【医師監修】陣痛の始まりってどんな痛み? 痛みの時間・間隔・程度など

【医師監修】陣痛の始まりってどんな痛み? 痛みの時間・間隔・程度など

赤ちゃんとのご対面を間近に控えたこの時期には、ワクワクした気持ちとともに、出産に対する緊張や不安も出てくるものです。陣痛はどのように始まる?痛みの程度は?すぐに陣痛とわかる?など、気になることも多いでしょう。少しでも楽な気持ちで出産に臨んでいただけるよう、陣痛の始まりからお産までの一般的な流れについてお伝えいたします。


陣痛、陣痛の症状、陣痛から出産までについて

<疑問1>陣痛ってなに?

〜覚えておきたい陣痛の基礎知識〜

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※画像はイメージです

陣痛と聞くと、「鼻からスイカ」などを連想する方も多いのではないでしょうか。それほどまでに痛いというイメージが先行しがちな陣痛ですが、これはなぜ起こり、どのような痛みなのでしょうか。まずは陣痛についての基本的な知識について見ていきましょう。

陣痛とは、簡単に言えば赤ちゃんをお腹の外へと産み出すための子宮の筋肉の収縮運動です。赤ちゃんの出てくる準備が整ったら母親の意志とは関係なく起こり、陣痛発作(痛みが起こっている状態)と陣痛間欠(痛みがやんでいる状態)を繰り返します。

基本的に、一定の間隔で痛みを繰り返すようになったら陣痛(本陣痛)が始まったと考えられます。これが、いわゆるお産の始まりです。日本産科婦人科学会では、定期的に訪れる痛みが約10分以内、または1時間に6回のペースで訪れた時点を分娩の開始時期と定義しています。

というのも、その前段階ではお腹の張りや生理痛のような微弱な痛みが不規則に起こったり、10分間隔で訪れたと思ったら急に痛みが来なくなってしまったという場合もあります。このような痛みを一般的に前駆陣痛と呼び、分娩の際に起こる陣痛とは区別します。

<疑問2>陣痛はどんな痛みで始まる?

〜陣痛の始まりについて〜

妊娠37週を過ぎるといつ出産になってもおかしくない時期に入ります。医療機関によっては、この時期以降、妊婦健診の際に子宮口の開き具合を診察し、いつ陣痛が始まるかを予測することもあります。日本産科婦人科学会では、妊娠37週0日~41週6日までを正期産(せいきさん) 、それより早い場合は早産としています。

陣痛初期の痛みはどんな感じ?

陣痛の始まりは、タイミングはもちろん、痛みの出方も人によってさまざまです。前駆陣痛とわかるような痛みを覚え、徐々に定期的な痛み(陣痛)に変わってくる場合もあれば、前駆陣痛はなく(あるいは気づかず)定期的な陣痛から痛みを感じ始める場合もあります。

初期の痛みの感じ方も人それぞれで、お腹が強く張るような感じ、下痢のような痛み、シクシクした感じ、生理痛のような痛みなどさまざまな声が聞かれます。徐々に痛みが強くなり、子宮口が全開になっていざ分娩という段階でピークを迎えるので、初期の陣痛はまだ耐えられるくらいの痛みのことが多いでしょう。間隔が不規則で、痛みもそれほど強くなければ前駆陣痛と考え、まだまだ焦る必要はありません。

一般的な分娩初期の陣痛の目安は、以下のようになります。[*1]

・陣痛発作の痛み:微弱
・陣痛発作の時間:短い(およそ10~20秒)
・陣痛間欠(痛みの間隔)の時間:長い(およそ10~20分)

陣痛の進行に伴い、だんだんと痛みは強くなり、発作の時間も30~90秒と長くなっていきます。痛みの間隔も3分、1~2分と、だんだんと短くなっていきます。

「おしるし」と「破水」についても知っておこう

陣痛が始まる前に見られる出血を「おしるし」と言います。おしるしは、子宮壁から卵膜がはがれることで起こります。赤ちゃんを入れる袋である卵膜は、それまでは子宮壁にくっついているのですが、お産の準備が進んで子宮口が開いてくるとはがれ、その際に少量の出血が見られることがあります。

ただ、はがれても出血しない場合もあるので、おしるしがなく陣痛が始まることもありますし、おしるしが見られたら必ずしもすぐに陣痛が始まるわけではなく、おしるし~陣痛開始まで数日かかることもあります。

破水とは、赤ちゃんの頭と子宮の内圧に押され、卵膜が破れて羊水が出てくることを言います。破水は子宮口が最大に開いた陣痛のピーク時に起こり、その後出産という流れが一般的ですが、陣痛前に破水する場合もあります。出方はさまざまで、一度に大量に出る場合もあれば、尿漏れのように少しずつ流れる場合もあります。陣痛前に破水しても赤ちゃんに問題があるわけではないので、焦らないようにしましょう。

ただ、破水するとバイ菌が入りやすい状態になるので、入浴は控えてください。多くは24時間以内に陣痛が始まるので、破水だと思ったらすぐに病院に連絡し、入院の準備をして向かいましょう。破水かどうか判断がつかないときも、かかりつけの産婦人科に相談してください。

<疑問3>陣痛開始から生まれるまではどう進む?

