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【医師監修】臨月の吐き気は「後期つわり」? 気をつけたい吐き気、軽減のコツ

【医師監修】臨月の吐き気は「後期つわり」? 気をつけたい吐き気、軽減のコツ

臨月を含め、妊娠後期に吐き気が再発して、「つわりが戻ってきた!?」と思う妊婦さんは少なくありません。そのため「後期つわり」という言葉もあり、妊婦さんの間で知られています。その正体はなんなのでしょうか? 原因とケア方法を紹介します。


この記事の監修ドクター
松峯美貴先生
医学博士、東峯婦人クリニック副院長、産前産後ケアセンター東峯サライ副所長(ともに東京都江東区)妊娠・出産など女性ならではのライフイベントを素敵にこなしながら、社会の一員として悠々と活躍する女性のお手伝いをします!どんな悩みも気軽に聞ける、身近な外来をめざしています。
http://www.toho-clinic.or.jp/

臨月の吐き気の原因は?

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医学的には「後期つわり」とは言わない

妊婦さんの間では「後期つわり」という通称が知られているので、ここでもそう呼びますが、医学的にはそのような表現は使いません。そして妊娠後期に起こる吐き気や嘔吐の背景に、まれに病気が隠れていることもあるので、“つわり”だから問題ない、などと考えるのはやめましょう。

「後期つわり」の起こるしくみ

多くの場合、臨月の吐き気は妊娠と関係があり、病的な症状ではなく、生理的な症状です。臨月における吐き気の主な原因は、次の3つです。

・大きくなったお腹が胃を圧迫する
・ホルモン分泌の影響で食道と胃の境目にある「下部食道括約筋(かぶしょくどうかつやくきん)」という筋肉がゆるんでいる
・お腹が大きくなったことで、自然な寝返り運動が妨げられるなどして眠りが浅くなり、寝不足やストレスが強くなる


ただし、この3つのうち「下部食道括約筋」のゆるみが次に紹介する「見逃したくない吐き気を伴う病気」のひとつと関係していることがあります。

見逃したくない吐き気を伴う病気

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逆流性食道炎(ぎゃくりゅうせいしょくどうえん)

先に紹介した「下部食道括約筋」のゆるみは、妊娠時に増えるプロゲステロン(黄体ホルモン)によって起こる症状なので、そのこと自体は病的な変化ではないのですが、「下部食道括約筋」がゆるんだことによって、胃酸を含む胃液が食道へ逆流する病気「逆流性食道炎」が起こることがあります。「逆流性食道炎」では吐き気のほかに、胸焼けや喉焼け、呑酸(どんさん:口や喉まで酸っぱい液がこみあげる感じ)が多くみられます。

妊娠高血圧症候群

血圧が高い場合、「妊娠高血圧症候群」のひとつの症状としてまれに吐き気や嘔吐が生じます。
「妊娠高血圧症候群」には、妊娠中に血圧が上がる「妊娠高血圧症」と、高血圧とタンパク尿、または腎臓などの機能障害や赤ちゃんの発育不良などが起こる「妊娠高血圧腎症」などがあります。

重症化した際には、けいれん発作や脳出血の他、まれに肝機能の障害と血液の異常を伴う病気「HELLP(ヘルプ)症候群」を起こすことがあります。HELLP症候群の場合、吐き気とともに、胃(お腹の上部)やみぞおちの痛み、嘔吐などの症状が出ます。

その他

吐き気とともに他の症状(発熱や腹部やみぞおちの痛み、頭痛など)があるときは、虫垂炎や脳血管障害(脳梗塞や脳出血)、髄膜炎(髄膜炎菌という細菌による感染症)などさまざまな病気の可能性も否定はできません。

こうした病気は、自己診断はできないので、次項を参考にして適切な医療機関で診察を受けましょう。

予防は? 症状があったらどうする?

妊婦健診で、妊娠高血圧症候群など「妊娠合併症」をチェックする検査を受け、主治医と十分なコミュニケーションをとることがいちばんの予防法です。

臨月に入っても、定期的な血圧測定も続けましょう。

そして吐き気だけではなく、ほかにも生活に支障をきたす不快な症状があるときは以下を参考に受診して、原因を確かめてください。

・吐き気に発熱や頭痛を伴うときは?

かかりつけ産科に電話をして、主治医に症状を伝え、どのような対応をすべきか指示を受けましょう。発熱の際は、産科より先に内科を受診するのが賢明な場合があります。

・吐き気にかつてないほどの激しい頭痛を伴うときは?

