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【新連載】壊れたスマホに入っていたのは、昔の彼のメールアドレス……

Story4 ★深入りはムリ

そのうち嗅ぎなれない強いにおいが、
鼻を刺激しはじめた……たぶんタバコだ。
うそ、ここは禁煙じゃないんだ。
どうしよう、すごく苦手なんだけど……。

「お待たせしました。ハイボールです」
にっこり笑ってお店の女性からグラスをもらい、
隼人とカチンと合わせると、
背後からお客さんたち全員の
「乾杯」の声が聞こえてきて驚く。
その上、渡されたハイボールはかなり濃くて、
ぜんぶ飲んだら、かなり酔ってしまいそうだ。

「じゃあ、とりあえず紹介するね。
こいつが、高校の時に同じクラスだった清村、
こいつがサッカー部でいっしょの川上で……」

この調子で延々と常連さんを紹介されたけれど、
たぶんほとんど覚えられなかったと思う。
でも、ただひとりいた女性 の
「坂上涼子さん」だけは、大丈夫だった。

そして最後に「で、このコが彼女の織江ちゃん」
と隼人が言うと、全員から拍手が巻き起こった。
わたしはちょっとだけうれしかったけれど、
それ以上に、早くこの場から立ち去りたかった。