私たちを悩ます「めんどくさい」の正体と対処法
仕事、恋愛、友達関係。私たちのまわりは、めんどくさいことで溢れています。この心理、人はなぜ抱くのでしょうか。今回は、マジシャン兼催眠心理療法士の浅田さん@令和の奇術師が、めんどくさい感情を抱く理由と、5つの対処法を解説します。
ああ、めんどくさい。めんどくさい。
そこの貴女。
どうして生きてるだけでめんどくさいんでしょうね?
正直、私だって、こうしてコラム作業から逃げだして、駅前の喫茶店に行って冷え冷えのメロンソーダを飲みながらスマホを触りたいくらいです。
私の敬愛するマルセル・デュシャンという芸術家がいます。百年前にフランスのコンクールに便器を出品してバズった男です。彼は晩年、こんな言葉を残しました。
「私は生存しているだけで疲れる」
みなさん、聞きました?
これです。これ。
めっちゃ「わかる……!」ってなりませんか。心のいいねボタン100回連打です。そうです。私たちは生きているだけで疲れるのです。めんどいのです。
とはいえ、そんなことばかり考えても人生は進みません。わかっちゃいるんです。ある意味、生きるとは「めんどくさい」といかに向き合うかにかかっているわけです。
今回は「めんどくさい」という心理に迫ってみます。そこに人生を前に進めるヒントがあるはずだから。私もメロンソーダをぐっとガマンして頑張ります。
「めんどさい」とは「行動したくない」感情
まず我々の敵である「めんどくさい」を分析しましょう。
私たちは水槽の金魚がぷかぷか泡を浮かべるくらいの感じで「ああああめんどくさいめんどくさい」という言葉を吐きだします。
それを細かく言語化すると「行動したくない」だと思います。
私たちが「めんどくさい」と口にするときは、決まって「行動しないといけないのはわかっているけど行動したくない」というニュアンスが隠されているのですね。
人間が「めんどくさい」と感じる理由
ここで「めんどくさい」と感じるシチュエーションを考えてみます。それぞれの心理状態と理由を解説します。貴女はどのパターンでしょう。
(1)やらなくてはいけないのを痛感しているから
リアルなところですよね。
やらなくてはいけないのはわかってるのに、それができない。考えるほどめんどくさくなる。その状況が嫌になる。自己嫌悪したりする。
さらっと行動できるときは、さほど意識にものぼらず行動できているものです。逆に、その重要性を痛感しているときほど、かえって腰が重くなるというわけです。
なぜか、やらなくちゃいけないことほど、めんどくさいんですよね。
(2)やらされているから
大抵の作業がこれにあたるかもしれません。
毎日のオフィスワークもですし、毎月送られてくる水道代の請求書をコンビニに払いにいくのだってそうです。とにかくめんどくさい。それを口座振替に切り替える手続きをするのだってめんどくさい。
しかし、これが好きなことや趣味ならば違うはずです。
好きなアーティストのライブに行ったり、仲良しの友達と居酒屋に行ったりするのを「めんどくさい」と感じることはないでしょう。
他人にやらされている作業ではないからです。自分が楽しむために、自分で行動しているからです。自ら行動するときは「めんどくさい」と感じにくいわけですね。
(3)やるべきことが大量にあるから
作業量も関係してきます。
やるべきことが少しならば「ま、いいか……」で済むにしても。それが大量にあると戦意喪失します。手がけるのを想像するだけで気が遠くなります。逃げたくなります。
夏休みの宿題といえば、みなさんもイメージしやすいかと思います。あの想像するだけでも大量な──でもやらないといけない感じ──というわけです。
(4)体や心が疲れているから
これも顕著です。
体や心が疲れているときは、めんどくささを感じやすくなります。シンプルに「動きたくない」と脳が命令しているから。いまは休んでくれといってるわけですね。
とはいえ、それで休めないのも現代人のつらいところ。レッドブルを飲んで、やらなきゃいけない仕事がある──そんなときにめんどくささがドッと押し寄せます。
書いてて悲しくなりますね。うん。いつか安らげる日がほしいものですよね。
(5)ほかに楽な道があるから
人間は、案外、腹をくくれば行動できるものです。なんだかんだ「本当に行動するしか道がない」という状況ならアクションできます。
火事場の馬鹿力みたいなものです。大事な試験前夜に、東大にストレート合格できるんじゃないかくらいの集中力で勉強できた過去はありませんでしょうか。
しかし逆にいえば、試験日まではだらけてしまったわけです。
というのも「サボるという楽な逃げ道」があったからです。どう考えても、勉強するよりスマホを触ったり、友達とファミレスのドリンクバーでだべったりするほうが楽しいですから。
ほかに楽な道があるとき、私たちは、めんどくささを感じるのです。とりあえず楽なほうにいきたいから。あとで死ぬくらいの思いをするとわかっていても。

何をするにも面倒に感じて、すぐに動きたくない。できることなら何もせず、ごろごろして過ごしたい。そんなめんどくさり屋の特徴に当てはまっていないか診断します。