キッチュの意味は? キッチュなファッションのコーデ(イラスト付き)
「キッチュ」の語源はドイツ語の「verkitschen(低俗化する)」で、美術用語では「低俗・悪趣味なもの」を意味します。ファッション用語としては、装飾過剰な服装を指す時などに使われます。今回はそんなキッチュの特徴やコーデのポイントをイラストで解説!
ファッション用語で「キッチュ」という言葉を知っていますか? あまり耳慣れない言葉かもしれないですが、今回はその語源からどういうファッションのことを指すのかまでレクチャーします。
ちょっぴり個性的な魅力を持つ、キッチュなファッション。気になる人はぜひ自分のコーディネートに取り入れて、おしゃれを楽しんでみて。きっと新鮮な気分になれるはず!
キッチュとは?
「キッチュ」という言葉はそもそもどこの国の言葉なの? まずはこの言葉の語源や意味をきちんと押さえておきましょう。
どうしてファッション用語として使われるようになったのかも解説していきます。
キッチュの意味
もともとドイツ語の「低俗化する(verkitschen)」という言葉に由来していて、低俗なもの、悪趣味なもの、陳腐なものなどという意味を持っています。
ネガティブな意味で使われていたようですが、美学や芸術の場面では、俗悪で異様だけど、そこに価値を認める際に使われたりする言葉だったようです。
美術用語として使われるときは、雑なつくりのものや安っぽい日用品など、通俗的、低俗的ながらくたに美意識を見出すときに使われていたそうですね。
その突き抜けた野暮ったさが、結果、魅力的に映るときにも使用されます。
キッチュの使い方
1960年代のポップ・アートが流行り出したころから使われ始め、日本では1970年代から広まった言葉です。
美術用語だと「アバンギャルド(前衛)」に対する対義語で、「後衛」の意味で使われることもあったそう。大衆カルチャーやサブカルチャーを表現する言葉として使われていたので、通俗小説や中産階級の好みに合う音楽や文化は「キッチュ」と分類されていたのだといいます。
その後、1980年代には「通俗的」という意味合いは薄れ、「俗悪だけど魅力的なもの」として評価されるようになったそうです。
キッチュとアバンギャルドの違いは?
悪趣味で俗っぽいという意味を指す「キッチュ」ですが、1970年代のポップ・アートカルチャーの影響もあり、ロンドンなどでストリートファッションの一つとして登場し始めました。ストリートファッションの中では「装飾過剰」という意味合いを持ちます。
1980年代ではパリで登場。高級ブランドを「キッチュ」に着こなすことで、アバンギャルド(革新的)な感覚をアピールし、それが人気を博します。
美術用語では、アバンギャルドとキッチュは対義語のようでしたが、ファッション用語では類義語のような意味合いになります。
キッチュなファッションの特徴は?
続いてファッションにおける「キッチュ」について掘り下げていきたいと思います。
キッチュファッションには以下のような特徴が挙げられます。
(1)装飾過剰
「キッチュ」の類義語ともいわれるのが「装飾過剰」。デコラティブなものを取り入れて、一見ハデハデにまとめるのがキッチュファッションの王道です。
例えば、ポップなカラーを使ったロゴTやプリントTに、スーパーロングのボリューミーなスカートなどを合わせれば存在感たっぷり! そこにキャップやサングラス、フルーツやアニマルモチーフのバッグを合わせていくと、「キッチュ」さが倍増します。
また、特大のリボンなどのあしらいも「キッチュ」といえます。
小物を使って、足し算していくのがポイントですね。
(2)おもちゃみたいな小物を使う
遊び心のあるアクセやバッグ、シューズを使うのもキッチュファッションの大きな特徴。
丸形やスクエア型、三角型、さらに星形などなどいろんなモチーフをあしらった小物は率先して取り入れていきましょう。アニマルやスイーツモチーフもかわいくておすすめです。
ネックレスやリング、ピアスなどは、1点あるだけで主張してくれ、コーデをグンとセンスアップしてくれます。
いつもの手持ち服に合わせるだけでいいので、ビギナーでも挑戦しやすいはずですよ。
(3)柄や色の組み合わせを楽しむ
柄×柄のコーディネートは、インパクトがあり、一気にキッチュなムードに持っていきやすいテクニックです。
たとえばドットONドットで、ネイビー地に白ドットなどで合わせれば、統一感が出て、着こなしやすいはず。トップスとボトムでドットのサイズをちょっと変えてみると、全身ドットでもメリハリが出て取り入れやすいです。
また、色×色でキッチュな雰囲気を出すのもおすすめ。ブルー×イエローといった反対色を組み合わせた柄のアイテムを使うのも雰囲気が出ます。
(4)テイストをMIXさせる
ガーリーなミニスカートを使いながら、ボーイッシュに仕上げたりするのも、とってもキッチュ!
ガーリーなコーディネートにレザーサンダルやレザースカートといったスパイシーなアイテムをMIXするスタイルも、キッチュなファッションといえます。
普段、ガーリーな雰囲気が好きな人は、アイボリーやパステルカラーなど優しげカラーの洋服をメインに使って、スニーカーだったり少し外しになるような小物だったりでMIXさせるのがお手軽です。
キッチュっておしゃれなの?
「キッチュ」という言葉には、「ありえない組み合わせ」という意味もあります。あまり想像のつかない配色の服や、柄の組み合わせなどがそれにあたります。
キッチュに着こなせたなら、それはおしゃれ上級者といえるはず。
「非日常的なストリートスタイル」を提案するRNA、「大人のキッチュ」がブランドコンセプトのハニーサロンなど、身近なアパレルブランドでキッチュな雰囲気を取り入れることができますよ。
難易度は高いとは思いますが、たとえばアクセで少しMIX感を出したり、靴やバッグで「キッチュ」なポイントを入れたりするとうまくいくかもしれません。
他にはどんなものがある? ファッション用語一覧
キッチュの他には、どんなファッション用語があるのでしょう。
各記事ではそのファッションの特徴やコーディネートのコツを紹介しています。
コンサバ |
マニッシュ |
プレッピー |
トラッド |
キッチュ |
コケティッシュ |
ストリート |
モード |
ノームコア |
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70年代ファッション |
80年代ファッション |
90年代ファッション |
奥が深い「キッチュ」なファッション
元の意味から考えると、「キッチュ」とは奥が深いファッション。コンサバなファッションとは真逆といえるので、OLの皆さんには少し抵抗があるかもしれないです。
でも、休日でちょっと気分を変えたいときには、チャレンジしてみるのも楽しいはず。
女友達とのカフェデートや一人で過ごすウインドウショッピングデーでも、「キッチュ」な要素を取り入れたファッションに身を包んだら、新たな自分に出会えるはず。
キッチュなスタイルにぜひトライしてみて!
(文:弓削桃代、イラスト:ヤベミユキ)
※画像はイメージです
※この記事は2020年05月16日に公開されたものです