【医師監修】妊婦が納豆を食べるときは? 量、食べ合わせの注意点と食べ方のコツ

【医師監修】妊婦が納豆を食べるときは? 量、食べ合わせの注意点と食べ方のコツ

納豆好きという人は少なくありません。納豆には体によい栄養素が豊富に含まれています。でも、「妊娠中は納豆に注意」といった噂を耳にされた人もいるかもしれません。本当のところはどうなのでしょうか。


納豆は栄養豊富な食品

最初に納豆の優れた点を挙げてみます。

葉酸、鉄分、カルシウムが豊富

納豆にはさまざまな栄養素が含まれていますが、妊婦さんの健康との関連では、葉酸と鉄分、それにカルシウムの豊富さが注目されます。

葉酸

妊婦さんの葉酸不足は、赤ちゃんの神経管閉鎖障害のリスクを高めることが知られています。赤ちゃんの神経管は妊娠初期に作られるため、妊娠前から妊娠初期には積極的な摂取が推奨されています。18歳以上の成人女性が1日に摂った方がよいとされている、葉酸の量は240μgですが、妊娠の1ヶ月以上前~妊娠3ヶ月までの間は上記に加え、サプリメントなどから1日に400μg摂取することが勧められています 。つまり、このころは1日に640μgの葉酸摂取が推奨されているのです[*1,2]。

納豆は葉酸含有量の高い食品の1つで、納豆100gには葉酸が120μg前後含まれてます[*3]。通常の四角いパックのものは1パック40~50gほどです。

※ただし、食品中の葉酸の利用率はサプリメントなどに含まれるタイプと比べばらつきが大きく、日本で食されている平均的な食事中の利用率は 50% と報告されています[*3]。

鉄分

鉄分も妊娠中に不足しがちな栄養素の1つ。女性はもともと貧血気味の人が少なくありませんが、妊娠によって赤ちゃんの鉄需要が増えるため、妊婦さんでは鉄欠乏性貧血に注意が必要とされています。

成人女性の鉄の摂取推奨量は、生理ではないときは1日6.0~6.5mg(生理中は10.5mg)ですが、妊娠初期にはこれにプラス2.5mg、妊娠中期~後期はプラス15.0mg多くとることが勧められています[*1](2020年4月以降は、妊娠中期~後期は9.5mgの付加 に変更となる予定[*4]) 。

納豆は鉄分も豊富な食品で、納豆100gには3mg前後の鉄が含まれています [*3]。

カルシウム

また妊娠中は、赤ちゃんの骨や歯を作るためにカルシウムが使われます。 成人女性の摂取推奨量は1日650mgで、妊娠中も摂取推奨量は変わりません[*1] 。

赤ちゃんの成長に必要なのであれば、妊娠中は多めに摂ったほうが良いのでは? と思うかもしれませんが、妊婦さんは女性ホルモンの影響などでカルシウムの吸収が高まるので、余分に摂取する必要はないとされています。ただし、日本人はもともとカルシウムの摂取量が推奨量に達していない人が多いので、そういう意味では普段よりカルシウム豊富な食品を意識して摂った方が良いでしょう。

納豆100gには100mg前後のカルシウムが含まれており、カルシウム含有量の高い食品の1つです[*3] 。

タンパク質と食物繊維も豊富

さらに納豆は、タンパク質や食物繊維も豊富です。

成人女性のタンパク質の摂取推奨量は1日50g。これに妊娠中期にはプラス10g、妊娠後期にはプラス25gとることが勧められています [*1]。納豆100gには16g前後のタンパク質が含まれていて、タンパク質含有量の高い食品の1つです [*3]。

成人女性の食物繊維の摂取推奨量は1日18g以上で、妊娠中の付加量は決められていません が[*1]、妊娠中になりやすい便秘予防に役立つことから、十分な摂取を心がけたい成分です。

【医師監修】妊婦の便秘解消法 | 効果的な食べ物&運動について

https://woman.mynavi.jp/kosodate/articles/1102

「妊娠に便秘はつきもの」といえるほど、妊娠中は便秘に悩まされるものです。しかし、便秘を甘くみていると思わぬ事態を招くことも。 便は健康のバロメーター。マイナートラブルとあきらめず、できることを少しずつ試しながら、便秘予防をしていきましょう。

納豆100gには6g前後の食物繊維が含まれていて、含有量の高い食品の1つです [*3]。

イソフラボンやナットウキナーゼといった特有の成分も

イソフラボンとは大豆に多く含まれているポリフェノールの一種で、構造が女性ホルモンのエストロゲンに似ているため、骨粗鬆症など更年期以降の女性に多い病気に対して予防的な作用があると考えられています。納豆も大豆製品ですから、イソフラボンが豊富です。ただ、とり過ぎもよくない可能性があり、その点については後で解説します。

