【新連載】壊れたスマホに入っていたのは、昔の彼のメールアドレス……
「当時はLINEもあまり流行ってなかったな」
わたしは隼人との付き合いを、
しみじみとした気分で思い出した。
そう、彼とは……あさみに誘われた、
街コンで知り合ったのだ。
「はーい、このお店では60分滞在します!
お手持ちのカードとテーブルの番号の、
合ったお席にお座りください」
汗だくになりながら叫ぶ係の人を
「必死だね」と笑うあさみを制止したけれど、
でも今日は午前中から、
見知らぬ男性にただ自己紹介を繰り返すばかりで、
少々飽きていたのもたしかだった。
わたしたちは貼り付けられたシールの番号を確かめ、
あるテーブルの席についた。
「ども、こんにちは!」
わたしの向かいには、年は少し年上だろう、
あまり背は高くないけれど、
笑うと目がなくなる、
人懐っこそうな男性が座っていた。
その男性が、隼人だった。