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アトピーの原因と悪化させない方法

小澤佑美

アトピーになる原因

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続いて大人がアトピーになる原因について小澤先生に聞いてみました。近年増えている理由とはなんなのでしょうか?

発症する原因 ~大人の場合~

アトピー性皮膚炎の原因では(1)敏感肌、(2)アレルギー体質、(3)環境という大きく分けて3つの要素が関係しています。最近では大人のアトピーの増加とその治りにくさが問題となっています。まだ十分に解明されていない点もありますが、現在ではこれらの要因が複雑に絡み合って発症すると考えられています。

(1)外的要因

以前からアトピーとアレルギーの関係にはいろいろな議論がありますが、思春期以降になるとアレルギー反応よりもむしろさまざまな環境からの刺激による湿疹反応がメインになってきます。近年のアトピー増加には都市型生活の増加や、気密性が高く、かつ高温の家屋・排気ガス・直接肌に触れる物質の多様化が大きく関係していると考えられています。

最近では機能性インナーの流行でさまざまな素材が使われていますが、これを長時間着用することで皮疹が悪化したり、洗濯の際の柔軟剤が原因で悪化するケースなどが増えています。他にもダニ、ハウスダスト、皮膚常在菌、カビ、湿度などいろいろな外的刺激が要因として挙げられます。

(2)内的要因

一方でアレルギーが関与しているアトピーも存在します。アトピーの人の皮膚はそうでない人に比べると乾燥している・皮脂が少ない・キメが粗い・殺菌物質(抗菌ペプチド)の産生が低下しているなどバリア機能が低下し、痒みを感じやすい状態になっています。これには皮膚の遺伝子異常が関係していることが研究によりわかっています(遺伝でない場合もあります)。このような皮膚のバリア機能の低下とアレルギーが関与し合っていることをアトピー素因があるといいます。ただし、成人のアトピーでは食物に関するアレルギーは小児に比べると頻度は低いです。ダニやハウスダスト、花粉などの植物が割合としては高く、最近では皮膚の常在菌に対するアレルギーが年齢が上がるほど増加するといった報告もあります。

そのほか、内的要因というと精神的ストレスを思い浮かべる方も多いと思います。仕事・勉強の悩みや家族・友人などでの人間関係、多忙による疲労・睡眠不足などの心理社会的ストレスなど、ライフスタイルの多様化にともないストレスも人それぞれです。日中イライラした時や、逆に家でほっとした時についつい引っ掻いて、掻くことがストレス解消になってしまうケースも少なくありません。もちろんストレス自体で痒みを強く感じることもありますが、かゆくなくても精神的安定を求めて掻いてしまうのです。よく診察していると「掻かないようにしているのですが……」と言いながら顔や首、腕などに絶えず手をやってしまっている方を目にします。たとえ掻き壊さなくてもクセでずっと触っていると、やはり皮膚には刺激となります。

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