【医師監修】陣痛に前兆はある?胎動の様子は?知っておきたい分娩前の変化

【医師監修】陣痛に前兆はある?胎動の様子は?知っておきたい分娩前の変化

陣痛がいつごろ始まるのか前もってわかると安心ですが、実際には陣痛の前兆はあるのでしょうか? また胎動の変化は起こるのでしょうか? ここでは、分娩が近づくと起こりやすい変化について説明します。


陣痛がくる前によく見られる前兆

分娩に向けて、ママの体は少しずつ変化していきます。
そのため、陣痛が来る前にお産の前兆も自覚できるようになります。なお、以下にあげるような前兆があるかどうかは個人差があり、前兆のないまま正常な分娩に進むこともあります。

※1時間に6回以上、または10分以内ごとの規則的な陣痛が始まる=分娩開始となります。この記事では分娩の前兆について解説します。

前駆陣痛

「前駆陣痛」とは、妊娠後期に子宮が一時的に収縮して、お腹の張りや痛みが不規則に起こることです。

陣痛との違いは、陣痛が規則的(1時間に6回以上、または10分以内ごと)に起こるのに対して、前駆陣痛が起こるのは不規則という点です[*1]。また、前駆陣痛がそのまま陣痛につながることもありますが、たいていは時間が経つと落ち着いていきます

前駆陣痛に関しては以下の記事で詳しく解説しています。
▶︎前駆陣痛はいつから? 本陣痛との痛みや間隔の違いとは

おしるし

「おしるし」は、分娩が始まる前に見られる血の混じった粘液のことで、医学用語では「産徴」といいます。

子宮の下の方が開いていくにつれて、赤ちゃんと羊水を覆っている膜(卵膜)が子宮からはがれて出血し、その血が子宮頸管を満たしていた粘液(頸管粘液栓)とともに出ておしるしとなります。

ただし、おしるしが見られることなく分娩が始まることもあれば、おしるしから数日~1週間以上経ってから分娩が始まることもあります。つまり、おしるし=分娩開始というわけではないのです。
おしるしが出ても焦らず、本格的な陣痛が来るのを待ってくださいね。

おしるしについては以下の記事で詳しく解説しています。
▶︎おしるしとは?陣痛までの流れを解説

破水

「破水」とは、卵膜が破れて羊水がママの体の外に出ることです。
一度に大量に出ることがあれば、尿漏れのように少しずつ出ることもあります。

破水には、陣痛開始前に起こるもの(前期破水)と、陣痛が始まってから起こるもの(子宮口全開大前:早期破水、子宮口全開大後:適時破水)があります。
陣痛が始まる前に起こった場合、多くは24〜48時間以内に陣痛が始まります[*2]。そのため、出産予定の産院に連絡して入院用の荷物を持って産院へ行くようにします。

なお、破水をすると子宮の中に細菌などが入りやすくなります。破水後には入浴をしないようにしましょう。

破水については以下の記事で詳しく解説しています。
▶︎破水とは?早期破水・前期破水の違い&主な2つの原因と症状

陣痛の前兆の可能性がある体の変化

次に、陣痛が起こる前、分娩が近づいてきたころに起こる体の変化や、妊娠後期に起こりやすいことについて紹介します。
こうした症状が起こったら、陣痛が起こる日も近いと考えて準備をしておきましょう。

頻尿・下痢

妊娠が近づきお腹の赤ちゃんが下降してくると、膀胱が圧迫されるようになります。そのため、頻尿になりやすくなります。また、骨盤底筋が柔らかくなってくるため、頻尿とともに尿漏れを起こすこともあります。

頻尿も尿漏れも妊娠中にはよくあることなので心配しなくても大丈夫です。

また、出産間近になって下痢を起こす人も少なくないようです。詳しくは以下の記事をご覧ください。
▶︎臨月の下痢は出産の兆候!? 主な3つの原因と気を付けるべき症状

吐き気

妊娠中は消化機能が弱くなって、つわりのときだけでなくムカつきや吐き気を感じる場合があります。特に妊娠後期はお腹の赤ちゃんに胃腸が圧迫されるため、吐き気を感じやすくなります。

また、分娩間近になると赤ちゃんが下降してくることで圧迫が取れて胃がすっきりしてきますが、陣痛が始まると、吐き気を感じたり実際におう吐するママもいるようです。

腰痛・恥骨の痛み

妊娠3カ月から産後2~3日までは、リラキシンというホルモンが分泌されています[*3]。このホルモンには分娩しやすいように恥骨結合をゆるめる作用があります。また、骨盤の背中側にある仙腸関節もリラキシンによってゆるむため、骨盤は不安定になります。

さらに、大きくなったお腹の赤ちゃんが下降してくるため、骨盤に負担がかかってますます骨盤は不安定になります。そのため、腰痛が起こったり恥骨が痛むようになります。

臨月の腰痛については以下の記事で詳しく解説しています。
▶︎臨月に腰が痛い! もしかして陣痛? 出産前の腰痛対策

眠気・寝不足

妊娠後期になるとお腹の赤ちゃんに内臓が圧迫されるため、息苦しくなります。また、頻尿によってしっかりと眠れなくなることもあります。

そのため、眠りが浅くなったり、夜間によく眠れず昼間に眠気を強く感じるようになったという人も少なくないようです。

お腹の張り

お産が近づくと、前駆陣痛が起こるようになります。そのため、お腹の張りが気になることもあります。

おりものの変化

臨月ごろになると腟分泌物が増えておりものも増加します。この腟分泌物は、分娩の際に赤ちゃんが通り抜けやすいように潤滑剤の役割を果たします。

胎動の変化

お産が近づいて来るにしたがって、お腹の赤ちゃんが下降してきます。そのため、骨盤内に赤ちゃんの頭がはまって動きにくくなり、胎動の感じ方が変わったりします。

臨月の胎動について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
▶︎臨月の胎動はどんな感じ?弱くなるって本当?

