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【医師監修】妊婦初期・中期・後期の吐き気(つわり)の原因と対処法

【医師監修】妊婦初期・中期・後期の吐き気(つわり)の原因と対処法

妊婦さんの吐き気は、特定の時期だけでなく、いつでも起こる可能性があります。妊娠初期~後期まで、妊婦さんの吐き気の原因と対処法を知っていきましょう。


この記事の監修ドクター
産婦人科専門医 中林稔 先生
日本医科大学卒業、虎の門病院医長を経て、現在三楽病院産婦人科部長。 診療のみならず、学会・各地講演をはじめとする医学の普及活動を行う傍ら、教育にも幅広く従事しており、2008年には中林助産師学院を共同設立。自ら講師を務め、6年間連続助産師国家試験合格率100%を達成中。医師+(いしぷらす)所属

妊娠初期の吐き気の原因&対処法

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※画像はイメージです

妊娠が判明してから次第に吐き気が……。また、吐き気や嘔吐、胃の不調などをきっかけに妊娠がわかるケースも多いですよね。

多くの人は妊娠1ヶ月を過ぎたあたりから吐き気の症状が出始め、妊娠3~4ヶ月目頃には治まります。人によっては吐き気が強く出たり、実際に嘔吐することもあるため、辛い時期ともいえます。ただし吐き気や嘔吐そのものが胎児に影響を与えるものではないため、心配しすぎる必要はありません。この時期の気持ち悪さ、吐き気、嘔吐、食欲不振などを「つわり」といい、妊婦さんの50~80%が経験するといわれています。

原因は?

つわりがなぜ起こるのかについては、実はわかっていません。妊娠初期の急激なホルモンの変化、代謝の変化、精神的変化など妊娠に伴う変化などが関係していると考えられています。一説には、妊娠を機に分泌されるhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)の増加が、妊娠初期のつわりの原因であるともいわれています。

対処法

気持ち悪さや吐き気があったとしても、それ自体は妊婦さん自身や赤ちゃんの異常ではないため、特別な治療は行われない場合もあります。しかし、つわりも重いものは「妊娠悪阻(おそ)」といわれる病気です。医療機関に相談しましょう。
ここでは、家庭でもできそうなつわり軽減策をご紹介します。ただし、効果には個人差があり、必ず効くといったものではないことはご理解ください。

■「ビタミンB6」の摂取
ビタミンB6は、胸のむかつきの軽減に効果が期待できるビタミンとして知られています。赤ちゃんの初期の発育(脳神経の発達)にも働くため、不足なく摂ることが重要です。
ビタミンB6は、果物、魚、鶏肉、ジャガイモなどのでんぷん質の野菜などに含まれています。

■吐き気の原因となる食物を特定しておく
細かく観察すると「この食べ物は大丈夫」、「この食べ物を口にした後は何となく気持ち悪い」といったことに気づくケースがあります。吐き気を催す原因となる食物がわかると、対策がとりやすくなります。つわりでは、これまで口にしても全く問題のなかった好物が、吐き気を催す原因となることもあります。

■脱水症状/栄養不足に注意
1日に何度も吐いてしまう場合には、脱水症状や栄養不足、とくにビタミンB1やビタミンKが不足する心配があります。そんなときは「経口補水液」(失われた体液を補給できる飲料水。スポーツドリンクなど)「ビタミンやアミノ酸が摂れるゼリー」「カロリー飲料」などを、1日複数回に分けて少しずつ摂取しましょう。

妊娠中期の吐き気の原因&対処法

妊娠中期は、「安定期」と呼ばれています。妊娠5ヶ月目に入って、胎児はどんどん成長していますが、一般的にはつわりなどが落ち着く時期とされています。しかし、つわりは個人差があるため長引くケースもありますし、なかには妊娠中期から吐き気や胸やけがひどくなる方もいるようです。

原因は?

