【医師監修】妊娠9ヶ月の過ごし方は?トラブル対策と出産準備のアドバイス(妊娠32週、33週、34週、35週、妊娠後期)

【医師監修】妊娠9ヶ月の過ごし方は?トラブル対策と出産準備のアドバイス(妊娠32週、33週、34週、35週、妊娠後期)

出産に向けた体の準備が徐々に始まる妊娠9ヶ月。赤ちゃんの体もほぼ完成に近づいていますが、引き続き体調管理に気を付け、健やかに過ごしましょう。この時期に注意したいことや、済ませておきたい出産準備についてまとめました。


妊娠9ヶ月の母体の特徴は?

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出産に向けて体の準備が進む妊娠9ヶ月。ママの体にはどのような変化があるのでしょうか。

子宮底の高さが最高点に

子宮の上端部にある丸みを帯びた部分(子宮底)の位置は妊娠月数が進むにつれて日に日に高くなってきましたが、妊娠9ヶ月末になると妊娠中で一番高いところ まで達します。

9ヶ月末以降は、子宮底はこれまでとは逆に少しずつ下がっていき、妊娠10ヶ月末では再び妊娠8ヶ月末のときと同じぐらいの位置になります。

子宮頸部(けいぶ)がだんだん柔らかく

子宮の下部にあって、腟(ちつ)とつながっている子宮頸部は妊娠中、赤ちゃんを子宮内にとどめるために硬い状態を保っています。臨月に近づくと出産に向けてホルモンが分泌され、少しずつ子宮頸部が柔らかく なり始めます。

9ヶ月はマイナートラブルに注意!現れやすい症状と対策

大きくなったおなかの影響で、さまざまなマイナートラブルが起こりやすい時期です。起きやすい症状と、その対処法についてまとめました。

頻尿や尿もれ、動悸(どうき)などのマイナートラブルが起こりやすい

臨月を前に大きくなった子宮が周囲の臓器を圧迫し、さまざまなマイナートラブルが起こるようになります。

例えば膀胱が圧迫されて尿もれしやすいのも、この時期、妊婦さんにありがちな悩み。くしゃみなど、ちょっとした拍子に尿もれしてしまうこともありますが、多くの妊婦さんが経験することなので恥ずかしいと思う必要はありません。気になるようなら、尿もれパッドを使うなどして対策するのがオススメです。

また膀胱が圧迫される分、頻尿になるのも自然なこと。トイレを我慢するのは体によくないので、外出時などはタイミングよくトイレへ行くよう心がけましょう。

貧血が強まる傾向に

血液は赤血球や白血球、血小板といった細胞成分と、血漿(けっしょう)と呼ばれる液体成分から成り立っています。妊娠中、ママの体の中の赤血球と血漿の量は共に増加しますが、血漿の増加量の方がはるかに 多いため、血液に占める赤血球の割合がどうしても少ない状態になってしまいます。妊娠時に起こる生理的な変化ですが、この状態は「水血症」と呼ばれます。

特に妊娠36週ごろで最も血漿の量が多くなることから、妊娠9ヶ月で貧血症状を感じる人が増えるようです。普段の食事では鉄分を含む食材を使うよう心がけ、めまいや疲労など貧血の症状が強まる場合は医療機関に相談して鉄剤を処方してもらうなど適切な診療を受けましょう。

腰や骨盤周辺の痛みも現れやすい時期

妊娠中は大きくなったおなかで腰に負担がかかり、腰痛 になることもあります。特に妊娠後期から腰痛になった、という経験談が多く、長時間、寝たきりや座ったきりでいるといったように、同じ姿勢でいると痛みが強まる傾向にあるようです。

日中も座ってばかりいるのではなく、適度に体を動かして腰痛の予防に努めましょう。

妊娠9ヶ月の赤ちゃんの特徴は?

これまですくすくと成長してきた赤ちゃん。妊娠9ヶ月ではどのような様子でしょうか。この時期の赤ちゃんの成長についてまとめました。

ふっくらとして赤ちゃんらしい姿に

妊娠35週末で赤ちゃんは身長約45㎝、体重約2,000g[*1]まで成長。紅色だった皮膚の色が薄くなるとともに、皮下脂肪がついて、これまで老人のようだった顔つき ではなくなってきます。顔やおなかの産毛も消失し、赤ちゃんらしい見た目になるころです。肺の機能も完成して自力で呼吸ができるようになり、ママのおなかの外に出ても生きていけるようになります。

眠っているときと起きているときが分かるように

このころの赤ちゃんは寝たり、起きたりを20分おきぐらい で繰り返しています。心拍数を測ると、寝ているときは減り、起きているときは増える、という違いが見られるようになります。

妊娠9ヶ月に行う検査について

定期健診は血圧や尿の検査、体重・子宮底長の測定、超音波検査による赤ちゃんの発育確認といった内容で引き続き行われます。

そのほか、妊娠9ヶ月ごろに行われる検査項目について確認してみましょう。

胎児心拍数モニタリング

おなかの中の赤ちゃんは体を動かすと交感神経が刺激され、心拍数が増加します。この心拍数の変化をとらえることで、赤ちゃんの状態が良好かどうかを判断するのがノン・ストレス・テスト(NST)と呼ばれる胎児心拍数のモニタリング検査です。

妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病、高齢妊娠や多胎妊娠などは「ハイリスク妊娠」と呼ばれ、赤ちゃんに異常がないか、通常の妊娠時よりも細心の注意を払って経過観察が行われますが、その一環としてNSTを実施することがあります。NSTで赤ちゃんの状態に気になる点があったときは追加の検査を行い、さらに詳しく状況を確認します。

GBS培養検査とは

この時期には、B群溶血性連鎖球菌(GBS)という細菌が腟内に存在してないかどうかを調べる「GBS培養検査」を行うことがあります。

GBSは常在菌の一種で、通常は体内にあっても問題はありません。しかしGBSが腟内にあると出産時に赤ちゃんへ感染し、GBS感染症になる可能性があります。重症の場合は敗血症、髄膜炎、肺炎などを引き起こすことから、未然に赤ちゃんへの感染を防ぐためにGBS培養検査を行うことが推奨されているのです。

検査で陽性となった場合は感染予防のため出産のときに抗生物質を点滴し、赤ちゃんへの感染を防ぎます。

妊娠9ヶ月の過ごし方と準備しておきたいこと

妊娠9ヶ月になると、出産の日がだんだん近づいていることを実感する人も多いでしょう。この時期にやっておいた方が良いことや、過ごし方の注意点はどのようなことでしょうか。

いつでも入院できる準備を

出産する予定の医療機関からは、入院時に必要なものについて指示があります。自分で持参するもの、医療機関で用意されているものなどを確認し、いつでも入院できるよう荷物はまとめておきましょう。

また、まとめた荷物の置き場所は家族にも伝えておき、いざというときは病院へ持ってきてもらうようにします。

出生届、児童手当、健康保険など必要な手続きを確認

出生届は生まれた日を含めて14日以内に父か母、同居者など が出生地、本籍地、または届け出た人の所在地の市区町村役場に届け出ます。

その際、乳幼児医療費助成や児童手当の申請など、一緒に手続きが済ませられる場合もあります。事前に一度、自治体のホームページなどで手続きについて確認をしておきましょう。

また、子どもが誕生すると父か母いずれかの扶養として健康保険に加入します。国民健康保険なら自治体で、それ以外であれば勤務先の健康保険組合や共済組合での手続きになります。出産育児一時金の手続きと合わせて申請方法をチェックしておきましょう。

里帰り出産の場合は早めに帰省を

里帰り出産を予定している場合は、産休に入るタイミングなど34~35週が帰省の一つの目安となります。体に負担ができるだけかからない移動手段を選び、疲れないよう適度な休憩を入れながら、余裕を持って帰省できるよう計画を立てておきましょう。

陣痛にも備えよう

妊娠34週以降であれば妊娠40週前後での正期産と赤ちゃんの生存率はほとんど変わらないと言われていますが 、赤ちゃんの成熟は実はまだ十分とはいえません 。引き続き、早産にも注意をしましょう。

一方、急に陣痛が起きたときでも慌てないよう、どうやって医療機関を受診するかなど移動手段について早めにシミュレーションしておくのがオススメです。タクシー会社の中には陣痛が起きたときに利用できる、妊婦専用のサービスを展開しているところもあります。事前登録が必要なこともありますので、どのようなサービスが利用できるのか、チェックしておきましょう。

まとめ

妊娠9ヶ月はママの体も出産に向けての準備が始まる時期。いろいろなマイナートラブルで大変なこともありますが、出産まであと少しの間、心身ともに健やかに過ごせるよう工夫をしましょう。またおなかの赤ちゃんは日に日に成長しているものの、この時期の出産はまだ早産にあたります。できるだけ早産になるのを避けるために、引き続き日々の生活で無理は禁物です。

同時に、出産当日のことを考えて入院準備や移動手段の確認など、不安なことは事前に家族や医療機関と相談をしておきましょう。産後はさまざまな手続きがあるので、どこで何を申請すべきなのか、情報を整理しておくとスムーズです。これらの準備はパパとも情報や意見を共有しておきましょう。

【医師監修】妊娠10ヶ月以降の過ごし方は?臨月の注意点と出産の兆候(妊娠36週、37週、38週、39週、妊娠後期)

https://woman.mynavi.jp/kosodate/articles/1155

いよいよ臨月に突入。赤ちゃんに会える日はもうすぐです。初めての出産でもお産の進み方を頭に入れておけば安心。あまり神経質にならず、ゆったりした気持ちで過ごしましょう。この時期の体の変化や、注意したいことを中心にまとめました。

この記事の監修ドクター
産婦人科専門医 中林稔 先生
日本医科大学卒業。東京大学医学部付属病院で研修後、三井記念病院医長、虎の門病院医長、愛育病院医長を経て現在三楽病院産婦人科長。 診療のみならず、学会・各地講演をはじめとする医学の普及活動を行う傍ら、教育にも幅広く従事しており、2008年には中林助産師学院を共同設立。自ら講師を務め、6年間連続助産師国家試験合格率100%を達成中。

(文:剣崎友里恵、監修:中林稔先生)

※画像はイメージです

参考文献
[*1]医療情報科学研究所/編・2014年・『病気がみえるvol.10 産科 第3版』・メディックメディア・p10
日本産婦人科学会監修『Baby+お医者さんがつくった妊娠・出産の本』 荒木勤・2008年・『最新産科学 正常編』・文光堂

※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

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