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【漢方座談会】葛根湯は飲むタイミングがカギ!? 意外と知らない「風邪」の正しい対処法

伊藤康江

どんなことをしている? アラサー女子の「風邪」対策

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美帆子さん 私がしている風邪対策は、まずマスクですね。次に、ちょっとお高いのですが、マヌカハニーを毎朝、ティースプーン1杯摂取しています。のどの調子がずいぶんよくなった気がします。

彩香さん 私は毎晩、ハチミツ入りのヨーグルトを食べるようにしています。出張先でもコンビニなどで買って食べてます。

由香里さん 私は基本的な手洗いとうがいをこまめにすることくらいかな。あと、帰宅したら、すぐに着替えて洗顔して、風邪ウイルスを寄せつけないようにしています。以前、鼻うがいに挑戦してみたのですが、苦しくてできませんでした。

美帆子さん あとは裏起毛のタイツや腹巻きを着用して、体が冷えないように心がけています。特に下半身をあたためたいので、バスソルトを入れて半身浴をしたり。

%e5%bd%a9%e9%a6%99%e3%81%95%e3%82%93彩香さん 私も足から冷えるタイプなので、夜はルームソックスが必須。月に1~2回、岩盤浴にも通っています。生姜鍋や甘酒に生姜を入れたりして、内側からもあたためるようにしています。

由香里さん くしゃみや鼻水が出たときは、ツボ押ししたりもしています。止めるツボがあるらしいんです!

美帆子さん へー、知らなかった! 鼻水がとまらないと、集中力がなくなるから困りますよね。市販の風邪薬も眠くなるから、できれば仕事中には飲みたくないし。

由香里さん 眠くなるのが嫌といったら、漢方薬を処方されたことがあります。“小青竜湯”(しょうせいりゅうとう)という、風邪などの鼻の症状に効果が期待できる漢方薬らしいです。

美帆子さん 実は私も、のどの痛みや扁桃炎に使われる“小柴胡湯加桔梗石膏”(しょうさいことうかきこうせっこう)という漢方薬を飲んだことがあります。

彩香さん 私も咳が出たときに、漢方薬を飲んだことがあります。ひとつの病院で、西洋薬と漢方薬の両方が処方されるとうれしいかも。

美帆子さん 病院で抗生物質を処方されることがあるけれど、私の場合、腸の動きが悪くなるので、薬に頼らず、自然治癒力に任せてみたほうがいいのかなと思うことも。

彩香さん できれば薬に頼らず。でもこじらせる前に、なるべく初期の段階で風邪をやっつける方法があったら、知りたいですね。

★意外と知らない!? 正しい「風邪」対策

・風邪をひいたら、とにかく「寝ること」!

風邪はウイルスと体との闘いなので、体の免疫力を高めるために、シンプルですが、よく食べて、よく寝て、規則正しい生活を送ることが一番風邪をひきにくくする方法です。そして風邪をひいたときは、とにかく寝ましょう。風邪の場合、3~4日くらいしっかり睡眠をとって休養していれば治るものです。とくに持病のないもともと健康な成人でも病院を受診したほうがいい場合は、39度以上の高熱が出たり、喉の痛みが激しい場合、咳がひどくて眠れないなど症状が強い場合。また、2週間以上症状が回復しないときは、気管支炎や肺炎などを併発している可能性もあるので受診しましょう。

・西洋医学は、現れた「症状を和らげる」治療

治療法についてですが、西洋医学と漢方医学では考え方が異なります。西洋医学では現れた“症状”を緩和させるという治療法。解熱剤や鎮痛剤、咳止めなどがそれにあたります。インフルエンザ以外は、原因となるウイルスそのものを殺す薬はありません。あくまでも症状を和らげるのが治療の目標です。また「風邪薬を飲むと眠くなる」ことがありますが、これはあえて眠らせる(体を休息させる)ために軽い睡眠剤が入っている場合があるからです。また、風邪の多くはウイルス感染なので、細菌に働きかける抗生物質は効果がありません。風邪がこじれたときや体が弱って細菌にも感染したときには役立ちますが、風邪の症状だけであれば、抗生物質は必要ないでしょう。

・漢方医学は、自然治癒力を「援護射撃する」治療

次に漢方医学での治療法ですが、風邪の進行度合いやその人の体質に合わせた対処法をとります。風邪のひきはじめの「悪寒」「関節痛」「鼻水」「のどの痛み」「頭痛」などの症状から、「発熱」「たん」「咳」、こじれると「吐き気」「下痢」など消化器の症状が出ることもあります。漢方医学では、これらの症状をもとに、患者さんがどこの状態にあるかを見極めて薬を処方します。

特に西洋医学との違いは、いわゆる解熱剤を用いずに治療すること。発熱はウイルスの動きを弱めるために生じているものなので、無理やり下げずに、むしろ体内をあたためることで発汗を促し、汗の気化熱で結果的に熱を下げるというのが漢方医学の考え方です。つまり、体が自然に行うウイルスとの攻防を手助けすることで、早く決着をつける、というイメージです。

なかでも、風邪のひきはじめに使われる “葛根湯”は飲むタイミングが重要。汗が出ていない「無汗」のときがそのタイミング。頭痛や首のコリ、関節痛があり、ゾクッと悪寒がして、「風邪かも!?」というときです。発熱していようがいまいが、汗が出ていなければOK。葛根湯には体を温めることで発汗作用があり、早いと数十分で汗が出てくる人も。このタイミングであればお風呂に入って体をあたためるのもいいでしょう。また、葛根湯を飲む期間はどんなに長くても2日間くらい。それ以上だと、風邪が次のステップに進んでいるので効き目が出ないことが多いです。飲む時期を逃さないように気をつけましょう。ちなみに、葛根湯は比較的、体力のある人(実証)向けの薬。高齢者や体力があまりない人(虚証)にはほかの漢方薬を処方することがあります。

漢方薬は、風邪の経過する段階に応じて治療しますが、西洋医学のお薬と組み合わせて使用することもあります。西洋薬と漢方薬の両方を処方している医療機関を探す場合は、事前に各医療機関のホームページなどを確認してみてくださいね。

(取材協力:丸山綾、文:伊藤康江、撮影:masaco)

※この記事は 総合医学情報誌「MMJ(The Mainichi Medical Journal)」編集部による内容チェックに基づき、マイナビウーマン編集部が加筆・修正などのうえ、掲載しました(2018.05.24)

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください

※この記事は2017年01月30日に公開されたものです

伊藤康江

出版社勤務を経て独立。現在はフリーランスの編集・ライターとして女性誌や書籍、ムック本を中心に活動中。

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