【医師監修】臨月の下痢は出産の兆候!? 主な3つの原因と気を付けるべき症状

【医師監修】臨月の下痢は出産の兆候!? 主な3つの原因と気を付けるべき症状

臨月に入り、「もうすぐ出産というころに下痢になった」という先輩ママは実は少なくないようです。下痢は出産の兆候のひとつなのでしょうか? また、なぜ臨月になると下痢が起こりやすいのでしょうか? 考えられる原因と注意が必要な症状について解説します。


この記事の監修ドクター
Fika Ladies‘ Clinic フィーカレディースクリニック(東京都中央区日本橋)副院長。順天堂大学医学部附属浦安病院非常勤助教。東京女子医科大学卒業後、順天堂大学医学部附属順天堂医院、順天堂大学医学部附属静岡病院などを経て、2009年に順天堂大学大学院医学研究科を卒業、博士号を取得。医学博士、日本産科婦人科学会専門医、日本抗加齢医学会専門医、日本医師会認定健康スポーツ医、日本スポーツ協会公認スポーツドクター、日本障がい者スポーツ協会公認障がい者スポーツ医、女性のヘルスケアアドバイザー。

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臨月に下痢症状が……これは出産の兆候って本当?

臨月に起こる下痢の症状、これは「出産の兆候」だといわれることがあります。それはなぜなのでしょう。

妊娠中は下痢になる人もいる

妊娠中の便の変化というと「便秘」を連想したり、経験したりする人のほうが多いかもしれません。しかし、妊娠中の便の変化は便秘だけではありません。「下痢」の症状が現れる人もいます。

「下痢」とは、便の中の水分が過剰になった状態のことをいいます。そうした水分の多いゆるい便が1日に3回以上出る場合のことを指して、「下痢」と定義されています[*1]。

下痢になると便とともに大量の水分が排出されるため、水分補給を行い、脱水症にならないよう気を付ける必要があります。妊婦さんが下痢になった場合も、大量の水分を失う可能性があります。もしも下痢の症状が見られたら、まずは経口補水液などによる 確実な水分補給を続けましょう。

臨月の下痢は分娩の兆候の可能性も

妊娠中は妊娠経過が進むほど、つまり出産予定日に近づけば近づくほど、下痢が起こる可能性が高くなっていくといわれています。「臨月に起こる下痢はお産が近いことを知らせるサイン」というのは、どうやら本当のようです。

お産が近づくと下痢が起こりやすくなるのは、大まかにいうと体がお産に向けた準備を整えているからです。詳しくは後ほど解説します。

一時的な下痢なら、赤ちゃんへの心配は無用

とはいえ、お産が近づいている時期、下痢になると「赤ちゃんに影響があるのでは?」「早産になるのでは?」と心配になることがあるかもしれません。

早産については、予定日までまだ数週間ある段階であれば、下痢による影響はほとんど心配しなくて大丈夫です。ですが下痢によって脱水状態におちいると、お腹が張りやすくなることがあります。

お腹の張りは生理的なもので問題ないこともあれば、早産の兆候のひとつであることもありますが、それを症状だけから区別するのは難しいので、下痢になったら、お腹の張りを防ぐためにも水分が不足しないよう気を付けましょう。

また赤ちゃんへの影響ですが、一時的な下痢で、脱水症が続くような状態でなければ、心配しなくて大丈夫。ただし一時的なものであっても、下痢の原因が細菌やウイルス感染による場合は、胎盤を通じて赤ちゃんに影響を及ぼす場合もあり、要注意です。

妊娠中、とくに注意が必要な細菌やウイルスの詳細についても、このあと紹介します。

臨月に下痢になりやすい主な原因

ここからは妊娠後期や臨月になると下痢になりやすくなる、詳しい原因について解説していきます。妊娠中の下痢の主な原因は、以下の通りです。

(1)一時的なアレルギー反応

特定の食べ物などによるアレルギー反応の一種で、下痢が起こることがあります。妊娠中は特定の食べ物や物質に過敏になることもあり、妊娠前はなんともなかった食べ物によって突然、胃のムカつきや下痢が起こることも少なくありません。

