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ビジネスにおける「いたします」と「致します」の違いとは?

前田めぐる(ライティングコーチ・文章術講師)

仕事でメールを打っている時、「いたします」と「致します」の使い分けで悩んだことはありませんか? 今回は、ライティングコーチの前田めぐるさんに、「いたします」「致します」の違いや使い方について解説してもらいました。

敬語表現の代表格といってもいい「いたします」。

漢字の「致します」もたまに見かけますが、ビジネスメールや文書のやり取りでは、「いたします」が使われているのを目にする機会の方が断然多いはず。

そこにはどんな理由があり、どう使い分けるのが望ましいのかについて学びましょう。

「いたします」と「致します」、どちらが正しい?

大雑把に言えば、ごく日常的に使う場合の「いたします」と「致します」はどちらも正しい表記です。

例えば、「お願いいたします」という言葉があります。

国語一般の用法として捉えるなら、「お願い致します」でも間違いではありません。「致」は「チ、いた(す)」の音を持つ常用漢字です。

ところが、日頃私たちが企業のホームページやビジネスメールなど、ビジネスの場面で実際よく目にするのは「お願いいたします」の方ですよね。

「お願い致します」も間違いではないのなら、なぜあまり見かけないのでしょうか。言葉の意味をひも解きながら、順に説明します。

「いたす」は「する」の謙譲語

辞書で「いたす(致す)」を引くと、次のような意味があります。

いたす【致す】
(1)「する」の謙譲(丁寧)語。
(2)先方まで届くようにする。
(3)[お+動詞の連用形+いたします / ご……いたします]などの形で、接尾語的に「する」の相手に対する敬意が一段と高くなった謙譲表現。
(『新明解国語辞典』三省堂)

(1)の通り、「いたす」は「する」の謙譲語であるということが分かります。

「いたします」と「致します」の違い

「お願いいたします」は、先述した意味の中で(3)の用法にあたります。

この場合の「いたします」は、「する」の謙譲語である「いたす」に丁寧語の「ます」を加えたもので、「お願いします」よりもさらに高い敬意を表すものです。

お+願い(「願う」の連用形)+いたします

この形で謙譲の意を表す場合、元々の本動詞である「する(いたす)」は、本来の意味と独立性を失い、「願う」に付く補助動詞としての役割を果たします。

ちなみに、次のように動作を表す漢語名詞に付く場合も同様です。

ご+連絡(動作を表す漢語名詞)+いたします

ここで、公用文におけるルールについて触れましょう。

公用文など役所の文書では、補助動詞は原則として仮名で書くことが定められています。

ビジネス文書やビジネスメールでも、公用文の用法に準じて統一するなら、「お願い致します」より「お願いいたします」の方がより適切な表記であるといえるのです。

次ページ:「いたします」を使った例文

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