妊娠中期の吐き気には2つの原因が考えられます。

1つ目は「胎児の成長」です。どちらかといえば妊娠後期に多い原因ですが、平均より大きな赤ちゃんである場合や、急激に成長しているような場合には、妊娠中期でも吐き気を感じやすくなるようです。妊娠中期の始めは、通常、お腹がやや膨らむ程度ですが、胎児・子宮はどんどん大きくなっていきますので、それに伴って胃が圧迫されます。胃を下から押されるような状態ですので、吐き気や気持ち悪さが強くなる方もいるようです。

2つ目はホルモンの作用によるものです。
妊娠中はプロゲステンというホルモンの働きにより、食道括約筋という筋肉が緩みがちになります。また、食道の下のほうの圧力が胃の内部に比べて低くなることにより、胃から食道へと胃酸が逆流しやすくなってしまうのです。

対処法

これらの吐き気や胸やけは、出産後は解消されるものがほとんどです。したがって心配しすぎる必要はありませんが、日常生活では以下の対策を試してみるとよいでしょう。

■少しずつ何度も食べる
一度にたくさん食べると、吐き気が強くなりがちです。胸やけがする場合は、少しずつ、何度かに分けて食べるようにしましょう。
■寝ているときの胸やけ対策
体を横にすると、立っているときより胃酸が逆流しやすくなります。寝る前の飲食は控えるとともに、ふだんより少し高めの枕を使って胃酸の逆流を防ぐことで、横になったときの胃酸の逆流を防げることがあります。
■唾液でむかつき防止
唾液は胃酸を中和してくれるので、胃酸の逆流によるむかつきを抑えてくれます。チューインガムなどを噛んで唾液の分泌を促すことで、胸やけを緩和できることがあります。

妊娠後期の吐き気の原因&対処法

妊婦の吐き気は、妊娠後期にまで続くケースもあります。妊娠中期のところで紹介した胎児の成長や胃酸の逆流による胸やけは、妊娠週数の進行とともに増えてしまうといわれています。一方、妊娠後期から吐き気を感じ始める人、つわりをぶり返す人もいるようで、やはり個人差があります。

妊娠後期は、通常妊娠8ヶ月目以降を意味します。さらに妊娠9ヶ月を過ぎれば、胎児の体の成長はおおよそ完成します。お腹の張りを感じたり、吐き気が続き、辛いケースもあるかと思いますが、気分転換をして乗り切っていきましょう。

原因は?

妊娠後期は赤ちゃんが大きくなっているため、妊娠中期よりもさらに胃腸が圧迫されている状態です。そのため胃の圧迫や胃酸の逆流による胸やけはさらに起こりやすくなっています。また、妊婦さんは便秘になりやすいのですが、便秘よって腹部の膨満感(おなかが膨らんでいる感じ)から、「気持ち悪い」と感じることもあるようです。

対処法

妊娠後期の吐き気には、妊娠中期と同様に
■少しずつ何度も食べる
■寝ているときの胸やけ対策
■唾液でむかつき防止
といった対処法が引き続き有効です。また、便秘がある場合は、水分や食物繊維を適切にとるとともに、ひどい場合は医療機関に相談しましょう。妊娠中でも飲むことのできる薬で便秘を解消できることもあります。

なお、臨月を迎えると出産に向けて赤ちゃんが下降してくるため、内臓の圧迫感が薄れますので、吐き気が軽減するケースもあります。

まとめ

妊婦さんの吐き気は珍しいことではありません。あまり心配しすぎることはありませんが、以下のようなときはきちんと医療機関を受診しましょう。

・嘔吐を繰り返し、飲み物も食べ物も摂取できない
・嘔吐したものに血が混じる
・体重が減少し続ける

またつわりの症状の中に胃炎や胃がんなど思わぬ病気が隠れていることもあるので、気になる点があれば医療機関に相談するようにしましょう。妊娠中はさまざまな体の変化があるため、あまり無理をしないことも大切です。

※この記事は 医療校閲・医師の再監修を経た上で、マイナビウーマン子育て編集部が加筆・修正し掲載しました(2018.08.27)

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください

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