臨月にお腹が痛い原因は陣痛?
妊娠37週0日から41週6日までに出産することを「正期産」と言います。それ以前(妊娠22週0日~36週6日)の出産は早産となりますが、37週を過ぎると胎児のすべての器官が完成し、いつ生まれても大丈夫な時期に入ります。
初めての出産の場合は、いつ、どういうタイミングで陣痛が始まるか、気になる人も多いのではないでしょうか。まずは「陣痛」とはどのようなものなのかを知り、また、それ以外で臨月に起こりやすい腹痛のパターンを確認しましょう。
陣痛とは?
陣痛とは、赤ちゃんを母体の外へ出そうとする子宮の収縮が繰り返して起こるものです。痛みを伴う子宮の収縮が起こったあとは、いったん収縮が休止しますが、再びまた収縮が始まります。
この収縮と休止が交互に繰り返される状態が陣痛で、一般に「本陣痛」と呼ばれます。
本陣痛は自分の意思ではコントロールできず、いったん始まると分娩が終わるまで止めることはできません。
陣痛の感じ方には個人差があり、進行具合も人それぞれですが、通常は分娩が進むにつれて痛みはどんどん強くなっていきます。ママにとっては痛みを伴うつらい陣痛ですが、赤ちゃんを外へ出すために必要なものです。
陣痛以外で臨月によくある腹痛
出産日が近づくにつれて、少しずつ赤ちゃんの頭が子宮の下へ下がってきます。そのことで恥骨や股関節に痛みを感じたり、骨盤が押されることで痛みを感じたりする人もいます。
ほかにも妊娠中はホルモンの影響や、大きくなった子宮で腸が圧迫されて便秘になる人もいます。そのため便秘が原因の腹痛を感じる人もいるようです。
前駆陣痛と本陣痛の特徴と違いとは?
臨月に子宮が収縮するような腹痛を感じると、「これが陣痛?」と思ってしまいますよね。間違いやすいのが「前駆陣痛」と呼ばれる子宮収縮の痛みです。
出産日が近づくと感じるようになる「前駆陣痛」と、分娩の始まりとなる「本陣痛」、これらにはどのような違いがあるのでしょうか。それぞれの特徴についてまとめました。
痛みの間隔の違いは?
前駆陣痛と本陣痛の大きな違いは、痛みが周期的に起こるかどうかです。
前駆陣痛の場合は痛みの間隔が不規則。
一方、本陣痛の場合は、子宮が収縮して強い痛みを感じる時間と子宮収縮が止んで痛みがおさまる時間が交互に繰り返し、周期的に起こります。
本陣痛の場合、目安として1時間に6回以上(10分以内に1回)の痛みが定期的に起きるようになれば、分娩が始まったと考えられます。
ここからだんだんと痛みが起きる間隔が短くなり、個人差はありますが、子宮口が4~6cm開いた段階での陣痛周期は3分ほど、子宮口が全開した段階では2分ほどの間隔になります[*1]。
痛みの⻑さの違いは?
前駆陣痛の場合は痛みが続く時間も不規則です。本陣痛は子宮口全開の時点で、平均的な持続時間は1分ほどです[*1]。
痛みの強さの違いは?
前駆陣痛の痛みはさほど強いものではなく、安静にしていれば耐えられる痛みであることが多いものです。
本陣痛の場合は、分娩開始からだんだんと痛みが強くなります。子宮口が全開になり、赤ちゃんの頭が見え隠れするようになるころ痛みはピークに。赤ちゃんが無事に母体の外へ出ると、痛みは無くなります。
こんな腹痛があったら気を付けて!
陣痛ではない痛みで、一時的なお腹の張りや痛み、前駆陣痛の場合は心配はいりません。
しかし、中には注意したい腹痛もあります。過剰に心配する必要はありませんが、万が一のため、臨月に気を付けたいお腹の痛みについても知っておきましょう。
妊娠37週未満の下腹部痛は切迫早産の可能性
臨月に入っても妊娠37週未満での出産は早産となります。37週未満であるにも関わらず、規則的な下腹部痛、性器出血があるときは、切迫早産の可能性があります。
急激な下腹部痛
胎盤は通常、赤ちゃんが母体の外に出てからはがれ落ちますが、妊娠中や分娩経過中にはがれてしまうことを「常位胎盤早期剥離」と言います。
発生頻度は全分娩の0.5~1.3%なので極度に心配する必要はありませんが、急激な下腹部痛には注意しておきましょう[*2]。
まとめ
臨月に入ると、赤ちゃんに会える日は間もなく。いつ陣痛が来て出産が始まるかドキドキして、ちょっとした痛みでも不安になってしまう人が多いかもしれません。
陣痛は反復して起こる規則的な痛みが特徴なので、不規則に起こる前駆陣痛やそのほかの痛みとは違います。突然の強い腹痛や、破水や出血などほかの症状を伴うときは何か問題が起きていることもあります。
何か気になる症状があるときは、すぐ医療機関へ連絡しましょう。

(文:剣崎友里恵、監修:中林稔先生)
※画像はイメージです
[*2]医療情報科学研究所/編・2014年・『病気がみえるvol.10 産科 第3版』・メディックメディア・P114
池ノ上克・鈴木秋悦・髙山雅臣/編・2004年・『NEWエッセンシャル産科婦人科』・医歯薬出版
※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました
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