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セックスで入らないのは腟が小さいから? 痛くなる原因と対処法

宋美玄(産婦人科医・医学博士)

セックスをする際に、ペニスが痛くて入らないと悩んだことはありませんか? 膣が小さいからなのか、それとも別の原因があるのか気になりますよね。産婦人科医・医学博士の宋美玄先生にペニスがうまく入らない理由と対処法について伺ってみました。

セックスにおいて「パートナーのペニスが入らない」と悩む女性は決して少なくありません。日本性科学会のカウンセリング室「性の悩み 相談室」に寄せられる悩みのうち、半数近くが「挿入ができない」という悩みだそうです[*1]。

そこで今回は、セックスで挿入がスムーズにできない原因と対処法について、掘り下げてみましょう。

セックスで腟に入らない原因

セックスのとき、挿入ができないことの原因は、大きく3つに分けることができます。

1つ目は身体面で挿入の障害となることがある場合(体の問題)、2つ目は心理的な要因がある場合(心の問題)、そして3つ目はセックスのやり方やパートナー側との問題など、体や心以外に原因がある場合です。それぞれ詳しく見ていきましょう。

参考記事はこちら▼

痛いことが原因で挿入できない場合は、こちらの記事も併せてチェックしてみましょう。

体の問題の場合

パートナーとの体格の差、骨盤内の病変など、体の問題によってうまく挿入ができないことが考えられます。主な原因には、以下のようなものがあります。

(1)腟が濡れていない

セックスの際に濡れる=腟粘膜から潤滑液が分泌されることには、ペニスをスムーズに受け入れ、挿入時の摩擦を軽減させる役割があります。

つまり濡れているから、痛みを感じることなく挿入ができるということ。何らかの原因で潤滑液の分泌が不十分だった場合、挿入の妨げになることが考えられます。

参考記事はこちら▼

セックスの時に濡れない原因を産婦人科医・医学博士の宋美玄さんが解説します。

(2)緊張で腟が収縮してしまう

強い緊張によって腟が萎縮し、挿入ができないことがあります。

中には、婦人科の診察などセックス以外の場面では問題ないものの、実際のセックスでペニスを挿入しようとすると萎縮が起きて、腟口が閉じてしまうケースもあるようです。

(3)婦人科手術の後遺症

子宮頸がんの円錐切除術、腹圧性尿失禁による機能再建手術、筋腫核手術、子宮の全摘出などの婦人科手術の術後合併症として生じた、性交痛や性交時出血などをきっかけに、挿入障害がおこる場合もあります。

ほかにも、ごくまれなケースではありますが、産後の処置による後遺症で腟の入り口が狭くなり、挿入ができなくなるケースも見られます。

(4)乳がん治療の影響

乳がんになった人が薬物療法を行った結果、卵巣機能が低下し、性交痛が起こることがあります。

乳がん治療をした人全員が当てはまるわけではありませんが、「腟の中が乾いているような気がする」「おりものの量が減り、すれるような感じがする」といった変化を自覚している人が多く、それが挿入の妨げになることもあるようです。

(5)処女膜強靱など、生まれつきの原因

腟の入り口にある処女膜には孔が開いていて、そこから月経血や分泌物が排泄されたり、セックスのときにペニスが挿入されたりします。

処女膜は伸び縮みをするのですが、その度合いには個人差があり、中には「処女膜強靱症」と呼ばれるほど処女膜が硬く、挿入ができないことがあります。

こうした生まれつきの原因により、物理的に挿入が妨げられるケースは、ほかにもあります。たとえば腟中隔(ちつちゅうかく)といって、腟の中に隔壁(かくへき)と呼ばれる壁が残り、腟が二つに分かれている場合です。

いずれの場合も、それが原因と分かれば、手術をして治療します。

心の問題の主な原因

挿入障害の原因として、心の問題があげられることも少なくありません。むしろ「挿入障害は基本的に心因性の疾患」であるともいわれています。

腟に何かを挿入するという行為そのものや、関連する行為への恐怖が元になって、挿入を拒絶してしまうことがあるようです。考えられる問題には、以下のようなものがあります。