突然下痢の症状が現われたら、まずは水分補給をしっかり行いながら、下痢症状が一時的なものであるかどうか、下痢以外に目立った症状がないかどうかに注意して様子を見ましょう。

(2)ホルモンバランスの変化

妊娠中は女性ホルモンの分泌に変化が生じます。すると、その影響で消化に時間がかかるようになり、結局うまく消化できずに下痢を引き起こしてしまうことがあるのです。中には、妊娠初期から下痢に悩まされる人もいます。

(3)細菌またはウイルス感染の疑いも

アレルギー反応やホルモンバランスの変化による下痢も、症状が急変しないかどうか注意が必要ですが、細菌やウイルス感染による下痢の場合は、さらに注意が必要です。場合によっては、赤ちゃんに影響が及ぶこともあるからです。

早産を引き起こすこともあるリステリア菌

中でも、細菌の一種である「リステリア菌」にはとくに注意しておきましょう。

リステリア菌は土壌や水中など、自然界に広く存在する細菌で、食べ物ではソーセージなどの加工肉やチーズに多く含まれます。妊婦さんが感染すると、下痢、38℃以上の発熱、頭痛、筋肉痛といった症状が現れますが、妊婦さんから胎児に感染し、流産や早産の原因となることもあります。このリステリア菌は、妊婦さんは妊娠していない人に比べて感染率が20倍も高いといわれています[*2]。

リステリア菌のほかにも、細菌でいえば「腸炎ビブリオ」「病原性大腸菌(O157など)」「カンピロバクター」「サルモネラ」など、ウイルスでいえば「ノロウイルス」「ロタウイルス」「サポウイルス」「アデノウイルス」などへの感染により、下痢の症状が起こることもあります。

自分だけでなく家族にも下痢症状があるなど、ウイルスや細菌感染による下痢が疑われる場合は、できるだけ早く医療機関を受診しましょう。

臨月や妊娠後期の下痢、こんな症状に要注意

下痢以外にも、以下のような症状がある場合はできるだけ早く医療機関を受診することをおすすめします。

できるだけ早く受診したほうがよい症状

・初めて経験するような激しい下痢
・便に血や膿のようなものが混じっている
・下痢のほかに発熱、吐き気・おう吐などもある
・排便後も腹痛が収まらない
・脱水の症状がある
(※)
(※)脱水による症状の例:尿が少ない/出ない/濃い色をしている、口や舌が異常に乾く、皮膚の弾力がない、めまいやふらつきを感じる など
・下痢がずっと続いている/悪化してきた/体重が減ってきた
・食中毒の疑いがある
(同じものを食べた人も下痢をしている)

なお上記に当てはまらない通常の下痢であっても、

・性器からの出血がある
・持続的なお腹の張り
・胎動の減少


が見られる場合も要注意です。できるだけ早く、かかりつけ産科医に相談してください。まずは電話で相談し、指示を受けるのがよいでしょう。

下痢止めは自己判断で飲まないで

下痢になると下痢止めを服用し、つらい症状を軽減したくなることがあるでしょう。しかし妊娠中は、自己判断での下痢止めの服用は避けたほうが無難です。

市販の下痢止めには、妊娠中は注意が必要な成分が含まれていることもあります。そのため自己判断で服用するのはNG。必ず服用前に、医師もしくは薬剤師に妊娠中であることを伝え、相談した上で服用してください。

まとめ

臨月に起こる下痢は、お産が近いサインであることもありますが、原因は決してそれだけではありません。中には、食中毒やウイルス・細菌感染など、治療が必要な下痢の場合もあります。お産の近いこの時期はとくに体調の変化に注意し、必要な時に必要な対応ができるよう、準備しておきましょう。

(文:山本尚恵/監修:窪 麻由美先生)

※画像はイメージです

参考文献
[*1]American Pregnancy Association:Diarrhea in Pregnancy
[*2]厚生労働省:リステリア症(ファクトシート)

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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