コンドームが破れた! 妊娠の確率と2つの対処法【医師監修】
コンドームが破れた時の緊急措置
そもそもコンドームは妊娠する確率が15%程度あるとされています[*1]。コンドームだけで確実に避妊することは難しいのです。より確実に避妊したいという場合は、経口避妊薬(ピル)を併用するとよいでしょう。
ピルとは、エストロゲンとプロゲステロンの2種類のホルモンを配合した薬で、女性が毎日1錠ずつ服用する必要があります。避妊効果だけでなく、子宮体がん、卵巣がんの発症減や子宮内膜症の緩和、月経困難症の軽減にも効果があり、PMS(月経前症候群)や生理痛に悩まされることが少なくなるという効果も期待できます。
服用開始1~2週間くらいまでは気持ちの悪さや少量の不正性器出血を伴うことがありますが、ほとんどの場合、徐々に落ち着きます。服用をやめれば妊娠が可能です。コンドームが破れたり外れたりすることを心配する前に、もっと確実な避妊方法を利用しておくことが大切といえます。
ですが、事前に対処ができないままコンドームが破れて避妊に失敗してしまったという場合には、望まぬ妊娠の可能性を大きく下げられる緊急措置的対策があります。
(1)緊急避妊薬(アフターピル)
緊急避妊薬(アフターピル)は、避妊をしなかった、または失敗したセックスの後でも服用することで、妊娠の確率を下げることができる薬です。セックスの後、72時間以内に服用することで、妊娠を9割程度、阻止することができるとされています[*2]。
しかしアフターピルを使うにはいくつか注意すべき点があります。
まず原則として婦人科の受診が必要ですが、すべての婦人科がアフターピルの処方に対応しているわけではありません。あらかじめアフターピルの処方が可能な婦人科を探せる検索システムなどを利用して、近くの病院を探しておくのがよいでしょう。
また、費用面のハードルも高めです。保険適用外で自費診療となるため、8千円から1万5千円程度が必要です(ただし性被害にあった場合は、警察に届けると無料で処方してもらえます)。
そのほか、アフターピルを避妊方法として常用しないこと、1回の生理周期の中で何度も服用しないことにも注意が必要です。
(2)銅付加IUD
銅付加IUDとは、子宮内に挿入、装着して使用する避妊具(IUD)に銅を加えたものです。装着することで受精卵が子宮内膜に着床するのを防ぐ働きがあり、避妊をせずに行ったセックスの後、120時間(5日)以内に銅付加IUDを挿入すると、緊急避妊の方法としてほぼ100%の効果があるといわれています[*3]。
緊急避妊のために装着したIUDをそのまま挿入しておけば、避妊の効果は数年間持続します。
ただし、銅付加IUDを挿入するには、婦人科の受診が必要です。かかる金額はアフターピルよりも高額で、婦人科によって異なりますが3~4万円ほど必要になります。また、銅アレルギーがある人には挿入することができません。銅付加IUDを置いていない医療機関も多いです。
副作用については、生理に影響が出ることがあり、月経以外の性器出血、腹痛などの症状が現れることがあります。
アフターピルと銅付加IUD、どちらも緊急措置的避妊方法で、さまざまな注意点があるため、妊娠をしたくない時には継続的に低用量ピルを飲むようにしたほうがよいでしょう。