(1)セックスに嫌な思い出(性的外傷体験)がある

性的外傷体験とは、性的暴行や虐待などを受けた経験のことです。そうした外傷体験を受けた人の心には、トラウマ反応と呼ばれる心の変調が起こることがあります。

過去にセックスにおける嫌な経験があり、「挿入が怖くてできない」と感じる場合は、このトラウマ反応の一種と考えられます。

(2)「セックスが怖い」と思っている

トラウマ反応とまではいかなくても、セックスに対する恐怖心が挿入の妨げになることがあります。

たとえば、性交痛がある場合に「どうせまた今回も痛くて入らないだろう」という先入観を抱いたり、「望まぬ妊娠をしたら、どうしよう」という恐怖にも似た感情を覚えたり、セックスに対する否定的なイメージがあると、挿入がうまくいかないことがあるようです。

(3)セックスをすることに罪悪感・嫌悪感がある

セックスをすることに「不潔なこと」「はしたないこと」「恥ずかしいこと」というマイナスの価値観を持ち、罪悪感や嫌悪感を抱いていると、性的興奮が妨げられて性反応が正しく起こらず、挿入できないことがあります。

性反応とは、性的な刺激を受けて体に現れるさまざまな反応のことで、この場合はクリトリス・小陰唇の膨張や、腟粘膜からの体液(潤滑液)の分泌などを指します。

参考記事はこちら▼

セックスが苦手になる原因と対処法を、セックスレスカウンセラーのすずね所長が解説します。

(4)うつ傾向がある

挿入障害を訴えて医療機関を訪れる人には、心身症や神経症など、いわゆる「うつ」の傾向が強い人が多いといわれています。

憂うつで気分が重い(抑うつ気分)、何をしても楽しくない、何にも興味がわかない、イライラして落ち着かないといった気持ちが長期間続くようであれば、うつ傾向のサインかもしれません。

その他の問題の場合

女性の心や体の要因だけでなく、セックスのやり方やパートナーの側の問題などで挿入ができないことも、意外と多いようです。たとえば以下のような原因が考えられます。

(1)無理のある体位で挿入している

日本ではセックスのスタンダードを学ぶ機会がほとんどないためか、難しい体位で挿入をしようとして、失敗しているケースがあるようです。

比較的挿入しやすいとされるのは、正常位です。

女性があおむけになるため、力が抜け、ペニスを受け入れやすくなっているからです。挿入しやすい体位については、のちほど詳しく説明します。

(2)パートナーとの体格差がある

ペニスを挿入する際に、パートナーとの体格の差により性交が困難であったり、性交痛を生じたりする可能性があります。

そのほか、体力がないことが挿入を妨げることもあるようです。

(3)男性の準備が整っていない

男性側の要因で挿入ができないことも考えられます。

男性器は性的興奮が高まると、血液が充満し、勃起が起きます。しかし、何らかの原因で勃起が不完全な場合、挿入ができないことがあります。

お酒の飲み過ぎなどによる一時的な勃起不完全のこともありますが、中には勃起障害(ED)を発症していることも。

EDの原因はさまざまで、たとえば加齢、喫煙、高血圧、糖尿病、高脂血症、肥満、うつ病、前立腺肥大症、慢性腎臓病、睡眠時無呼吸症候群、神経疾患などがあります。また服用中の薬剤による副作用が原因でEDとなる場合もあります。

▶次のページでは、セックスで入らない場合、挿入をスムーズにするための対処法を解説します。

挿入をスムーズにするための対処法

挿入がスムーズにできないとき、どのようにすればうまくいきやすいのでしょうか。

そのためには、挿入を妨げている主な原因が何であるのかを明確にしたうえで、自分に合った対処法をとるのがよいようです。

婦人科を受診する

挿入障害はとてもデリケートな問題ゆえ、原因が心なのか体なのか、あるいは別の問題なのかの自己判断が難しいことがあります。

主な原因がどこにあるのかを知ることは、問題解決の近道となるでしょう。そのためにも、女性の場合はまず婦人科を受診し、挿入の妨げとなる原因を診察してもらいましょう。

婦人科の診察、とくに内診は挿入の疑似体験になることがあります。挿入障害は腟への挿入に対する恐怖が元になっていることが多いため、婦人科診察を通じて疑似体験ができ、挿入への恐怖心をなくすきっかけとなることもあるでしょう。

