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2021年10月05日 15:15 更新

【医師監修】妊婦は寿司や刺身を食べても良い? 妊娠中の生魚リスクとOKなネタ

妊娠がわかってから、食べ物に気をつけているママは多いことでしょう。十分な栄養を摂って赤ちゃんと自分を元気づけてあげたいですね。今回は栄養豊富な食材として人気の魚について。妊娠中に寿司ネタなどで生魚を食べるリスクや、火を通していても量には少し注意が必要な点についても紹介します。

妊娠中、寿司や刺身は食べても大丈夫?

妊婦は刺身は食べない方が無難
Lazy dummy

妊娠中に生ものは避けたほうがいいと耳にしたことがある人は多いでしょう。それでは、生の魚介類を使ったお刺身や、お刺身使ったお寿司はどうなのでしょうか。

妊娠中は、食べないほうが安全とされています

栄養豊富で体に良い魚介類。しかし、妊娠中は生魚を含め生ものは食べない方が安全とされています。なぜなら、妊娠中は腸炎ビブリオなどの食中毒を起こした場合、お腹の赤ちゃん(胎児)に影響が及ぶこともあるからです。

なお、後半で解説しますが、刺身や寿司ネタでおなじみのマグロなど、水銀の含有量が高いため、加熱していたとしても妊娠中は食べる量に注意が必要な魚もあります。

それでは、妊娠中に注意が必要な魚とその理由についてくわしく見ていきましょう。

リスク1. 腸炎ビブリオによる食中毒

妊娠中は生食は避けたい魚介類のイメージ
Lazy dummy

腸炎ビブリオは海水や海産の「魚介類」などに潜んでいる細菌です。

低温で腸炎ビブリオの増殖は抑えられるものの、凍結しても短期間では死滅しないため、冷蔵庫に保存された食品を加熱しないでそのまま食べた場合、腸炎ビブリオによる食中毒を起こす可能性があります。妊娠中は抵抗力が落ちているため、生魚は食べない方が安全です。

腸炎ビブリオによる食中毒を予防する方法は、魚介類の調理前に流水(水道水)で良く洗って菌を洗い流すこと、魚介類に使った調理器具類はよく洗浄・消毒して二次汚染を防ぐこと、食べる前に十分に加熱することが基本です。なお、魚介類の場合は、生魚に加え、買ったあと火を通して食べることのないスモークサーモンや魚のパテなども控えた方が安心です。

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リスク2. アニサキスによる食中毒

アニサキスは寄生虫の一種で、その幼虫はアジやサバ、サケ、サンマ、カツオ、イワシ、イカ、ブリなどの魚介類に寄生しています。アニサキス幼虫が寄生した魚介類を生で食べると、アニサキス幼虫が食べた人の胃壁や腸壁に入り込んでアニサキス症という食中毒を起こします。

アニサキス症になると、激しい腹痛や気持ちの悪さ、吐き気などを起こします。アニサキス幼虫によるお腹の赤ちゃんへの影響については不明ですが、妊婦さんが発症した場合、吐き過ぎて脱水症状を起こしたり、胃や腸に食い込んだ虫により全身状態が悪くなることは考えられます。

アニサキス症も、一番の予防法は、食べる時、魚の中心までしっかりと火を通すこと(70℃以上、または60℃なら1分)。中心まで加熱されない炙りでは、不十分です。また、冷凍処理(-20℃、24時間以上)も有効とされていますが、家庭用冷蔵庫の冷凍室の貯蔵温度は一番低い機種でも-18℃以下と規定されており[*3]、釣った魚を家庭で冷凍したときなどは冷凍処理が不十分な可能性があります。ちなみに、酢や塩、しょうゆ、わさびではアニサキス幼虫は死にません[*4]。

妊娠中はとくに、アニサキスが寄生しやすい魚介類を刺身や寿司など、生の状態で食べるのはやめておきましょう

妊娠中、食べていい寿司ネタや刺身は?