〜出産までの流れと痛みの変化〜

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それでは、陣痛の開始から出産まではどのように進んでいくのでしょうか。標準的な流れと時間の目安、痛み方の変化についてお伝えします。

分娩第1期

陣痛の始まり~子宮口が全開になるまでの期間を、分娩第1期と言います。
10分間隔の痛み(もしくは1時間に6回の痛み)が定期的に訪れるようになったら、陣痛が始まったと考えられます。ただ、この段階では、分娩まではまだまだ長い時間を要します。出産予定の医療機関からは、連絡する陣痛間隔について指示が出ているはずです。医療機関によって違いがありますが、例えば初産婦なら10分以内、経産婦なら15分以内の陣痛を感じたら電話してくださいなどの指示があるので、痛みの起こる間隔に注意しましょう。

なお、以下すべてにあてはまるときは、焦らずに家で様子を見ても良いでしょう。
・痛みが不規則(もしくは間隔が長い)
・出血が見られたが、生理のピーク時以上の量は出ていない
・胎動がしっかりある

※ただし、治まる時間がない腹痛が続いていたり、お腹が板のように硬直する、胎動の減少などといった症状とともに少量の出血がみられた場合は、出産よりも先に胎盤がはがれてしまう「常位胎盤早期剥離」もまれに疑われます。
この場合、赤ちゃんと妊婦さんの命にかかわる危険な状況となるため、大至急の対応が必要です。さきに挙げた代表的な症状がみられなくても、いつもと違う症状を感じたり、判断に迷う場合は、遠慮せずにかかりつけ医療機関に相談しましょう。

赤ちゃんは、子宮口がしっかり開き(赤ちゃんの出口がしっかり確保され)、陣痛がピークになった(赤ちゃんを押し出す力が整った)とき、はじめて産まれてきます。どちらか一つの状態が整っていなければ、産まれてくることはできません。子宮口は全開になると10cmになりますが、特に初産では4cmまで開くのに最も多くの時間を要します。

子宮口が全開になるまでの段階と時間は、「陣痛曲線」もしくは「Friedman(フリードマン)曲線」と呼ばれるグラフが目安になります。これは、陣痛の始まりからお産までの時間経過と、時間ごとの子宮口の開き具合、赤ちゃんの頭の下がり具合の関係を表したグラフです。

ただし、これは標準的な流れであり、各段階の時間には個人差があります。分娩に異常があるかどうかは、時間の流れだけでなく、児頭骨盤不均衡(じとうこつばんふきんこう:胎児の頭と母体の骨盤の大きさが不釣り合い)の有無や赤ちゃんの姿勢、陣痛の強さなどから総合的に医療スタッフが判断するため、標準より早かったり遅かったりしても、それだけで不安になる必要はありません。

グラフの各段階における、おおよその時間目安や痛みの程度は以下のとおりです。[*2]

潜伏期

子宮口が0~2.5cmになるまでの段階です。

・陣痛の間隔:10分以内(1時間に6回以上)
・経過時間:およそ9~20時間(経産の場合は14時間以内。初産でも、9時間かからない場合もあります)
・痛み:まだ耐えられる程度です。発作の時間も10~20秒と短い[*1]

加速期

子宮口が2.5cm~4cmになるまでの段階です。

・陣痛の間隔:5~7分おき
・経過時間:およそ2~3時間
・痛み:徐々に強くなっていきます。発作の時間も30~90秒と長くなっていきます。[*1]

極期(きょくき)

子宮口が全開に向かって急速に開いていく段階です。

・陣痛の間隔:3分
・経過時間:およそ1時間
・痛み:ピークに差し掛かります。もっとも痛みが強いときでは、耐えがたい痛みになってきます。

減速期

子宮口が9cm~10cmになる段階です。

・陣痛の間隔:1~2分おき
・経過時間:およそ1時間
・痛み:ピークの段階です。

この段階で破水し、分娩第2期に入ることが多いです。

分娩第2期

子宮口が全開になってから赤ちゃんが出てくるまでの間を、分娩第2期と言います。
赤ちゃんの頭が骨盤の入り口に入り、旋回しながらゆっくりと出てきます。初産婦ではおよそ1~2時間、経産婦ではおよそ30分~1時間が標準的な経過時間とされています。[*3]

分娩第3期

赤ちゃんが産まれてから胎盤が出てくるまでの間を、分娩第3期と言います。
赤ちゃんが産まれると子宮は収縮し、おへその部分まで下がってきます。5分程経つと、後産陣痛と呼ばれる微弱陣痛が起こり、胎盤がはがれて出てきます。経過時間は、およそ20~30分、最長でも1時間以内とされています。[*3]

