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【新連載】壊れたスマホに入っていたのは、昔の彼のメールアドレス……

そんなお付き合いが半年も続いた後。
週末、わたしが彼の住む町を訪ね、
いっしょに食事をした夜のこと。

「これからちょっと飲みにいかない?
おれの馴染みの店があるんだけど」
わたしは何も考えずに「うん」と答えた。
着いた場所はアメリカの50年代風なカフェだった。

ただ何というのか、そのお店は窓やドアのガラスに、
目立つ砂ぼこりが浮いていた。にも関わらず、
お店の前には手入れの行き届いた、
日日草や朝顔などが植えられた小さな鉢が、
2列に渡ってびっしりと並べられている。

そのカフェは、うまく言えないけれど、
何かアンバランスな雰囲気のする、
自分一人だったら絶対に入らない、
奇妙で雑なムードをたたえていた。

「ま、入ってよ」
カフェの中は全体的に薄暗く、
加えて赤や緑、それに普通の白色など、
席によってライトの色が違い、
わたしはその灯りやお店のにおいから、
子供向け遊園地のお化け屋敷を連想していた。

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