【新連載】結婚退職者がこれで3人目……私、どうなるの?
松波さんは、わたしの持ってきた、
レトルトのおかゆを2つ続けて開けると、
容器からそのまま飲み干した。異様に早かった。
そしてティッシュでていねいに口を拭うと、
わたしにぺこりと頭を下げた。
「本当にありがとうございます。助かりました。
ここ3日ずっと飲み物しか口にしてなかったから」
「また何で、そんなことに」
「ぼく、証券会社で為替ディーラーをしてるんですが、
最近市場の動きが激しくて……いやそれより、
ぼく何かに熱中すると他のこと忘れちゃうんです。
それでよく、上司や先輩にも叱られています。
でも今回はびっくりしたな」
「わたしも、びっくりしました」
そう言うとふたり、静かにクスクスと笑った。
「このお礼は必ずします」
松波さんはそう言って名刺を取り出し、
裏に携帯のメールアドレスを書きわたしにくれた。
笑顔が抜群によかったが、やはり顔色が悪い。
わたしは「お礼はいいですから」と首を横に振ると
「もう少し体を大事にした方がいいですよ」
と言い残して家に帰った。
だが翌日。今度はわたしが起き上がれなくなった。