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交渉力を高める方法は? 仕事で使える交渉スキルの鍛え方

中谷充宏(キャリアカウンセラー)

交渉を成功に導く3ステップ

では、実際に交渉を有利に進めるにはどんなことを意識すれば良いのでしょうか。ここでは、交渉を成功に導く3つのステップを、具体的に解説していきます。

ステップ1:事前準備

何の対策もなしにノーガードで臨んでも、打ちのめされるだけです。有名な孫子の一節「敵を知り己を知れば百戦危うからず」の通り、まず相手を知ることが大事です。

(1)今回の交渉の意義を理解する

「今回の交渉は何のために行うのか?」「こちらが主張すべきポイントは何か?」「最終的なゴールはどこにあるのか?」といった今回の交渉の意義をきちんと理解した上で臨まないと、意図しない結果になってしまいます。

そのためまずは、交渉の意義を事前に整理しておきましょう。

(2)相手を知る

続いては、過去にどういった取引や交渉があったか記録を調べる、交渉相手の特徴や性格を調べるなど、相手に関しての情報を集めておきましょう。

ここで調べた情報を元に、相手の出方を想定しておくことが大切です。

(3)いくつかのストーリーを作っておく

相手の出方をいくつか想定しておいて、それに対してどう返していくのか、その流れをストーリーに落とし込んでおきます。

また、妥協するならばどこまで譲歩できるのか? レッドラインも決めておくと良いでしょう。

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交渉のストーリーを作るのに役立つ、ロジカルシンキングについて詳しく解説しています。

ステップ2:交渉中

続いては、実際に交渉をする時にどのようなことを意識するべきかのポイントをご紹介します。

(1)事前に準備したストーリーを展開する

出たとこ勝負でうまく対処しようというのは、ハイレベルなコミュニケーション力があるごく一部の人でないと難しいもの。

型にはめて交渉を進めるのが、一番効率的で効果的。そこで、交渉中は事前に作ったストーリーにはめこむように意識しましょう。

(2)相手に話させる

交渉で最も手ごわいのは、手の内を見せない相手。沈黙や無反応だったら、打つ手がなくお手上げでしょう。

そこで、先に相手にできる限りの情報を出させるようにします。そうすると相手のウィークポイントや交渉成功のヒントを得られる可能性が高まります。

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(3)感情に訴える

ビジネスとはいえ、相手は感情を持つ人間です。機械のように全てに合理的な判断ができるわけではありません。

そこで「この条件じゃないと、私は会社に帰れないんです」と涙ながらに訴えるなどの芝居がかった作戦も、時には「あり」です。

もちろんやりすぎは禁物ですが、このようにユーモアを交えた方が交渉を有利に進められることも。

(4)想定外のことが起こったらリスケする

いくらストーリーを複数作っても、当日の交渉ではこちらの想定外の提案や主張がなされることもあります。

そうした場合は冷静な判断が下せないことが多いですので、即断即決せずに、「そのご提案については初耳ですので、一旦社内に持ち帰り、よく検討させてください」とリスケ(再スケジュール設定)しましょう。

ステップ3:交渉終了後

交渉終了後は、記憶が新しいうちに、その内容を議事録にまとめて、なるべく早く相手に送ります。

これにより交渉テーブルで決めた内容は確定します。また特に日本語はグレーな表現が多いために、文書化によって今後の争点を明らかにする役割もあります。

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