【新連載】壊れたスマホに入っていたのは、昔の彼のメールアドレス……
やさしくて、機転のきく人みたい。
おかげで、まるで昔からの友だちのように、
リラックスして話し出すことができた。
「隼人さん、仕事は何をしてるの?」
食事をしながら何気なく聞いてみると、
彼はほんの一瞬だけ不安げな表情を見せた。
「ごめんなさい。あの時たくさんの人に会って、
混乱してて覚えてないんだと思う」
「ああ、おれの家リフォーム会社経営してて、
そこで働いているんだ」
「すごい、おぼっちゃまなんだ」
「単なる自営業だよ。ぜーんぜんすごくない」
そう言った隼人の笑顔はやはりステキに人懐っこく、
わたしはすっかりハートをつかまれていた。
次も隼人に誘われて、その町の花火大会にいく。
示し合わせて、ふたり浴衣で町を行く。
大きな川の上に、大きな花火がいくつも上がる。
最後の花火が終わった後、隼人は
「おれたち付き合わない?」とわたしにささやいた。
わたしは早いかなと思いつつも、
隼人に「うん」と笑顔でうなずいてみせた。