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卵子若返りの技術で妊娠タイムリミットは先送り!?

―「20代で中絶経験あり。結婚した男性との妊娠を希望していますが、一度妊娠できたのだから、妊娠できますよね?」という30代女性からの質問がありました。

当院には、中絶経験がありそのときと異なる方との妊娠を希望され、不妊治療をされるカップルも複数受診されています。

みなさん、「一度できたから、またできるだろう」と簡単に思われるのですが、意外とそうでもないのです。

本人の妊娠力は、中絶したころよりも歳をとったことで低下していますし、今のパートナーがどの程度妊娠力を有しているかにもよります。妊娠成立には、女性だけではなく、男性側の妊娠力も関係しますから。

同様のケースでは、バツイチで子持ちの男性が新たなパートナーと子づくりしようとしても、なかなかできないなんてこともあります。

―つまり、歳をとってしまうと、絶対にいい卵子はとれなくなると?

分割して着床して育つ、「良好な卵子」が絶対にとれない、ということではありません。いい卵子がとれる確率が、歳をとると減るということです。卵子の質は、毎周期異なります。つまり、卵子の質はいつも一律ではないのです。

実際、いい卵子のとれる確率が低い高齢の方でもあきらめずにトライして、いい卵子に巡り合うチャンスはあります。

とはいえ、自然妊娠にしろ不妊治療をするにせよ、妊娠がある程度期待できるのは、41~42歳くらいまででしょうか。それ以降は、いい卵子に出あえる確率はゼロではないけれど、さらにグッと下がります。

※出典
・平成15年4月28日 厚生科学審議会生殖補助医療部会「精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療制度の整備に関する報告書」
・Nakamura Y., Tagami T. et al. Biology of Reproduction 83, 130-137,2010
・2010年1月 第15回日本臨床エンブリオロジスト学会「ピエゾドライブを用いた核注入法によるウシ卵子細胞質置換技術の開発」河野康二郎、桑山正成、香川則子、薮内晶子、竹原祐志、加藤修

(取材協力:片桐由起子、文:小池直穂、イラスト:macco)

※画像はイメージです

※この記事は 総合医学情報誌「MMJ(The Mainichi Medical Journal)」編集部による内容チェックに基づき、マイナビウーマン編集部が加筆・修正などのうえ、掲載しました(2018.07.05)

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください

産婦人科医 片桐由起子(かたぎりゆきこ)先生

 

 

 

1992(平成 4 )年 3月 東邦大学医学部医学科卒業
1992(平成 4 )年 4月 東邦大学大学院医学研究科入学
1996(平成 8 )年 3月 東邦大学大学院医学研究科修了
1996(平成 8 )年 4月 東京都立荏原病院(現:財団法人東京都保健医療公社荏原病院)勤務
1998(平成10)年 7月 東邦大学医学部産科婦人科学講座研究生
1999(平成11)年 3月  東邦大学医学部産科婦人科学講座助手
2001(平成13)年 7月  Center for Reproductive Medicine and Infertility Weil Medical College, Cornell University 留学
2005(平成17)年 4月  東邦大学医学部産科婦人科学講座助手復職
2007(平成19)年 7月  東邦大学医学部医学科産科婦人科学講座講師
2010(平成22)年 7月 東邦大学医学部医学科産科婦人科学講座准教授
2010(平成22)年12月 東邦大学医療センター大森病院リプロダクションセンター副センター長
2010(平成22)年12月 東邦大学医療センター大森病院臨床遺伝診療室室長 兼任
現在に至る

日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医
日本生殖医学会 生殖医療専門医
日本人類遺伝学会、日本遺伝カウンセリング学会 臨床遺伝専門医
日本周産期新生児医学会周産期(母体胎児)専門医
日本内分泌学会 専門医

※この記事は2014年04月01日に公開されたものです

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