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「確証バイアス」とは? 具体例&回避法を詳しく解説【心理学】

高見綾(心理カウンセラー)

確証バイアスとは、心理学用語の一つで、思い込みによる影響のことを指します。先入観だけでは、物事を正しく判断することができません。今回は、心理カウンセラーの高見綾さんが、確証バイアスの意味や対策方法をわかりやすく解説します。

「確証バイアス」とは心理学用語の一つで、自分が正しいと思う考え方を肯定する情報ばかりを集めてしまうこと。

さまざまな思い込みなどから、偏った判断をしてしまうことってありませんか? このように、実は日常の中にも確証バイアスが働いていることがたくさんあります。

今回は、確証バイアスの意味や具体例について詳しく解説します。どうすれば回避できるのかについても紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

確証バイアスとは?

確証バイアスとは、自分にとって都合の良い情報ばかりを無意識的に集めてしまう傾向のことをいいます。

人間は誰しも「自分が正しい」と思いたい心理を持っているので、自分の考えを否定するような情報は無視してしまうようになります。

先入観や思い込みによって合理的ではない判断をしてしまうことを「認知バイアス」といいますが、確証バイアスは認知バイアスの一つに該当し、認知心理学者のペーター・カスカート・ウェイソンによって提唱された概念です。

「認知バイアス」は他にもある!

確証バイアスの他にも、「認知バイアス」と呼ばれる思い込みの法則はいくつか存在しています。併せてチェックしてみてくださいね。

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確証バイアスの他、正常性バイアス・自己奉仕バイアス……など、「認知バイアス」について詳しく解説しています。

「確証バイアス」の身近な例

日常生活にも確証バイアスはあふれています。ここからは、身近な事例を用いて確証バイアスについて詳しく見ていきましょう。

(1)高齢の運転者

交通事故総合分析センターの調査によると、平成7年の交通事故での死亡件数は9971件。このうち、16~24歳の運転者が起こした事故件数は3114件、65歳以上の運転者による事故は1319件です。

これを見ると、実際には若者も事故を起こしていますし、高齢であるからといって事故が多いわけではないことが分かります。

ですが、「高齢者の運転は危険だ」という先入観から、そうした情報ばかりが目について確証を深めてしまうのです。

(2)血液型占い

「○○さんはO型なんだって」「やっぱり、そうだと思った! 大らかな性格してるもんね」というように、血液型と性格のイメージを結びつけてしまうことが多いのではないでしょうか。

例えば、業務で何回も細かくチェックしたり、プレゼンに向けて入念に準備したりと、几帳面で心配性な一面がある人に対しても、その人がO型というだけで「大らか、おっとり」のように思うこともありますよね。

他にも、A型と言えば「几帳面」、AB型と言えば「ちょっと変わっている人」「理想主義者」などのイメージも。自分自身がそういったイメージ通りに振る舞うことを求められてしまうケースもあります。これも確証バイアスによる典型的な影響です。

(3)「私は好かれない」という思い込み

過去に人間関係で傷ついたことがあると、これ以上傷つかないために「どうせ私は好かれない」という思い込みを持って、人から遠ざかろうとしてしまう場合があります。

すると、褒められたとしても「どうせお世辞で言ってるんじゃないの?」と疑ったり、ヒソヒソ内緒話をしている人を見て「私の悪口を言っている」と思い込んだりします。

「あの人は忙しそうだから」と周りが気を使って集まりに誘わなかった場合でも、「ほら、やっぱり。みんな私のことが好きじゃないんだ」と思ってしまうのです。

「自分は好かれない」という思い込みを強化するような解釈をあえてしてしまったり、そういった情報ばかりが目につくようになったりするのです。

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「確証バイアス」はビジネスや人事評価にも影響する

確証バイアスは、ビジネスや面接・人事評価にも影響します。

例えば採用面接では、相手の第一印象によって相手の能力や性格などを判断してしまう傾向にあると思います。

学生が堂々とした雰囲気をしており、体育会系の部活出身であった場合には、「この学生は、打たれ強いのではないか」「自信がありそうだし、厳しい仕事でも頑張ってくれそうだ」などといった肯定的なイメージを当てはめてしまうことがあるでしょう。

入社後に、少し厳しくしただけで落ち込んでしまったとしたら「根性あると思ったのに全然違った」というように感じてしまうこともあるかもしれません。

人事評価でもそうですが、学歴や実績が高い人材については、多少悪い点があったとしても目をつぶり、それよりも良い点を探しがちな傾向もあります。

直近では調子が悪くなっていたとしても、「たまたま今は本調子じゃないのかな?」「本当はもっと出来るはず」と都合の良い方に考えて評価してしまうこともあるでしょう。

そういった先入観や思い込みなしに物事を見ることができたら良いのですが、これらの確証バイアスは、どの人も持っているものなので、完全に公平な評価をすることは難しいと言えます。

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「確証バイアス」の回避法

確証バイアスは、「自分が正しいと思いたい」「自分の考えは否定されたくない」という心理から来るものです。

特に心に余裕がないと、視野が狭くなって確証バイアスに陥りやすくなってしまうので要注意です。

思い込みを改善するにはどのような心掛けが必要なのでしょうか。

(1)他の捉え方がないか検討する

まず、「もしかしたら自分の考え方が間違っているかもしれない」「他の見方はないか検証しよう」という意識が必要です。

特に人の評価に関わるような重要な場面では、一度立ち止まって、自分とは違う見方をする人の意見や情報などを幅広く集めてみましょう。じっくり判断するのは、情報が集まってからでも遅くありませんから。

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物事の視点を変えて思い込みを正すことを、心理学では「リフレーミング」と呼びます。詳しい意味や、やり方についてチェックしてみてくださいね。

(2)思い込みに対する客観的なデータを集める

また、何となく持っている先入観については、根拠となる数字やデータを調べる癖を身につけておくのがおすすめです。客観的なデータを集めることができれば、確証バイアスにかからずに済みます。

これらの検証作業は、できるだけ日頃から習慣として身につけておくことが望ましいです。確証バイアスにハマってしまったら、「自分が正しい」と思い込んでしまうので、そうならないためにも、「本当にそうなのかな?」と疑う癖をつけておきたいものです。

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歪んだ思い込みのことを「認知の歪み」といいます。原因と対策について詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてくださいね。

確証バイアスは誰にでもあるもの

人は「自分の考えが正しい」と思いたい心理を持っていますので、誰でも確証バイアスを持ち合わせています。日常でも、思い込みや先入観から、自分の考えはやっぱり合っていると思い込む場面はたくさんあります。

ですが、物事を正しく判断するためにも「自分の考えは本当に合っているのか?」と疑う姿勢を忘れないようにしたいものです。

幅広く情報を集めることにより、確証バイアスを回避することができますので、大切な判断をする時には特に気をつけたいですね。

(高見綾)

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※画像はイメージです

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