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【新連載】壊れたスマホに入っていたのは、昔の彼のメールアドレス……

「今ひとつ、ピンとくる人いなかったな」
「最後のヒゲの人は?」
「あ、わたしヒゲはダメ。論外」
帰りの電車の中、あさみの一言で、
わたしたちはケラケラと笑う。

「じゃあ、またね」
街コンに参加した町の次の駅で、
あさみは手を振って降りていった。
わたしも手を振った後スマートフォンを見ると、
もうメールが入っていた。

「最後のテーブルでお会いした高橋隼人です。
よかったら、メール交換しませんか」
その後、他の人からもメールは来たけれど、
隼人のメールが一番、明るくて楽しかった。

わたしは誘われるがままに翌週の土曜日、
街コンでも入ったイタリアンレストランで、
隼人ともう一度会うことになった。
「早いじゃない!」
待ち合わせの15分前に着くと、
隼人はもう店の一番いい席に座っていた。
そして彼の最初の一声で
「もう敬語を使わなくていい」ことが、
すっと心に染み入った。

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