【助産師解説】後陣痛はいつまで?初産婦より経産婦はひどい?

https://woman.mynavi.jp/kosodate/articles/3539

分娩の際、激しい痛みを伴う陣痛。これで痛いのは終わり! ……と思ったら、「後陣痛」(こうじんつう)を体験しびっくりしたママも少なくないようです。出産後にママが経験する母体回復の過程のひとつである後陣痛について、今回はその原因や持続期間ほか、緩和方法などをお伝えしたます。

<疑問4>実際、陣痛はどんな感じだった?(体験談)

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ここまで、標準的な陣痛~出産の流れを見てきましたが、分娩過程には個人差があるため、当てはまらない場合もあります。初産でも分娩が順調に進み10時間を超えずに出産に至るママ もいれば、30時間経っても産まれないママもいます。では、「人それぞれ」とは具体的にどのようなものなのでしょうか。自分の経過が他の人のどの経験にも当てはまらないこともありますが、経産婦さんの体験を知ることでいろいろとイメージできる部分もあるでしょう。いくつかご紹介します。

・「自然に陣痛が来なくて、途中から子宮収縮薬(陣痛誘発剤)を点滴しても微弱。いったん点滴を中断して、翌日に再トライ。薬で陣痛がきて必死に痛みに耐えること、そこから24時間。やっと出てきてくれました。でも、こちらはぐったり。死ぬかと思いました。」(29歳/IT/その他)

・「陣痛が2日弱続き、壮絶な痛みに耐え抜きました。分娩台にいたときのことは全然記憶にありません」(35歳/出版関連/専門職)

・「初産にもかかわらず、陣痛からスムーズにお産が進み、5時間でスポーンと出産しました。里帰り出産だったため、主人が到着に間に合わず残念でした」(32歳/サービス業/その他)

便利! 陣痛タクシーの利用方法・料金・選び方

https://woman.mynavi.jp/kosodate/articles/1275

出産を直前に控えたママにとって、陣痛が突然きたら不安ですよね。そんな時、陣痛タクシーなら妊婦さんも安心! 今回は、近年急速に広まった陣痛タクシーの利用方法のほか、料金や、選び方のポイントをお伝えします。

まとめ

出産予定日が近づくと、赤ちゃんに出会える瞬間をドキドキしながら待ちわびる反面、「陣痛に気づくのが遅かったらどうしよう」「痛みに耐えられるだろうか…… 」との不安や緊張もつのることと思います。怖がらないでというのは無理なことですよね。大切なのは、自分が納得できるまで心と体の準備をしておくことです。かかりつけの産婦人科で行われる各クラスに参加したり、助産師さんにアドバイスやサポートをしてもらいながら少しずつ心構えをしていきましょう。

そして、出産は自分一人で行うわけではないことも忘れないでください。サポートしてくれる医師や助産師さん、ご主人、親御さんなど、みんなの力を借りながら成し遂げるものです。何よりも、痛みを感じているときは、赤ちゃんも頑張っていることを思ってください。ママとパパに会おうと必死に頑張っている赤ちゃんのことを思うと、自然と力も湧いてくるものです。新しい命の誕生を迎えるその瞬間まで、リラックスしながらマタニティライフを楽しんでください。

【助産師解説】出産が怖い!理由別の乗り切り方<ママ体験談>

https://woman.mynavi.jp/kosodate/articles/7046

出産が怖いと感じる妊婦さんは意外と多いもの。その理由と対処法について、助産師がアドバイスします。漠然とした不安でもやもやしている方も、陣痛などはっきりとした不安がある方も、ぜひチェックしてください。

この記事の監修ドクター
産婦人科専門医 中林稔 先生
日本医科大学卒業、虎の門病院医長を経て、現在三楽病院産婦人科部長。 診療のみならず、学会・各地講演をはじめとする医学の普及活動を行う傍ら、教育にも幅広く従事しており、2008年には中林助産師学院を共同設立。自ら講師を務め、6年間連続助産師国家試験合格率100%を達成中。医師+(いしぷらす)所属

参考文献
[*1]『3.分娩の生理・産褥の生理』日本産科婦人科学会
http://www.jsog.or.jp/PDF/59/5910-637.pdf
[*2]『出産に際して知っておきたいこと』国立成育医療研究センター
https://www.ncchd.go.jp/hospital/pregnancy/bunben/guide.html#04
[*3]『20.正常経腟分娩の管理』日本産科婦人科学会
http://www.jsog.or.jp/PDF/60/6010-451.pdf

※この記事は 医療校閲・医師の再監修を経た上で、マイナビウーマン子育て編集部が加筆・修正し掲載しました(2018.07.23)

※記事の修正を行いました(2019.06.04)

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。
※新型コロナウイルス感染症についての最新情報は、[内閣官房][厚生労働省]妊婦に関する情報[日本小児科学会]幼児に関する情報など公的機関等で発表されている情報をご確認ください。

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