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2021年04月19日 11:04 更新

【医師監修】妊娠後期の注意点!7つのマイナートラブルと対処法

いよいよ妊娠も終盤に差し掛かり、赤ちゃんに会える日も間近に迫ってきました。出産までどのようなことに気をつけて過ごせば良いのでしょうか。妊娠後期のマイナートラブルとその対処法を知っておきましょう。

妊娠後期はどんな時期?

妊娠後期になり大きなお腹をもつ妊婦
Lazy dummy

※画像はイメージです

妊娠28週0日から39週6日を妊娠後期といいます。妊娠37週0日から41週6日の間を正期産といい、この時期には赤ちゃんは、いつ生まれても外の世界で適応できるように十分発育しています。

赤ちゃんの成長に伴って妊婦さんの体も変化するため、さまざまなマイナートラブルも起きやすくなります。

妊娠後期に起こりやすい7つのマイナートラブルと対処法

妊娠中に起こる体の不調や不快な症状をマイナートラブルといいます。医学的には、赤ちゃんや妊婦さんへ影響は少ないとされていますが、体が大きく変化する妊娠中は、初期・中期・後期それぞれの時期で大小さまざまなマイナートラブルに悩まされます。

妊娠後期に起こりやすいのは、以下のような症状となります。

(1)腰痛

大きくなったお腹を支えるため反り返った姿勢をとってしまいがちです。腰の反りは負担が大きく、腰痛につながることもあります。また、体がお産の準備に入り、骨盤にある仙腸関節と恥骨結合が緩んでくることで、腰だけでなく骨盤にも痛みを感じることもあります。

腰以外でも大きくなった子宮で坐骨神経が圧迫され、お尻や太ももの裏側が痛くなる坐骨神経痛になる場合もあります。

<対処法>
痛みを和らげる方法としては、痛い部位を入浴やカイロで温めるのも有効です(入浴の場合、長湯は避けましょう)。痛み止めとして市販のシップを貼る場合には、必ず医師に相談しましょう。

また、立ったまま背中を壁に密着させて、腰のくびれ部分を壁に押し当て息を吸い込む方法(骨盤傾斜運動)が有効とされています。

(2)足のトラブル(むくみ、静脈瘤)

むくみは妊娠中を通して現れやすい症状ですが、妊娠後期でさらにひどくなる方もいます。これは、妊娠が進むにしたがって血液全体量が増えますが、特に血液中の水分量が増加するため、血液から体液として水分が皮下組織に溜まりやすくなるからです。

また、大きくなってきた子宮の圧迫によって下肢の血行が悪くなり、表面血管が膨れ上がる静脈瘤が現れる場合もあります。むくみ、静脈瘤とも正常な妊娠で起こる生理現象です。

履いていた靴が入らなくなり、1cmくらいサイズアップになるようなむくみは通常のむくみですが、顔や体全体にむくみを感じ、血圧が高い場合は妊娠高血圧症候群の可能性もありますので、受診するようにしましょう。

<対処法>
・長時間立ち続けない
・休息時(夜の睡眠時や昼寝の時など)には横になる時は左側を向いて寝る(右側が上)
・休息時に足を少し高めにする
・水分をこまめに十分に摂る(1日2L程度)
・着圧ソックスを履く
など。

体は水分不足を感じると水分を溜め込もうとします。水分を十分に摂ることで、水分摂取と排出のバランスがとれ、むくみにくい体の状態になります。

(3)動悸・息切れ

妊娠すると循環血液量が増加し、妊娠後期になると、妊娠前の約40%から50%増加します。そのため、全身に血液を送り出す心臓に負担がかかり、動悸や息切れを感じやすくなります。

<対処法>
安静にして治まるようであれば心配はいらないでしょう。普段からゆっくりした動作をするように心掛けましょう。安静にしても治まらなかったり、動悸、息切れのほかに咳、全身のむくみ、倦怠感(だるさ)があるときは受診するようにしましょう。

(4)貧血

妊娠すると循環血液量が増加しますが、赤血球の数は血液全体の増加割合ほど増えないため、貧血傾向となります。ただし、軽い貧血状態は正常な妊娠の生理現象なので、あまり心配はいりません。

動悸、息切れ、たちくらみなどを起こした場合、原因が貧血かどうか、対処が必要かどうかは医師が判断します。医師の指示なく、自己判断でサプリメントを摂ったり、鉄強化食品を多く摂ったりしないようにしましょう。

(5)おりもの変化

粘り気のある白いおりものの量が増えます。ただし、出血を伴う場合には、早産や陣痛が始まった可能性もあります。

<対処法>
おりものの増加以外に、外陰部の発赤、強いかゆみ、おりものの色・形状の異常があった場合は、真菌(カンジダなど)、細菌(大腸菌など)感染を起こしている可能性もあります。早めに受診をするようにしましょう。

(6)不安・眠れない

お産が間近になって、「無事に生めるかしら……」と不安になったり、気持ちが落ち着かなくなったりすることがあります。

<対処法>
ゆったりとした気持ちで過ごすように心掛け、散歩したり、寝る前に音楽を聴くのも良いでしょう。

(7)胸やけ

大きくなった子宮に胃が圧迫されるため、吐き気や胸やけ、げっぷを起こす場合もあります。

<対処法>
1回分の食事量を減らし、何回かに分けて食べるようにしましょう。食後、すぐに横になって休むのはやめましょう。

出産の準備と心構え

お腹が大きくなり、歩いたり動いたりした後はさら疲れやすくなります。出産や生まれてくる赤ちゃんの準備は早めに開始して、焦らずマイペースで行うようにしましょう。

出産の前にしておきたいこと

ベビー用品の準備

生まれてくる赤ちゃんの育児用品を準備するのは楽しいものですが、思わず買い過ぎてしまうこともあります。生まれてすぐに使うものから順に必要なものをリストアップして、無駄なくそろえるようにしましょう。

育児経験のある友人にそろえ方のアドバイスを聞いたり、使わなくなったベビーグッズを譲ってもらったりするのも良いでしょう。

お産の準備

お産の入院時に必要なものは、30週を目処に準備しておきましょう。必要なものは出産場所となる病院等によっても違ってきますので、事前に確認しておくことが必要です。

お産での里帰りは32週~34週ころまでに行い、里帰り先の出産予定の病院等に確認をしましょう。

入院時に必要な主な持ち物

●入院手続きに必要なもの、病院に提出するもの
母子健康手帳、健康保険証、診察券、入院時預かり金など

●入院生活で必要なもの(病院等によって異なります)
箸、スプーン、コップ、タオル、洗面道具、歯ブラシ、下着、パジャマ、スリッパ、カーディガンまたはガウン、お産パッド、母乳パッド

●赤ちゃん用品(退院時に必要)
赤ちゃんの退院時の服、オムツ2~3枚

パートナー、家族の協力

妊娠後期は、さまざまな体の変調・マイナートラブルを抱え、出産に対して不安になる時期でもあります。周りから「出産はまだ?」とたびたび聞かれることがプレッシャーになったりします。パートナーや家族が不安を聞いてあげたり、気分転換などの楽しい時間を共に過すことで、妊婦さんの気持ちが落ち着きます。

一緒にお産を乗り越えよう、という気持ちで接しましょう。

まとめ

さまざまなマイナートラブルが起こりやすい時期ですが、気持ちを楽にして乗り切りましょう。急な陣痛が来ても慌てないように、病院等の連絡先は、妊婦さん本人、パートナー・家族がぞれぞれ把握するようにしておきましょう。

(島田直子/毎日新聞出版MMJ編集部)

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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