分娩の前兆と間違いやすい!危険な症状

分娩の前兆や妊娠後期の症状に似ていても、ママや赤ちゃんの危険に繫がる症状もあります。
代表的なものをチェックして万が一の時に備えておきましょう。

持続的な腹痛やお腹の張り

前駆陣痛の場合は不規則ながらも痛んだり痛まなくなったりが周期的に起こりますが、下腹痛やお腹の張りが持続的に起こる場合、「常位胎盤早期剥離」の可能性が考えられます。初期症状は切迫早産に似ていて、出血はある場合も見られない場合もあります。

常位胎盤早期剥離は、まだ分娩が始まっていないのに胎盤が突然子宮からはがれてしまう病気で、100~200分娩のうち1例程度に起こります[*2]。

お腹の赤ちゃんは胎盤を通して、お母さんの体から酸素や栄養を受け取っているため、胎盤がなくなると命の危険にさらされてしまいます。また、ママも大量出血や止血異常などを起こすことがあり、ママと赤ちゃんの両方の命に関わる病気と言えるのです。

急なお腹の痛みや持続する痛みがある、いつもと違うお腹の張りを感じる、出血などがある、胎動が少なくなったなどの場合は、すぐに出産予定の産院に連絡しましょう。これらに該当しなくても、いつもとなんだか違う症状があって判断に迷う場合は、まずは相談することが大切です。

妊娠37週未満でのお腹の張りや痛み

妊娠22週以降37週未満で規則的なお腹の張りや痛みが起こった場合、「切迫早産」が考えられます[*1]。

切迫早産になると規則的な子宮収縮が起こり、子宮頸管が柔らかくなっていきます。性器出血や破水を起こすこともあります。進行を止めることができないと、早産をすることになってしまいます。

お腹の赤ちゃんを守るために、妊娠22週以降37週未満で規則的な下腹部痛やお腹の張りが起こったら、すぐに産院に連絡しましょう。

陣痛の前兆がきたらすること

分娩の前兆、陣痛がもうすぐ来ると思われる症状が見られたら、どんなことをすればいいのでしょうか。

病院へ連絡は?

前駆陣痛の段階ではまだ産院に向かう必要はありません。まずは入院準備グッズを見直し、入院中の家族の過ごし方なども確認して入院準備を進めておきましょう。

1時間に6回以上または10分以内ごとに起こるお腹の痛みや張りが起こったら、陣痛と考えられます。病院(出産予定の産院)に連絡して指示を仰ぎましょう。破水した場合は連絡の上、すぐに産院へ向かいましょう。

お風呂に入るのは?

おしるしがあっても普段通りの生活をしていて問題ありません。いつ陣痛が始まってもおかしくない状態ではあるので、リラックスしつつ入浴しておくのもおすすめです。

ただし、細菌などが入りやすくなるため、破水をしていたら入浴は避けましょう

食事は?

お腹がすき過ぎると、気持ちが悪くなって陣痛がさらにつらくなることがあります。そのため、分娩中に吐き気を感じたり実際に吐いてしまうこともあります。

分娩が始まったら長丁場になることもあります。食べられる時に、食べ過ぎない程度に食べておきましょう

まとめ

分娩に向けてママの体の状態や赤ちゃんの位置は少しずつ変化していきます。そのため、分娩の前兆としておしるし、前駆陣痛などが見られます。また、時には分娩前に破水が起こることもあります。その他、下腹部がさらに突き出てきた、頻尿、腹部の張り、恥骨の痛み、おりものの増加、眠気や寝不足など様々な症状が見られることも。
分娩の前兆や妊娠後期によくある症状が起こったら、赤ちゃんに会える日まではもうすぐです。入院準備を進めながらその日を楽しみに待ってくださいね。

(文:大崎典子/監修:浅野仁覚 先生)

※画像はイメージです

この記事の監修ドクター
浅野仁覚先生
葵鍾会 ロイヤルベル クリニック勤務。福島県立医科大学、同大学院卒業後、社会保険二本松病院、南相馬市立総合病院産婦人科医長、福島県立医科大学附属病院総合周産期センター(母体・胎児部門)助教、東府中病院副院長、アルテミスウィメンズホスピタル院長を経て現在に至る。日本産科婦人科学会専門医、医学博士、J-MELSベーシックコースインストラクター

参考文献
[*1]『病気が見える vol.10 産科』メディックメディア
[*2] 「出産に際して知っておきたいこと」国立成育医療研究センター
[*3] 「真骨魚類リラキシンの生理作用の探索」比較内分泌学Vol. 40 No. 153 (2014. 9)
[*4]Y.Kamimoto et al,J Anesth 30(2):268-273,2016

※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

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