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「早い」と「速い」はどう使い分ける? 意味の違いをわかりやすく解説

前田めぐる(ライティングコーチ・文章術講師)

読むのが早い、読むのが速い……どっちが正解? 食べるのが「はやい」は? そんなふうに「早い」と「速い」の使い分けに迷った経験はありませんか? ライティングコーチの前田めぐるさんいわく、「それぞれの漢字を使った熟語を思い浮かべると分かりやすい」とのこと。今回はそんな「早い」と「速い」の違いや使い分けを紹介します。

今回解説するのは、「早い」と「速い」の使い分けです。

「まだ出掛けるには早い」「彼は走るのが速い」などは、問題なく使い分けられるのではありませんか?

とはいえ、場合によっては判断がつかず迷ったり、選択しても、なぜその漢字が当てはまるのか、説明しづらかったりするかもしれません。

この機会に、人にも説明できるように「早い」と「速い」の使い分けをマスターしましょう。

「早い」と「速い」の意味の違い

「早い」と「速い」は、どう違うのでしょうか?

漢字から、それぞれの意味をひもといてみましょう。

「早い」は、時刻・時期がはやいこと

「早」という漢字には、次のような意味があります。

【早】サッ・ソウ・はやい・はやまる・はやめる・はやめる・さ
(1)太陽が出てくるころ。あけがた。朝はやく。
(2)ある時刻にまだなっていない。ある時期の、はじめのほうである。はやい。
(3)わかい。
(4)すみやかに。はやく。
(『例解新漢和辞典 第三版』三省堂)

つまり「早い」は、主に「時刻や時期が早い」という意味です。

「速い」は、スピードがはやい・所要時間が短いこと

「速」という漢字には、次のような意味があります。

【速】ソク・はやい・はやめる・すみやか
(1)はやい。すみやか。
(2)はやさ。
(『例解新漢和辞典』三省堂)

つまり「速い」は、主に「スピードがはやい・かかる時間が短い」という意味です。

「早い」と「速い」の使い分け【例文付き】

「早い」と「速い」の使い分けが悩ましい時は、それぞれの漢字を使った熟語を思い浮かべてみましょう。

場面をイメージしやすくなります。

時刻・時期が前の方であることを表したい時は「早い」

「早い」は、「時刻や時期が前の方であること」を表したい時に、「時期が早い」「早く始める」などと使います。

例文

・最近の子どもはマセているというか、成長が早い。(「早成」)

早く着きたいので、少し急いでいただけますか?(「早着」)

・できれば、結婚は早くしたいと思っています。(「早婚」)

・彼は、早くして亡くなりました。(「早世」)

スピードの速さ・かかる時間が短いことを表したい時は「速い」

「速い」は、「スピードの速さ・かかる時間が短いこと」を表したい時に、「速く走る」「読むのが速い」などと使います。

言い換えれば「一定の時間に動く距離や働く量が大きいこと」です。

例文

・彼女は、判断が速い。(「速断」)

・今回の試験は、どの問題も速く答えることができた。(「速答」)

・この薬は速く効く。(「速効」)

「早い」と「速い」それぞれの対義語

「早い」と「速い」の対義語としては、以下の言葉が挙げられます。

「早い」の対義語は「遅い」

「早い」の対義語は「遅い」が当てはまります。

「早い」の対義語として使う場合は、「一定の時刻・時期よりも後に行われること」という意味合いになります。

例文

・例年より開花が遅い。

・いつもより遅い時間に夕飯を食べた。

「速い」の対義語は「遅い」「鈍い(のろい)」

「速い」の対義語には「遅い」「鈍い(のろい)」が挙げられます。

「速い」の対義語として使う場合は、「一定の時間に動く距離や働く量が小さいこと」という意味合いになります。

例文

・私は歩くのが遅いので、時間に余裕を持って行動するようにしています。

・前の車が鈍いのは渋滞のせいだ。

※(2023年1月19日)上記の文章は、筆者監修による元記事に編集部で加筆を行いました。

「早い」や「速い」以外で「はやさ」を表す言葉

最後に、「早い」「速い」と同じように、「はやさ」を表す言葉を以下に紹介します。

「疾い(はやい)」

スピードが速い・非常に素早い・病気が急性で進行する、という意味です。

例文

・シューズを履いた彼は、風のような疾さでゴールに突き進んだ。

・その病気は、重症に進むまでが疾く、手の打ちようがなかった。

「捷い(はやい)」

挙動が素早い・すばしっこい、という意味です。

例文

・そのカラスが小鳥に襲いかかった時の捷さといったらなかった。

ビジネスシーンで重要な「はやさ」を表す言葉

ビジネスシーンにおける「早い」と「速い」の使い分けは、思いのほか重要です。

例えば「彼は仕事を早く仕上げた」は「(頼まれた時間より)早い時間に仕上げた」という意味です。

また「彼は仕事を速く仕上げた」は「(頼まれた所要時間より)短い時間で仕上げた」という意味です。

時間の概念と深い結び付きがある使い分けなので、覚えておくと便利です。

(前田めぐる)

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※画像はイメージです

※この記事は2021年03月18日に公開されたものです

前田めぐる(ライティングコーチ・文章術講師) (ライティングコーチ・文章術講師)

コピーライターとして長年「ことば」に関わってきた経験値を元にまとめた「ほどよい敬語」(https://ameblo.jp/comkeigo/)が好評。過剰さや不適切さを排し、明快に説く内容は「違和感の理由がわかりスッキリした」と質問サイトなどでたびたび引用される。

自治体・団体・医療機関向けSNS活用、文章術研修の講師でもある。

著書に『この一冊で面白いほど人が集まるSNS文章術』(青春出版社)『前田さん、主婦の私もフリーランスになれますか?』(日本経済新聞出版社)『ソーシャルメディアで伝わる文章術』(秀和システム)など。公益社団法人日本広報協会アドバイザー。

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