ナットウキナーゼは納豆に含まれている酵素の一種で、大豆を納豆菌が発酵分解するときにできる成分です。血液を固まりにくくする作用があると言われています。

発酵食品ならではのメリットも期待できる

納豆などの発酵食品には、腸内細菌のバランスを整えるなどの体によい働きがあることが、最近注目されています。

妊娠中に納豆を食べるときの注意点

納豆のよい点を中心に話を進めてきましたが、どんな健康的な食べ物であっても、それだけを際限なく多く食べればよいというものではありません。

納豆も食べ過ぎには注意が必要

塩分、カロリー、タンパク質過多の心配

納豆そのものは塩分を含んでいませんが(塩を加えて発酵させる寺納豆、五斗納豆などは別) 、醤油は塩分を多く含んでいます。

成人女性の食塩摂取量の目標は1日7.0g未満[*1](春以降は6.5gに変更予定[*4])です が、醤油は小さじ1(5mL)では減塩タイプでも約0.5g、通常のこいくちしょうゆではおよそ0.9g の食塩を含んでいます [*3]。

カロリーも無視できません。成人女性の摂取カロリー必要量は1日1,650~2,300kcalほど(身体活動レベルにより異なる)。妊娠初期にはこれに50kcal、中期には250kcal、後期には450kcalをプラスします[*1]が、 納豆は100gで約200kcalのカロリーがあります [*3]。

タンパク質については先ほど書いたように、成人女性のタンパク質の摂取推奨量は1日50g。妊娠中期にはプラス10g、妊娠後期にはプラス25gとることが勧められていますが[*1]、納豆は100gで約16gのタンパク質を含んでいます [*3]。

イソフラボン過剰摂取の懸念

イソフラボンに関しては、サプリメントや特定保健用食品などからとり過ぎると健康によくない可能性が報告されています。例えばフランスでは、乳幼児や、本人または家族に乳がんの病歴のある人について、大豆タンパク質を主成分とする食品の摂取を制限すべきとしています。

国内では1日70~75mg(大豆イソフラボンアグリコン換算値)が上限の目安とされています。納豆100gには平均73.5mgのイソフラボンが含まれています [*5]。

珍しいが「納豆アレルギー」の人も

頻度はまれですが、「納豆に対するアレルギー」がある人もいます。

アレルギーの中でも特に重症なアナフィラキシーは、ときに命の危険も生じることがあります。通常、食品によるアナフィラキシーは、その食品を食べたあと短時間で症状が現れるのですが、納豆によるアナフィラキシーは納豆を食べてから半日もたってから症状が現れるため、納豆がその原因であると気づきにくいという特徴があります。

食中毒の心配は?

妊娠中は抵抗力が弱まっているため、食中毒を起こす可能性が妊娠していないときより高くなります。もっとも、納豆に関しては、保管方法に気を付け新鮮なうちに食べれば特に問題になることはないでしょう。

ただ、納豆を生卵と合わせて食べる場合は注意が必要です。生卵は妊娠中はできるだけ控えたい食品です。卵の殻にはサルモネラ菌が付着していることがあるからです。

納豆の栄養素を効率的に摂るには

納豆には健康に役立つさまざまな栄養素が含まれる一方、食べ過ぎも良くないことがおわかりいただけたと思います。ここでは、納豆の栄養を効率的に摂るための考え方を紹介します。

さまざまな食品と組み合わせてバランスよく食べよう

いろいろな食品と組み合わせて食べることができることも納豆の大きな特徴です。例えば、薬味としてネギやゴマ、かつお節、大根おろし、大葉などと一緒に食べるのもよいでしょう。

食べ合わせについて少し注意したいことは、さきほども紹介した塩分のとり過ぎです。例えば、納豆とキムチの組み合わせが健康によいという情報もみかけますが、同時に食べると塩分摂取量がとても多くなってしまうと考えられます。

妊娠中はとくに特定の食材・食品にかたよることなく、さまざまなバリエーションで味にアクセントをつけ、豊かな食卓を楽しんでください。

まとめ

栄養豊富で葉酸も含まれている納豆は、妊婦さんの妊娠初期の食事にもおすすめ。献立に適量をとり入れれば、妊娠中の健康維持の一助になると考えられます。とは言っても、いくら栄養満点だからと納豆ばかり食べるのはいただけません。「これさえ食べれば健康になれる!」という食べ物はありません。大切なのはバランスのよい食事です。バランスを整えたうえで、不足しがちな栄養素を積極的にとり入れるというスタンスを大切にしてください。食べ合わせの注意点も意識して、納豆を上手に活用しましょう。

この記事の監修ドクター
窪 麻由美先生
Fika Ladies‘ Clinic フィーカレディースクリニック(東京都中央区日本橋)副院長。順天堂大学医学部附属浦安病院非常勤助教。東京女子医科大学卒業後、順天堂大学医学部附属順天堂医院、順天堂大学医学部附属静岡病院などを経て、2009年に順天堂大学大学院医学研究科を卒業、博士号を取得。医学博士、日本産科婦人科学会専門医、日本抗加齢医学会専門医、日本医師会認定健康スポーツ医、日本スポーツ協会公認スポーツドクター、日本障がい者スポーツ協会公認障がい者スポーツ医、女性のヘルスケアアドバイザー

(文:久保秀実/監修:窪麻由美先生)

※画像はイメージです

参考文献
[*1]厚生労働省「「日本人の食事摂取基準」(2015年版)」
[*2]厚生労働省:ママのための食事BOOK
[*3]文部科学省:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
[*4]厚生労働省:令和元年12月24日(火)「「日本人の食事摂取基準」策定検討会」の報告書を取りまとめました
[*5]内閣府 食品安全委員会「大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A」

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

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