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「伺う」と「窺う」の違いとは? 意味と使い分け方を解説

にほんご倶楽部

読み方が同じである「伺う」と「窺う」。みなさんはこの2つの言葉の違いをご存じですか?

ビジネスシーンや公の場で文章を書く機会があるのならば、それぞれの意味をきちんと把握しておきたいもの。

そこで今回は、「伺う」と「窺う」の意味の違いと使い方を解説していきます。自信を持って言葉を使い分けられるように、ぜひ参考にしてください。

「伺う」と「窺う」の意味

「伺う」と「窺う」のそれぞれの言葉の意味は次の通りです。

「伺う」は「質問や訪問をすること」

「伺う」は辞書によると、「質問する」や「訪問する」に近いニュアンスがあります。

うかがう【伺う】

「伺う」とは、「尋ねる・聞く・問う・質問する」もしくは「訪ねる・訪れる・訪問する・相手のもとへ行く」の意味で用いられる謙譲表現である。要するに「たずねる」の謙譲語であり、「尋ねる・訪ねる・訊ねる」のどの意味でも使える。

(出典:『実用日本語表現辞典』)

相手に聞きたいことがある時や、どこかに訪ねる用事がある際に用いることが多いでしょう。

「窺う」は「チャンスやタイミングを狙っていること」

一方、「窺う」は相手に対して直接何かをするよりも、自分で何かを見たり判断したりする様子を表します。

うかがう【窺う】

(1)すきまなどから、ひそかにのぞいて見る。
(2)ひそかにようすを探り調べる。
(3)一部分から全体を推し量って知る。それとなくようす、状況を察する。
(4)ようすを見て、好機の訪れるのを待ち受ける。
(5)一応心得ておく。
(6)調べ求める。調べ探す。

(出典:『デジタル大辞泉』小学館)

こちらは何かをひっそりと調べるといったイメージがあるのが特徴でしょう。また、チャンスやタイミングがやってくるのをじっと待つ際にも「窺う」を用いることができます。

「伺う」と「窺う」の違いとは? 使い分ける時のポイント

「伺う」と「窺う」は、同じ読みであっても意味は大きく異なります。しかし、シチュエーションによっては使い分けに悩むこともあるでしょう。

そこで2つの判断ポイントを紹介します。

使い分けのポイント1:謙譲語かどうか

「伺う」は「聞く」「訪問する」の謙譲語ですが、「窺う」は謙譲語ではありません。

そのため、ビジネスシーンで目上の相手やお客さまに敬意を示したい場合は、基本的に「伺う」を用いるのが適切でしょう。

使い分けのポイント2:相手と面と向かって接するかどうか

使い分けのポイントの2つ目は、相手と面と向かって接するかどうかです。

例えば、直接相手に会って質問する、訪問するなどの意味で使う時は「伺う」を使います。

一方、「窺う」は相手の様子をこっそりと見るニュアンスが強いため、対面で接する場面で用いるのはふさわしくないでしょう。

文章で使用する場合は、使い方に注意して表現に適した方を選ぶようにしてくださいね。

「伺う」の使い方【例文付き】

「伺う」は誰かに聞いたり、訪問したりする際の表現を丁寧にした言い方です。

自分がへり下る謙譲語として用いることができるため、目上の人やお客さまにも使用することができます

正しい使い方を覚えておけば、ビジネスシーンで幅広く活用することができるでしょう。

例文

・「〇時までに××ビルまでお伺いします

・「先日の会議の内容でお伺いしたいことがございます」

Check!:「伺う」の意味と使い方とは? 使う上での注意点(例文付き)

「窺う」の使い方【例文付き】

「窺う」は、「こっそり見る」「じっと観察する」といったニュアンスを与えたい場合に使用すると効果的です。

ただし、「窺」は常用外漢字扱いなので、公用文で用いる際はひらがなで「うかがう」と表記する形になります。

とはいえ、日常使いする中では常用漢字かどうかを気にする必要はありません。特に、小説や体験談であれば、ひらがなで表記するよりも「窺う」とした方が効果的に表現できることもあるため、状況に応じて使い分けるのがおすすめです。

例文

・「私は相手の顔色を窺っている

・「機会を窺って〇〇さんのところにお邪魔します」

「伺う」の類語

ここからは、「伺う」に近い意味を持った類語を紹介します。

伝えたい内容や前後の文章に合わせて上手に言葉を使い分けていきましょう。

(1)「承る」

「承る」は「聞く」の謙譲語です。例えば、お客さまから要望を聞いた際に「伺いました」の代わりに「承りました」と言い換えることができます。

ただし、こちらの「承る」は「行く」「尋ねる」のニュアンスは含まないため、使い方に注意しましょう

Check!:「承知です」は敬語表現として使える? 意味と丁寧な言い換え表現(例文付き)

(2)「参る」

「参る」は「行く」を意味する謙譲語です。「伺う」と同じく、相手への敬意を示した表現として使えます。

例えば、「明日〇時に××へ参ります」といった形で用いると良いでしょう。

Check!:「邁進してまいります」の意味とは? 使い方と言い換え表現(例文付き)

「窺う」の類語

次に、「窺う」の類語を紹介します。

(1)「覗く」

「覗く」は、物陰やちょっとした隙間から様子を見ることを表した言葉です。

こっそり見る「窺う」にニュアンスが近いため、言い換え表現として使うことができます。

(2)「察する」

「察する」には、「事情を推察する」「他人のことを詳しく調べる」といった意味合いがあり、「窺う」の類語として使用可能です。

例えば、「状況を察する」といった形で用いることができます。

ビジネスでは「伺う」を使うシーンがほとんど

「伺う」と「窺う」は読みが同じでも、意味や使い方は異なります。特に、ビジネスシーンでは謙譲語である「伺う」を使うことがほとんどでしょう。

また、どちらも類似表現に言い換えることも可能なため、前後の文章や相手に合わせて柔軟に使い分けてみてくださいね。

(にほんご倶楽部)

※画像はイメージです

※この記事は2024年04月15日に公開されたものです

にほんご倶楽部 (敬語・ビジネス用語専門編集プロダクション)

いつも使っているけれど間違った認識も多い「敬語」や「ビジネス用語」。人にはなかなか聞けない常識から応用編まで、日本語に関する情報を発信。

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