【医師監修】出産後1ヶ月で何kg減る? 産後体重が減らない原因と対策!

【医師監修】出産後1ヶ月で何kg減る? 産後体重が減らない原因と対策!

妊娠中は体が大きく変化しますが、そのひとつに体重の増加があります。体験したこともないような体重変化に「この増えた分の体重は、産んだらすぐに元通りになるの?」と不安になったり、「早く元の体重まで減らさなければ!」と焦ってしまう人もいるかもしれません。一体どのくらいの期間で妊娠前の状態に戻ってくるのでしょうか。


産後、身体の状態はどんな感じ??

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「産褥期(さんじょくき)」と呼ばれる産後6~8週までの期間では、妊娠によって変化した体が、分娩を経て元の状態に戻ろうとしています。

赤ちゃんが産まれたあと、間もなく後産として子宮の中にあった胎盤などが体外に排出されます。その後、胎盤や卵膜がはがれたときの傷口から出る血液、脱落膜とよばれる子宮の粘膜・粘液などが体外に排出されます。

これらは悪露(おろ)と呼ばれ、個人差はありますが産後4週間ほどでなくなってくることがほとんどです。また、妊娠で大きくなった子宮も分娩後は徐々に収縮し、産後6週間程度で妊娠していないときの大きさに戻ります。

また、分娩時に赤ちゃんが出てくる部分(腟)と肛門の間のあたりの「会陰(えいん)」が傷つくことがあり、切開した場合も含めて医師によって縫合されます。この傷が座った時なのに痛むことはありますが、産後1週間もすれば楽になってくるでしょう。

妊娠から出産まで、体重はどれだけ増える︖︖

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妊娠中、特にもうすぐ出産という時期は、体重がどんどん増えて、医師や助産師に注意された人も少なくないはず。妊娠中に体重はどのくらい増えるのでしょうか。

妊娠中の体重は「増えすぎ」も「増えなさすぎ」もNG

妊娠とともに体重が増えるのは自然なことですが、妊娠前から肥満だったり、妊娠中にあまりにも体重が増えすぎると、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病を発症しやすくなったり、微弱陣痛のリスクが生じます。

かといって、体重は増やさなければいいわけではなく、特に妊娠前に痩せていた人(BMIで「やせ」体格)が妊娠中の体重増加が不十分だと、胎児発育不全を引き起こしたり低出生体重児が生まれやすくなるなどのリスクがあります。

妊娠中の推奨体重増加量は「体格」によって違う!

妊娠中に望ましい体重増加量は、「すべての妊婦さんで●kg!」と一律ではなく、妊娠前の体格(BMI)によって変わります。

BMIとは「ボディマス指数」のことで、身長と体重から肥満度を割り出す体格の指数です。

体重(kg)÷身長(m)2で算出され、18.5未満が「低体重(やせ)」、18.5以上25.0未満を「ふつう」、25.0以上を「肥満」としています。

BMIごとの望ましい妊娠中の体重増加量は、下記のとおりです。

・「低体重(やせ)」の場合…妊娠前より9~12kgの増加
・「ふつう」の場合…妊娠前より7~12kgの増加
・「肥満」の場合…個別に対応


なお、「ふつう」体格だったら全員が「7kg増加でOK/12kg増加してもいい」わけではなく、BMIが「やせ」寄りならば12kg近く、「肥満」寄りならば7kg近くが望ましい体重増加量となります。

また、BMI25.0以上の「肥満」の場合でも数値によって推奨増加量は異なり、「ふつう」に近いBMIならば5kgが目安、25.0を大幅に超えるBMIならばリスクを考慮して個別に対応されます。

妊娠中の体重、何が増えている?

妊娠中に増えた体重増加は、妊娠していないときの体重増加とは異なり、「体重増加=肥満になっている」というわけではありません。妊娠によって増える体重のおおよその内訳は、下記のとおりです [*1]。

・胎児 25~30%
・胎盤 5%
・子宮 7~8%
・羊水 6~7%
・母体の血液量 12~15%
・血管外の水分量 9~12%
・体脂肪 25~40%
・乳房 3~4%

産後、すぐに体重が減らない理由は︖︖

「出産したら、妊娠中に増えてしまった体重が一気に元通り!」と期待したいのはやまやまですが、残念ながら出産直後の体重はすぐに元通りにはなりません。

というのも、先ほど説明した「妊娠中に増えた体重の内訳」にある通り、出産とともに体外に出る胎児や羊水、胎盤などを合わせた重さは、約4kg程度だからです。

ほかに妊娠中に増えた血液や体内の水分、発達した乳腺や脂肪などは、産後時間をかけて元に戻っていきます。体重の減り具合には個人差があり、だいたい産後2~4ヶ月でさらに4kgほど減り、皮下脂肪の蓄積などの影響で妊娠前よりも2~3kg増えた状態で落ち着く人が多いとされています。また、体重だけでなく、妊娠によって大きくなったおなかも、出産直後にすぐ元通りになるわけではありません。それは、子宮は約6週間かけて元の大きさに戻るからです。

脂肪として蓄積されている分もあるので、出産後しばらくは、「出産したら妊娠前の服がピッタリに!」とはならないと考えておいたほうがよいでしょう。

産後は太りやすい? やせやすい?

