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【新連載】結婚退職者がこれで3人目……私、どうなるの?

「どうぞ、おあがりください」
松波さんに入ってもらうと、
林さんも木村さんも、ひどく驚いた顔で、
わたしと松波さんとを交互に見ていた。

「彼はいないって聞いてたけど!」
と彼女たちの顔にははっきりと書いてあって、
わたしは吹き出しそうになるのをぐっとこらえ
「ご近所さんなの」と松波さんを紹介し、
林さんと木村さんのことは
「会社のスタッフです」と説明した。

「きっとぼくのせいで、
皆様にもご迷惑をおかけしたと思います……」
そう言って松波さんは、あの雨の夜、
近所でわたしとぶつかって、
自分の家に運ばれたいきさつを話し出した。

「柳瀬さんの熱は、間違いなくあの晩、
ぼくを助けたせいです。すみませんでした」

松波さんが事情を説明してくれると
林さんと木村さんは「いえ、いいんです」と、
なぜか恐縮した雰囲気になり
「それでは」と言って帰って行った。

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