妊娠中は魚介類の生食に気をつけなければいけないですが、かといって全ての寿司ネタや刺身がいけないわけではありません。

妊娠中もOKな寿司ネタ・刺身

妊婦でも食べられる穴子の寿司

以下に妊娠中でも食べられる寿司ネタ・刺身の一例をご紹介しますので参考にしてください。(編集部まとめ)

・穴子(アナゴ) :加熱済みはOK(大量に食べることは避ける)
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・タコ :加熱済みはOK(生のタコではなく茹でたりしたものを)
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・イカ :加熱済みはOK(生のイカではなく茹でたりしたものを)
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・カニ :加熱済みはOK(生のカニではなく蒸したりしたものを)
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・エビ :加熱済みはOK(生のエビではなく蒸したりしたものを)
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・玉子 :よく焼けた玉子ならばOK(生卵、半熟は避ける)
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・納豆 :巻物の定番!
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・ツナ :ツナ缶は水銀の心配も少ない
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その他、いなり寿司やコーンなど生魚を使わないおいしい寿司店メニューもあるので、安心できる範囲で楽しんでください。

魚介類は妊婦にも必要な栄養素が豊富

生など食べ方に注意しなければいけないものの、魚はもともと栄養豊富な食材です。魚介類には、良質な動物性たんぱく質がたくさん含まれています。さらにビタミンD・E・B12やカリウム・カルシウム・マグネシウムなどの必須ミネラル、DHAやEPAなどの高度不飽和脂肪酸も多く含まれているのです。
さらにカロリーは低いことが多いので、健康的な食生活には欠かせない食材といえます。
妊娠中は妊娠前に比べて、さまざまな栄養素をバランスよく摂らなくてはいけません。以下に妊娠中に摂りたい栄養素のうち、魚介類に含まれることが多いものを紹介しますので、上手に取り入れましょう。

たんぱく質
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」[*1]によれば、たんぱく質は妊娠中期には1日10g、後期には25gも、妊娠前よりも多めに摂るように推奨されています。

ビタミン
また、ビタミンDの1日あたりの摂取目安量は、妊娠していない18歳以上が5.5μgなのに対して、妊娠中は7.0μgに増加します。ビタミンEは妊娠していない12歳以降の目安量が1日当たり6.0mgなのに対して、妊娠中は6.5mgです。ビタミンB12は1日あたりプラス0.4μg、マグネシウムはプラス40mg、妊娠前よりも多く摂るように推奨されています。

n-3系脂肪酸
さらにDHAやEPAなどに代表されるn-3系脂肪酸は、妊娠していない18~49歳までの摂取目安量が1日に1.6gなのに対して、妊娠中は1.8gが目安量となっています。
厚生労働省の乳肉水産食品部会によれば、魚介類を全く食べない集団は高度不飽和脂肪酸が欠乏してしまうため、子どもの知能低下や大人の心臓病のリスクが上昇するという報告もあるそうです。

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生魚以外で注意しなければいけないことは?

スーパーで刺身以外に食材を選ぶ妊婦
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妊娠中に魚介類を生で食べることにはリスクがあることはおわかりいただけたかと思いますが、実は生食以外にも気をつけなければいけないことがあります。ここからは魚介類に含まれる水銀や保存などの注意点について解説します。

妊娠中は水銀を多く含む魚介類に注意

自然界には鉱物から発生したものや工業的に排出された物質の形で水銀が存在しています。魚は小さい魚がより大きい魚に食べられ、その大きい魚がもっと大きい魚に食べられるという食物連鎖でつながっています。大きな魚は小さな魚に含まれる水銀も一緒に食べることになるため、大きい魚には小さい魚よりもたくさんの水銀が取り込まれています。

私たちがこうした大きな魚(イルカ、クジラを含む)を極端にたくさん食べると、水銀を多めに摂取してしまうリスクがあります。とくに妊娠中はこの水銀がお腹の赤ちゃんに影響を与える可能性があると言われています。

水銀が赤ちゃんに与える影響

お母さんが水銀の含まれた魚を食べると、お腹の中の赤ちゃんにもその水銀が届きます。お腹の中の赤ちゃんは体の外に水銀を排出できないため、水銀の影響を受けることになります。大人の場合は食べてしまった水銀を徐々に体の外に排出できるため、平均的な食生活をしている分には健康への影響はあまり心配ないとされています。

赤ちゃんに現れる影響としては、推奨されている目安量よりもかなり多く食べ続けていた場合であっても、生まれてから音を聞いての反応が1/1000秒以下のレベルで遅れる可能性がある程度と言われています[*5]。

