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「逃げたい」と感じる心理と対処法8つ

笹氣健治(心理カウンセラー)

逃げたい気持ちへの対処法8つ

「逃げたい」と思う原因として3つの危機があると説明しましたが、対処法もそれぞれの危機によって異なります。

そこで、それぞれの危機に分けて対処法を説明していきます。

(1)身体的な危機による逃げたい気持ちへの対処法

何といっても、慢性的なストレス状態を解消するのが先決です。

そのためにはとにかく、毎日しっかり休息をとること。できれば残業や休日出勤は当面しないようにして、心身の回復を目指したいものです。

そのためには、会社や上司、同僚の理解と協力を得る必要がありますが、これが一番の難関になる場合もあり得ます。

「疲れているのはお前だけじゃない」とか「みんなつらい中で頑張っているんだから、もう少し頑張れ」と言われてしまうような職場であれば、気力と体力が少しでも残っているうちに本当に逃げ出す準備をすることも視野に入れる必要があるかもしれません。

もし転職することに抵抗やためらいを感じるのであれば、メリット・デメリット分析がおすすめです。

「このまま今の仕事を続けるメリット・デメリット」「転職活動をするメリット・デメリット」をそれぞれ考えてみるのです。

考えた内容を全て紙に書き出して眺めてみると、どちらを選択するにしても一長一短があることが分かります。それらを把握した上で、総合的にどちらが良いのか、納得がいく方に決めましょう。

一度きりの自分の人生なのですから、誰にも遠慮する必要はないはずです。

(2)人間関係の危機による逃げたい気持ちへの対処法

人間関係の危機によって「逃げたい」と感じた時は、以下の方法を試してみてください。

誰かに話を聞いてもらう

人間関係の危機を救うのもまた人間関係です。

自分が置かれている状況にじっくり耳を傾けてくれる同僚、友人、家族などに、今感じていることや思っていることを正直に全て話してみましょう。

肝心なのは、とにかく1人で抱え込まないこと。親身になって聞いてくれる人の存在は、自分の心に安らぎと元気と勇気を与えてくれるはずです。

ちなみに、あなたの考えを無視して正論を押しつけてくる人や、過剰な叱咤激励・批判をしてくる人は、相談相手として向いていないといえます。かえって精神的に追い込まれてしまうかもしれません。

ミスした時は事実を紙に書き出す

仕事のミスはチームで対応するのが組織の基本です。

周囲の人にサポートをお願いする場合には、状況を詳しく説明する必要が出てきます。その準備として、ミスが起きた状況を時系列に沿って紙に書き留めると、伝えやすくなります。

この際、言い訳や反省などの主観は入れず、事実のみを並べましょう。

また、そうやって事実を紙にまとめてみるとパニックで思考停止状態だった頭が冷静さを取り戻して、自分1人でも善後策を思いついたりできるかもしれません。

苦手な人との関わり方を変える

意地悪な人や苦手な人との人間関係は、無理に解決しようとせず、「顔を合わせる時だけの辛抱だ」と割り切るのも1つの考え方です。

今後何十年も一緒にいるわけでないなら、そのように割り切ることで、顔を合わせていない時間にうまく気分転換を図りながら耐えることもできるかもしれません。

あるいは、もし余裕があれば意地悪な人や苦手な人とうまくコミュニケーションする方法を、本やセミナーで学んで試してみるのも良いかもしれません。

そういう人が相手でもうまく対応できるようになったら、将来きっと何かの役に立つでしょう。

(3)自己尊厳の危機による逃げたい気持ちへの対処法

最後に、自己尊厳の危機で「逃げたい」と感じている時の対処法を紹介します。

本当に悩む必要があるのか考える

まずは、傷ついた心を癒すことが必要となります。そこでぜひ考えてみてほしいのが、「本来、悩むべきなのは誰か?」です。

良識ある大人であれば、他人を傷つけるような配慮のない行為はしないものです。

配慮のない人のためにあなたが悩むのは全くおかしな話であり、他人を傷つけている当人こそ、自分の問題点に気づいて悩むべきではないでしょうか?

こう考えれば、少し気持ちが楽になる気がしませんか?

つらい気持ちを吐き出す

自分のつらい気持ちを誰かに聞いてもらうのも有効です。

人には言いづらいこともあるかもしれませんが、自分1人の中でため込まずに吐き出してみると、気持ちがすっきりして心が軽く感じられるようになったりします。

逃げたい気持ちに対処するには、思い切って素直に気持ちを吐き出すことも大切です。

尊厳を傷つけてくる人の言葉は軽く受け流す

ここからは、直面している問題にどう対処していけば良いかを考えましょう。

まず、一方的に批判や否定をしてくる人に対しては、なるべく気にしないようにして受け流すのも1つの方法です。

「よく分からないけど、この人はそういうふうに考えたんだな。考え方は人それぞれだから仕方ない」といったように、その人の発言内容を深く捉えすぎず、「人は人、自分は自分」と考えるのも役に立つかもしれません。

そうやって嵐が過ぎるのを待っていれば、いつかそのうち状況が変わってくるものです。

コミュニケーションスキルを学ぶきっかけにする

批判・否定をしてくる人や、やっかいなクレーマーへは、適切なテクニックを身につけることで対処できることもあります。

つらい体験をバネにして気難しい相手に対するコミュニケーション方法を学ぶのも、スキルアップのためには良いかもしれません。

もちろん、つらい時に無理をする必要はありません。ここまで紹介してきた他の対処法を試して気持ちに余裕が出てきたら、プラスアルファで取り組むことも検討してみましょう。

逃げるのは悪いことではない

人生には楽しいこともあれば、つらいこともあります。時には耐えきれないくらい、つらい試練がやってくることもあるでしょう。

そんな時、逃げる決断をすることは、悪いことではありません。今の自分には限界だと思ったら、どうぞ遠慮なく逃げてほしいと思います。

生きてさえいれば、必ず次があります。とにかく、将来のために生き延びることが、とても重要なのですから。

(笹氣健治)

※画像はイメージです

※この記事は2021年11月24日に公開されたものです

笹氣健治(心理カウンセラー) (心理カウンセラー)

メンタルトレーナー・心理カウンセラー
1967年生まれ。国際基督教大学を卒業後、NTT(東京支社)に入社。その後、地元の仙台に戻り、スポーツクラブ「グラン・スポール」の経営に携わる。企業を経営する上で人間心理を理解する必要性を痛感して心理カウンセリングを学び、現在は、ストレスやコミュニケーション問題の解消をテーマにした講演やカウンセリング、目標達成のためのメンタルトレーニングを行っている。『「やる気」のある自分に出会える本』(スリーエーネットワーク)、『仕事の悩みを引きずらない技術』(PHP研究所)など、著書19冊。

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