また診察の結果、体に原因があることが分かれば、その治療を行うことで挿入障害を改善できる可能性が高まります。

一方、体には問題がなかった場合は、心もしくはセックスのやり方などに何らかの原因があることが考えられます。それがわかるだけでも、大きな前進になるはずです。

体の問題の対処法

婦人科での診察の結果、腟が濡れにくい、処女膜が広がりにくいなど、女性の体がペニスを受け入れにくい状態になっている可能性が高い場合、手術を行うこともありますが、以下に紹介するような方法で改善できるケースもあるといわれています。

(1)マスターベーションで練習をする

濡れにくいことが挿入の妨げになっているケースでは、女性がマスターベーションを通して「気持ちよくなる」感覚を身につけておくのが有効とされています。これは「セルフタッチング」という、セックスセラピーの手法のひとつです。

女性の中には一度もマスターベーションをしたことがないという人が多く、自分の外性器を見たり触ったりしたこともない人もいるでしょう。場合によっては、マスターベーションをすることに罪悪感を持っている人がいるかもしれません。

しかしマスターベーションでは妊娠や性感染症の心配がなく、デメリットは基本的にありません。むしろ、することによって今抱えている挿入できないという悩みの解決につながったり、性的快感を得られたりするメリットがあるものといえます。

マスターベーションは、正しい性反応を起こりやすくするために有効な手段ですから、積極的に試すことをおすすめします。

参考記事はこちら▼

オナニーの正しいやり方を産婦人科医・医学博士の宋美玄さんが解説します。

(2)潤滑ゼリーを使う

同じく、濡れにくいことが原因で挿入が難しい場合、潤滑ゼリーを使うという方法もあります。20代や30代の若い世代の女性でも、水分不足で脱水状態に近い状態になっているなどの理由で潤いが足りなくなることがあります。

潤滑ゼリーを使用すると、それが呼び水となって体液が分泌され、性器の充血も起きて、気持ちのいいセックスができることがあるといわれています。

(3)腟ダイレーターを使う

あまり多くないようですが、なかには男性のペニスが大きすぎて挿入ができないというケースも考えられます。その場合、腟ダイレーターという器具を使って改善できることがあるようです。

腟ダイレーターは直径の異なる棒状の器具で、腟に挿入して使用します。

何度も繰り返すことで挿入に慣れてリラックスできるようになり、徐々に大きなペニスを受け入れやすい状態がつくれるようになっていきます。

心の問題の対処法

体にはとくに問題が見つからなかったという場合、緊張したり、セックスに対し罪悪感があったりといった、心の問題である可能性が高まります。

その場合はこんな対処法を試してみてはいかがでしょう。

(1)リラックスできる方法を話し合う

心身ともにリラックスしていれば、挿入への抵抗感がやわらぎやすくなるといわれています。

セックスのときにどうしても緊張したり、罪悪感を覚えてしまったりする人は、リラックスして挿入を受け入れられるようにはどうする必要があるのか、どうなるのがよいのかを、パートナーと話し合ってみるとよいでしょう。

そこで出た方法を実践していくと、徐々に緊張がほぐれ、挿入が可能になることがあります。

なお、この方法は処女膜が硬く、挿入が難しいという人にもある程度、有効だといわれています。リラックスが進めば処女膜が伸び縮みしやすくなり、挿入できるようになるケースもあるそうです。

(2)挿入なしのスキンシップを楽しんでみる

挿入できないと男性側はつらいかもしれませんが、女性の側からすると、挿入だけがセックスのゴールではないことがしばしばあります。

セックスにおいて大切なのは、セックスという行為によって喜びを感じることであり、挿入はそのためのプロセスのひとつにすぎません。ペニスを腟に挿入することは「セックスにおいて必ず行う義務」ではないのです。

