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【新連載】結婚退職者がこれで3人目……私、どうなるの?

Story1 ★あらわれた黒い影

「林さん、あのね……」
夕方5時のデパートの社員食堂は、

休息をとる人でガヤガヤとうるさい。
わたしは少し大きく息を吸い込んだ後、
周囲をはばかって小さめの声で話を始めた。

売り上げが上がらないだけでなく、
お客様から2回目のクレームを受けた林さんは、
派遣とはいえ、注意しないわけにはいかない。
というか、老舗デパートの中にある、
老舗化粧品メーカーの美容部員として、
彼女の態度はすでに「あってはならない」域。
見過ごすわけにはいかなかった。

「……そういうわけなんで、
話がクドかったり、かまって欲しがるお客様も、
けっして邪険にしないで。
ちゃんとアイコンタクトをとるだけで、
聞いていると思わせることはできるのよ」
「あ……はい」

ちょっと、言ってるそばから聞いてるの!
と言いたくなるような、気のない返事。
視線も目の前のわたしをすり抜けて、
おそらくはるか後の壁に貼られている
「今週の献立一覧」を見ている気配だ。