「今後ともよろしくお願いいたします」の使い方は? 言い換え表現と共に解説
「今後ともよろしくお願いいたします」は、ビジネスメールの締めくくりや目上の人へのあいさつに使える言葉です。この記事では、正しい意味や使い方を例文と共に解説。併せて「今後ともよろしくお願いいたします」の言い換え表現を紹介します。
「今後ともよろしくお願いいたします」は、ビジネスメールの締めの言葉としてよく使われます。
取引先や目上の人など幅広い相手に使えるので、ぜひ正しい使い方を覚えておきましょう。
この記事では、「今後ともよろしくお願いいたします」の意味や使い方、言い換え表現を解説していきます。
「今後ともよろしくお願いいたします」の意味
「今後ともよろしくお願いいたします」は、ビジネスメールで締めの言葉としてよく使われる言葉です。
「よろしく」という言葉には以下の意味があります。
よろしく【▽宜しく】 の解説
[副]《形容詞「よろしい」の連用形から》
1 ちょうどよいぐあいに。程よく。適当に。「―取り計らってくれ」「今ごろあの二人は―やってるよ」
2 人に好意を示したり、何かを頼んだりするときに添える語。「―御指導下さい」「―お願いいたします」
3 「よろしくお伝えください」の意で、別の人への好意を伝えてもらうときに用いる語。「お父さんに―」
4 《「宜」の漢文訓読語から》(「よろしく…べし」の形で)当然。ぜひとも。「―一層の勉学に励むべし」
5 上の内容を受けて、いかにもそれらしく、の意を表す。「喜劇俳優―おどけてみせる」出典:(『デジタル大辞泉』小学館)
「よろしく」は、好意を示したり頼み事をしたりする時に使用します。頭に「今後とも」とつけることで、「これからも継続的なお付き合いがしたい」という前向きな気持ちが伝えられます。
ビジネスメールはもちろん、商談の別れのあいさつや、年賀状などの文書の締めくくりにも使える万能な言葉です。
「引き続きよろしくお願いします」との使い分けは?
似たような言葉に「引き続きよろしくお願いします」があります。どちらも同じく「これからもよろしくお願いします」という意味を持ちますが、以下のようなニュアンスで使い分けると分かりやすいでしょう。
・今後とも:案件が終了したが、将来的にまた別の案件をお願いしたい場合に用いる
・引き続き:進行中の案件に対して用いる
「引き続きよろしくお願いします」は目上の人や取引先相手にも使える敬語表現。ですが、失礼にあたらないよう、正しい使い方を覚えておくといいでしょう。
「今後ともよろしくお願いいたします」の使い方
「今後ともよろしくお願いいたします」は、取引先だけでなく社内の先輩や上司にも使えます。幅広いシーンで使える便利な言葉であるため、ぜひ正しい使い方を覚えておきましょう。
ここからは、例文を用いながら正しい使い方について解説していきます。
ビジネスメール
上述のとおり、「今後ともよろしくお願いいたします」はビジネスメールの締めの言葉によく使われます。
最後にこの一言を付け加えるだけで、今後のお付き合いを強く望んでいることが相手に伝えられます。取引先に感謝を伝えたい時などは、「今後ともよろしくお願いいたします」を付け加えると良いでしょう。
より一層の感謝を伝えたい時は「どうぞ」と同義の「何卒(なにとぞ)」をつけることもあります。
例文
・「今後とも何卒よろしくお願いいたします」
・「この度はありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします」
「何卒」の意味と使い方を、ビジネスマナー講師の髙岡よしみさんに教えてもらいました。
社内でのあいさつ
社内では、部署異動や表彰された時などのあいさつとして「今後ともよろしくお願いいたします」を使うことができます。
仕事に対する情熱や意欲が伝わり、周囲に好印象を持ってもらえるでしょう。
例文
・「一層精進してまいりますので、今後ともよろしくお願いいたします」
・「今後ともご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします」
「ご指導ご鞭撻」の意味や使い方を紹介します。
「今後ともよろしくお願いいたします」の注意点
「今後ともよろしくお願いいたします」は、さまざまなシーンで使える言葉です。しかし、便利だからといって意味を考えずに多用してしまうのは避けましょう。
ここからは、「今後ともよろしくお願いいたします」を使う時の注意点について解説します。
(1)基本的に同僚や部下には使わない
「今後ともよろしくお願いいたします」を同僚や部下に使用すると、少し堅苦しい印象を持たれるかもしれません。
せっかく「これからも関係を築いていきたい」という気持ちを込めて使っていても、相手は「何だか距離を感じるな」と感じるかもしれません。