挿入に抵抗があったり、痛みなどで挿入ができなかったりする場合はまず、挿入なしでのスキンシップを楽しみ、性的快感を味わってみてはいかがでしょう。

最終的には挿入までできればベストですが、最初は少しずつ、できる範囲でセックスを楽しんでみるとよいでしょう。

そのほか、セックスに対する恐怖感、性的外傷体験やトラウマなどを解決するために、カウンセリングを受けたり、精神科で相談したりという方法もあります。「どこに相談すればよいかわからない」という場合は、日本性科学会のカウンセリング室を利用してみてはいかがでしょうか。

その他の問題の対処法

男性の勃起障害、セックスの体位、体格差などが挿入の妨げになっている場合、以下のような対処法が考えられます。

(1)勃起が正しく起こるかどうかを確認する

男性側の勃起不足により挿入ができないというケースでは、勃起が正しく起こるかどうかの確認も必要です。

服薬やアルコール、タバコなどの影響で一時的な勃起不全が起こることもありますが、勃起障害(ED)の可能性も考えられます。早朝勃起、いわゆる朝勃ちの有無やマスターベーションの可否、肝・腎機能の異常の有無などを確認しておきましょう。

妊活中の場合は、生殖を意識した義務的な性行為がストレスとなり、心因性の勃起障害を起こすこともあります。EDの傾向が見られたら、泌尿器科受診をおすすめします。

(2)体位を工夫する

挿入の際に体位を少し工夫することで、問題が解決することも少なくないようです。痛みがあって挿入が難しい場合のほか、体格差がある場合の解決策にもなることがあります。

挿入しやすい体位といえるのは、さきほどもお伝えした通り正常位なのですが、体格差によっては正常位での挿入が難しいケースもないとはいえません。その場合、クッションなどで女性の腰の高さを調整すると、スムーズにセックスが行えることがあります。

また、摩擦によって腟の入り口付近に痛みが生じ、挿入が難しい場合は、女性が上になって男性に抱きつくような姿勢をとる「抱きつき騎乗位」と呼ばれる体位が、摩擦を起こしにくいため、おすすめといわれています。

いずれの体位でも、女性の腰が引けていると挿入しづらい傾向があります。2人の骨盤が平行に向き合うよう、女性が骨盤を少し傾けるよう意識すると、挿入しやすくなるかもしれません。

▶次のページでは、処女の初めてのセックスでは入らない場合があることについて解説します。

処女だと初めてのセックスで入らないこともあるって本当?

心や体に問題がなくても、初めてのセックスのときは、緊張や不安が強くなり、挿入ができないことも少なくありません。

その場合は、たとえば前戯によって性的興奮を十分に感じるなどすると、腟口が開きやすくなり、ペニスの挿入が可能になることもあります。

焦らないことが肝心です。そして、もしも挿入ができなくても自分を責める必要はありません。

ちなみに、世間に広くかつ根強く行き渡っている「最初の挿入は痛い」という先入観は、できれば抱かないほうがよいでしょう。

こうした思い込みが、挿入の妨げになることもあるようです。痛いかどうかは人それぞれ。あまり気にしすぎないことが大切です。

参考記事はこちら▼

初体験で痛みを感じる原因と対処法を産婦人科医・医学博士の宋美玄さんが解説します。

原因に応じた対処法を試し、焦らずに解決を

セックスでペニスが入らないという場合、女性側の体や心の問題のほか、方法やパートナーとの間に問題があるケースもあります。原因に応じた対処法を試みていきましょう。

また挿入ができることは大切ですが、挿入だけがセックスのすべてではありません。女性の中には、ペニスの挿入そのものではオルガズムを感じず、クリトリスの刺激によるオルガズムを重視するタイプの女性もいます。

パートナーのペニスを受け入れ、射精を完了させることだけを重視せず、お互いにセックスを楽しむためにどうするのがいいのかを、まずは考えるのがよいでしょう。

(監修:宋美玄、取材・文:山本尚恵)

※画像はイメージです

参考文献

[*1] 日本性科学会・編「性機能不全のカウンセリングから治療まで セックス・セラピー入門」p191

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