分娩後すぐには戻らない体重ですが、比較的戻りやすい人となかなか戻らない人がいるようです。どんなことに気を付ければいいのでしょうか。

「ドカ食い」に注意

出産を終えると、それまで大きくなった子宮から圧迫されていた胃が楽になるため、ついたくさん食べてしまう人が多いようです。育児は体力勝負ですから、十分な食事をとることは大切なのですが、大食いになりすぎないように注意したいものです。また、ジャンクフードやスナック菓子ばかりではなく、栄養バランスの整った食事を心がけてください。

⺟乳育児をすると体重が減りやすい?

授乳はエネルギーを消費するため、おなかがすきます。赤ちゃんが飲む母乳の量や母乳に含まれるエネルギー量などから算出した「授乳によるママのエネルギー消費量」は517kcalとされています [*2]。

赤ちゃんが1日に飲む母乳の量は成長によって変化していきますが、1日あたり780mlの母乳をあげるのであれば、妊娠前に必要な1日のエネルギー量に加えて約350kcal分が必要になります。つまり、母乳をあげていれば、妊娠する前の食事と同じ量を食べていても、痩せていく計算になります。

とはいえ、授乳していても妊娠前よりも大幅に食べる量が増えてしまえば、やはり体重は減りにくくなります。「母乳をあげているから大丈夫!」と油断するのは禁物です。

さらに、卒乳後も授乳中と同じ量の食事を食べていると、やはり太りやすくなるので、注意が必要です。

産後すぐに運動はできる?

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体重を減らすことを考えたとき、運動をしたいと思う人も少なくないはずです。しかし、産後すぐは体調が万全ではありませんし、昼夜問わずの赤ちゃんの世話で睡眠不足にも陥ります。

少なくとも、悪露が落ち着き、1ヶ月健診で医師のチェックを受けるまでは無理は禁物。できれば産後6~8週ごろまでの産褥期の間は体を癒すのを優先して、様子を見ながら少しずつ体を慣らしていきましょう。

産後すぐに行える運動としては、産褥体操(さんじょくたいそう)があります。この体操は産後の入院中から行え、寝た体勢や家の中で家事のついでにできるものもあり、心身の回復や肥満予防のほか、尿漏れや腰痛、肩こりなどの軽減が期待できます。まずは産褥体操から始めてみるとよいでしょう。

まとめ

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産前と変わらない姿で活躍する女性を見ていると、「自分もああなりたい」と思い、一刻も早く体重や体型をもとに戻したいと気持ちが急いてしまうかもしれません。
しかし、産後すぐの体で過度なダイエットや運動は控えたいものです。出産で体内は傷だらけになり、たくさん出血しています。臓器もすぐに元通りにはなりません。そのような中で行う育児は過酷です。
まずは体をなるべく休め、栄養をとり、体を元通りに回復させることを優先させましょう。この時期は「ダイエットする」というよりも「健康的な生活を心掛ける」ことを意識してみてください。

この記事の監修ドクター
産婦人科専門医 中林稔 先生
日本医科大学卒業、虎の門病院医長を経て、現在三楽病院産婦人科部長。 診療のみならず、学会・各地講演をはじめとする医学の普及活動を行う傍ら、教育にも幅広く従事しており、2008年には中林助産師学院を共同設立。自ら講師を務め、6年間連続助産師国家試験合格率100%を達成中。医師+(いしぷらす)所属

(文:今井明子/監修:中林稔先生)

※画像はイメージです

【参考文献】
[*1]メジカルビュー社「講義録 産科婦人科学」p.309
[*2] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2015年版)」
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000083871.pdf
日本産科婦人科学会監修「Baby+お医者さんがつくった妊娠・出産の本」

※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

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※新型コロナウイルス感染症についての最新情報は、[内閣官房][厚生労働省]妊婦に関する情報[日本小児科学会]幼児に関する情報など公的機関等で発表されている情報をご確認ください。

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