悪化する前に! コミュ障の原因と治し方
コミュ症になる大きな原因とは
「コミュ障の人は最初からそうだったわけではなく、きっかけがあれば誰でもなる可能性がある」と冒頭で述べました。
ではいったいどういうことがあるとコミュ障になるのかについて説明しましょう。
教育の影響から
コミュ障の人に見られる3つの特徴的な思考パターンは、その人本来の性格もさることながら、親の育て方や小中学校の先生の指導によって身につく場合が多いと考えられています。
たとえば、テストで90点をとっても、「どうして100点じゃないの?」「こんなところをミスするようじゃダメだ」といったように、100点じゃないと叱るような親に育てられた人は、「100じゃなきゃダメなんだ」というふうに考えるのが当たり前のようになってしまいます。
あるいは、親がそのときの気分で褒めたり叱ったりしていると、親の顔色を伺う子どもになる率が高くなります。子どもは大好きな親に嫌われないように、親の機嫌のよし悪しを常に考えるようになるのです。そうやって親の機嫌に敏感になるクセが、そのほかの人すべてにも適用されてしまい、周囲の誰に対しても、自分がどう見られるかを気にするようになっていきます。
また、子どもの頃のまわりの大人たちが悲観的な考え方を頻繁にするようだと、それを模倣して自分も同じように悲観的に考えるようになります。普通はそう考えるのが当然のことなのだと学習してしまうのです。
こうしてコミュ障になる下地がつくられた人が、次に説明するような心が傷つく体験をすると、コミュ障になってしまうことになります。
失敗体験によって生じる虚無感から
受験に失敗、就職活動で挫折、仕事においては叱られてばかり……こういった失敗体験を繰り返していると、自分が生きている世界が無意味なものに思えてきます。
自分はこんなにがんばっているのに、ちっとも報われない。つまらない人生だ。でも、そもそも自分に才能がないからダメなんだ。
こうやってまわりにも自分にも価値を見いだせなくなって虚しさが大きくなってくると、生きていくことに希望が持てなくなり、他人とかかわろうという気持ちも持てなくなります。いわゆる引きこもり状態です。
そうなると多くの場合、ゲームやアニメやマンガといった自分が傷つくことのない幻想の世界に身を投じるようになり、そこからなかなか抜け出せなくなります。現実社会で生きて傷つくくらいなら、リスクを犯さず、このままひとりでバーチャルな世界に浸っていたほうがいいと思ってしまうからです。
すると、どんどん他人とのかかわりも少なくなり、コミュニケーションを取ることが面倒くさくなっていきます。コミュニケーションに対する苦手意識も強くなり、コミュ障になってしまうのです。
人間関係への絶望から
子どもは無邪気であるがゆえに、罪の意識なしで残酷なことをするときがあります。相手がどんなふうに傷つくかまったく考えずに、容姿をバカにしたり、ちょっと気に入らない態度があると平気で無視したり除け者にします。
そういうことをされると、子どもは敏感であるがゆえにひどく傷つき、心の深い部分に消えない傷跡が残ることがあります。
やがて大人になり、普通に他人とのコミュニケーションをこなせるように成長したあとでも、人間関係で傷つくような出来事が起きると、小さい頃の傷心体験が思い出されてきて、まるで昔の幼い自分に戻ったかのように殻に閉じこもってしまうことがあります。
上司からひどく叱責された、お客さまからひどいクレームを受けた、信頼していた友人が陰で自分の悪口を言っていた。
そういったショッキングなことがあると、「もう誰ともかかわりたくない」「うんざりだ」という気持ちになり、積極的にコミュニケーションをとろうとは思わなくなり、やがてコミュ障の状態となるわけです。