基本的な考え方として、同じ食品を食べ続けるとその中に良くないものが入っていた場合にリスクになるので、いろんなものを食べるようにしたほうが良いですね。

水銀の多い魚の種類

もっともたくさん水銀を含んでいるのはバンドウイルカ、次に多いのがゴンドウイルカの仲間のコビレゴンドウです。

キンメダイ、メカジキ、クロマグロ、メバチマグロ、エッチュウバイガイ、ツチクジラ、マッコウクジラにも水銀が含まれています。また、これらの魚介類よりは少ないですが、キダイ、マカジキ、ユメカサゴ、ミナミマグロ 、ヨシキリザメ、イシイルカ、クロムツも水銀を含んでいます。

これらの魚介類は妊娠中食べてはいけないわけではなく、量が多すぎなければ食べても問題はありません。なお、キハダ、ビンナガ、メジマグロ、ツナ缶、サケ、アジ、サバ、イワシ、サンマ、タイ、ブリ、カツオは、妊娠中でも水銀のことを気にせず食べることができます[*5, 6]。

食べるならこのくらいの量を

妊婦に適した加熱した魚のイメージ
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日本人が1回の食事で食べる刺身や切り身などの魚の量は、平均すると一人前で約80gとされています[*6]。
1回に80gだけ食べるとすると、妊婦さんの場合、バンドウイルカは2カ月に1回まで、コビレゴンドウは2週間に1回までであれば問題はないと考えられています。

また、キンメダイ、メカジキ、クロマグロ、メバチマグロ、エッチュウバイガイ、ツチクジラ、マッコウクジラは週に1回、キダイ、マカジキ、ユメカサゴ、ミナミマグロ 、ヨシキリザメ、イシイルカ、クロムツは週に2回まで食べても問題ないとされています。

いろいろな魚を組み合わせて食べる時には、それぞれの量を工夫することになります。たとえば週1回食べられるクロマグロとメカジキだけをその週に食べる場合は、食べる量をそれぞれ1/2にします。週1回食べてもOKな魚のなかで3種類を食べるなら、食べる量はそれぞれ1/3にしましょう。

■参考:厚生労働省「これからママになるあなたへ お魚について知っておいてほしいこと

保存状態にも気を付けて

食べる量や調理方法は合っていても、保存状態が悪いと食中毒を起こしやすくなります。特に夏場は食べ物が痛みやすいので、保存の仕方に気をつけましょう。

魚介類や肉を買う時には消費期限が切れていないかチェックして、できるだけ早く家に持って帰ります。氷や保冷剤で冷やしながら帰るとより安全です。

買い物から帰ったら、汁がもれないように袋に包んだまますぐに冷蔵庫に入れましょう。
なお、生魚はその雑菌が移らないよう、生で食べる食品とは離しておきましょう。生魚を切った後の包丁とまな板はすぐに洗い、熱湯をかけておくことも大切です。

妊娠中は消化機能が低下していることも忘れずに

妊娠すると、女性ホルモンの影響で胃腸の動きが鈍くなったり、胃酸が逆流しやすくなります。妊娠後期に入ると、妊婦さんの70%が逆流性食道炎を起こすとも言われています[*7]。さらに妊娠中は便秘と下痢を起こしやすいものです。

そのため、妊娠前は普通に食べられていたものでも、妊娠してからは受け付けなくなったり、食べると胃腸の調子が悪くなることもあります。魚介類に含まれる水銀や細菌に注意するのはもちろん、妊娠中は消化機能が落ちていることも覚えておきたいですね。

まとめ

ここで解説したように、妊娠中は食中毒のリスクが高いので、魚介類の生食は控えましょう。回転寿司でも高級寿司店でもそれは同様です。ただし、しっかり加熱するなど、食中毒のリスクが低い状態であれば、栄養豊富な魚介類はむしろ妊娠中にも積極的に摂ってほしい食品です。水銀の量には少し注意しながら、食事に取り入れましょう。

妊娠すると、お腹の赤ちゃんのことが気になってつい食べることによるリスクばかりに目が向いてしまうかもしれません。でも、食べるのを控えてばかりいると、お母さんと赤ちゃんに必要な栄養分が不足してしまいます。「どんなものをどんなふうに食べると、どんなリスクがあるのか」、正しい知識を持てば、安全に十分な食事を取ることができます。おいしく食事を味わいながら、お腹の赤ちゃんと一緒に楽しい妊娠期間を過ごしていきましょう!

(文:大崎典子/監修:太田寛先生)

※画像はイメージです

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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