「くも膜下出血」など、早急に脳神経外科での診断、治療が必要な脳血管障害の可能性があります。躊躇せずにすぐ病院を受診しましょう。

・吐き気に腹痛(含む、みぞおちの痛み)・胃痛を伴うときは?

まずは産科を受診しましょう。なお、妊婦さんの虫垂炎は痛むポイントが一般の人とは違い、位置がズレていて判断が難しいことがあります。

・吐き気に加え胸焼けや呑酸があるときは?

「逆流性食道炎」の可能性が高いので、産科か、妊娠している旨を告げて消化器内科・胃腸科を受診しましょう。

臨月の吐き気を防ぐ食事術

臨月に起こりやすい吐き気に関して、食べるものと食べ方に気をつけて、吐き気を軽減する工夫をご紹介します。手軽にできることから試してみましょう。

控えたい食べもの

「逆流性食道炎」でなくても、胃酸が増えると吐き気が出やすくなります。胃酸を増やす甘いもの、脂っこいものを食べすぎないようにします。

また、炭酸飲料は逆流を起こしやすいので、吐き気の症状があるときはやめておきましょう。

こんな食べ方はNG

「お腹いっぱい!」となるまで食べると、胃が膨れた分、圧迫感が強く、胃酸の分泌も増えます。1回で食べる量は腹7分・腹8分に抑え、満足できないなら、回数を増やす「分割食」スタイルにしてみましょう。

やり方としては、「1日3回×1人前」を、「1日4または5回×半人前〜0.7人前程度(控えめ)」と1回の食事量を減らして回数を多くします。分割食は、食欲がなく食べられないときの食事量確保にも有効な食べ方です。

ゆっくり、よく噛んで食事をし、なるべく「上の子の面倒を見ながら」「スマホを見ながら」「テレビを見ながら」といった“ながら食べ”をやめて、食事に集中することを心がけてください。

寝不足やストレスケアも大切!

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「妊娠中のこんな頭痛には要注意!」でも紹介した通り、睡眠その他のストレスが、自律神経に作用し、消化器の不調などをまねくことは妊娠していない人にも多くみられる症状です。

自律神経のバランスが乱れるのは、ストレスが脳を疲労させるために起こるもので、脳の研究では、脳のいちばんの疲労回復策は睡眠と分かっています。つまり寝不足は誰にとっても大変重いストレスになるのです。

臨月には寝返りさえも大変で、良質な眠りを得るにも工夫が必要かもしれません。赤ちゃんとお母さん、2人にとって大切な健康のために、なるべくよく眠れる環境を整えましょう。

手軽にできる方法としては、光と室温・湿度の調整です。

夕方以降、戸外が暗くなるのに合わせて室内の照明も暖色系に変え、食後は明るさを一段落とすと、自然な眠気をもよおしやすいとされています。間接照明などを利用して、灯りの調整をしてみましょう。

その後は覚醒刺激が強いブルーライトを発するテレビやスマホから離れ、家族としゃべる、ペットと遊ぶ、趣味やリクリエーションを楽しむ、スキンケア・ボディケアの時間に当てるなど、暖色系の照明の下でのんびりすると、ストレス緩和とリフレッシュになります。

そして一般的に眠りに適した温度は、夏:25〜28℃、冬:15〜18℃とされます。とくに夏に室温が29℃以上あると、体の深部の温度(深部体温)が下がりにくく、寝つきを妨げます。

快眠湿度は通年40〜60%なので、寝室は、夏は除湿、冬は加湿をしましょう。

まとめ

臨月になったら、つらかったつわりがまたぶり返してしまった! 吐き気のつらい症状にショックを受ける妊婦さんが少なくないかもしれません。症状が吐き気だけの場合は、多くは生理的なものなので心配しすぎず、食事やストレスケアであと少しの妊娠期間をなるべく快適に過ごしましょう。

(文・構成:下平貴子/日本医療企画、監修:松峯美貴先生)

※画像はイメージです

参考文献
小学館刊「ウイメンズ・メディカ」
医学書院刊「臨床婦人科産科 2018年 4月号増刊号 産婦人科外来パーフェクトガイド?いまのトレンドを逃さずチェック! 」
産婦人科診療ガイドライン産科編2017
医学書院刊「ほんとうに確かなことから考える妊娠・出産の話」
方丈社刊「脳の疲れをとる本」(杏林大学名誉教授、日本ブレインヘルス協会理事長古賀良彦監修)

※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください

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