいなら、リスクを犯さず、このままひとりでバーチャルな世界に浸っていたほうがいいと思ってしまうからです。すると、どんどん他人とのかかわりも少なくなり、コミュニケーションを取ることが面倒くさくなっていきます。コミュニケーションに対する苦手意識も強くなり、コミュ障になってしまうのです。

☆人間関係に絶望

子どもは無邪気であるがゆえに、罪の意識なしで残酷なことをするときがあります。相手がどんなふうに傷つくかまったく考えずに、容姿をバカにしたり、ちょっと気に入らない態度があると平気で無視したり除け者にします。そういうことをされると、子どもは敏感であるがゆえにひどく傷つき、心の深い部分に消えない傷跡が残ることがあります。

やがて大人になり、普通に他人とのコミュニケーションをこなせるように成長した後でも、人間関係で傷つくような出来事が起きると、小さい頃の傷心体験が思い出されてきて、まるで昔の幼い自分に戻ったかのように殻に閉じこもってしまうことがあります。上司からひどく叱責された、お客さまからひどいクレームを受けた、信頼していた友人が陰で自分の悪口を言っていた、といったショッキングなことがあると、「もう誰とも関わりたくない」「うんざりだ」という気持ちになり、積極的にコミュニケーションをとろうとは思わなくなって、コミュ障の状態となるわけです。

◇コミュ障はここが厄介!

コミュ障には、コミュニケーションがちょっと苦手という軽度のものから、誰かに会う可能性のある外出する困難といった重度のものまであります。

☆軽度:まわりの人から見てコミュ障だとわからないレベル

他人からはコミュ障とは思われていないのですが、自分ではそうだと思っているのがこのレベル。表向きはふつうに会話できていますが、本人には相当なストレスがかかっています。会話が続かなくて気まずい思いをする、雑談や打ち解けた会話が苦手、といったように人知れず悩んでいます。

☆中程度:人見知りやあがり症に悩むレベル

初対面の人と話すと心臓がバクバク、赤面したり汗が出ることも。人前で話すなんて絶対に考えられず、指名を受けても頑なに拒否する。このレベルになると、周囲から「この人はコミュニケーションが苦手なんだな」と認識されます。内勤はできても接客業は務まりません。

☆重度:ひきこもりのレベル

苦手を通り越して、コミュニケーションがまったくできないレベルです。人と話すことが怖い、買い物で店員に話しかけられるのも無理。できることならば、誰とも接することなく生きていたいという人です。

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