同僚や部下に対するメールの締めには、「これからも一緒に頑張りましょう」など、ややカジュアルな表現にすると親しみが感じられます。
(2)「よろしくお願い致します」は誤用
間違えやすいのが「よろしくお願い致します」と、「致す」を漢字で表記してしまう点です。「致す」を漢字で表記する場合は、「不徳の致すところ~」など動詞として用いる時に限られます。
一方、「よろしくお願いいたします」のように補助動詞として用いる場合は、ひらがなで表記するのが一般的です。
「よろしくお願い致します」と書いても意味は伝わりますが、ビジネスシーンでは正しい表記を用いる方がより好印象となるでしょう。
ライティングコーチの前田めぐるさんに、「いたします」「致します」の違いや使い方について解説してもらいました。
(3)関係が続かない相手には使わない
「今後ともよろしくお願いいたします」は、これからも継続的な付き合いが発生する相手に対して使います。そのため、取引が終了する相手や商談がまとまらなかった相手には使わないようにしましょう。
この場合には、「またご縁がございましたら、どうぞよろしくお願いいたします」といった表現が適切です。
(4)謝罪のシーンでは使わない
自らのミスで謝罪をする場合は、「今後ともよろしくお願いいたします」という言葉は使わない方が無難です。相手に迷惑をかけたにもかかわらず、「今後とも」と将来のお付き合いの話をすると、「反省していないのでは?」と思われる可能性があるためです。
この場合は、「今後はこのようなことがないよう、一層気を引き締めてまいります」など反省の言葉で締めくくるようにすると、相手に謝罪の気持ちが伝わりやすくなります。
メールでお詫びをする際に気を付けるべきポイントを、マナー講師の松本繁美さんに伺いました。
「今後ともよろしくお願いいたします」の言い換え表現
「今後ともよろしくお願いいたします」は便利な表現ですが、いつも同じ言葉ばかりを使っていると、定型文のような印象を与えてしまうかもしれません。
ここでは、「今後ともよろしくお願いいたします」の言い換え表現を紹介します。場面や状況に応じて使い分けましょう。
(1)取引先への言い換え表現
「今後ともお引き立てを賜りますようお願い申し上げます」
いつも取引を頂いている相手には、「今後ともお引き立てを賜(たまわ)りますようお願い申し上げます」と言い換えができます。
「今後ともお引き立てを賜りますよう」と伝えることで、これまでの感謝と共に、「今後も継続した関係性を維持したい」という気持ちが伝えられます。
毎回「今後ともよろしくお願いいたします」と使っている場合は、違う言葉で言い換えをすることで、より感謝の気持ちが伝わりやすくなるでしょう。
語彙解説に詳しいライターの律さんに、「お願い申し上げます」の意味や使い方、注意点を解説してもらいます。
(2)お客様へ向けたオフィシャルな言い換え表現
「今後も変わらぬご厚誼を賜りますようお願い申し上げます」
取引先や不特定多数の顧客にあてたオフィシャルの文書では、「今後も変わらぬご厚誼を賜りますようお願い申し上げます」と言い換えができます。「厚誼」は「こうぎ」と読み、「親しい付き合い」という意味を持つ言葉です。
例えば、自社サービスの値上げをお知らせする文書などでは、「今後も変わらぬご厚誼を賜りますようお願い申し上げます」という言葉で締める例が見られます。
「今後ともよろしくお願いいたします」よりもかしこまった表現であるため、このような場面での使用に適しています。
(3)社内の先輩や上司への言い換え表現
「今後ともご指導を賜りますようお願い申し上げます」
社内の先輩や上司に使う場合は、「今後ともご指導を賜りますようお願い申し上げます」と言い換えができます。「今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします」と同様に、仕事に対する前向きな気持ちをアピールできる言葉です。
ただし「ご指導」という言葉は、取引先など社外の人には使わないようにしましょう。あなたを指導するのは社内の上司の役目であるため、社外の人に指導をお願いするのは失礼に当たると考える人もいるためです。
「今後ともよろしくお願いいたします」を正しく使おう
「今後ともよろしくお願いいたします」は、ビジネスメールの締めなどに使う言葉です。「今後とも」という一言があることで、継続してお付き合いしていきたい気持ちが伝えられます。
ビジネスメールだけでなく、対面や文書の締めのあいさつとしても使えるため、便利な言い回しとして覚えておくと良いでしょう。
ただしいつも同じ言葉を使っていると、定型句のような印象を与えてしまうかもしれません。本記事で紹介した言い換えの言葉を参考に、いくつかの表現を使うように心掛けましょう。
(にほんご倶楽部)
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